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~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様

静内 燕

第98話  唯一王 ユニコーンと戦う

そして、俺達。

気を引き締めながら俺たちは前を進んでいく。

そして草原を進んだ先に大きな岩があり、そこの上に何かを発見。冒険者の一人が騒ぎ立てる。

「おおっ石英じゃ。あれが石英じゃ!!」

冒険者の一人が、大きな岩を指さして叫ぶ。

そこにあるのは透明で綺麗な結晶をした物体。それが大量に──。
ようやく見つけた目的の物質。
油断してはいけないと考えつつも、やはり心の底ではほっとしてしまう。

他の冒険者たちは次第に前のめりに、早足になりながら前へ石英のところへと向かっていく。


そしてそれが今にも届きそうな距離まで近づいた、その時。
俺は、背中からただならぬ気配を感じた。それは、フリーゼも同じようで慌ててダルネルさん達に向かって叫ぶ。

「皆さん、背後から殺気を感じます。戦い準備をしてください」

俺もそんな気配を感じ取っていた。これは、ここに来た俺たちを殺そうとしている『殺気』だ。そして──。


グルルルルルルル……。

気配を消して草原に隠れていたのだろうか、俺達を取り囲むように、人と同じくらいの大きなサイズの獣がこっちに向かってきた。

四本足で白い毛が生えた肉体。
そして額の部分の一角獣。
間違いない、ユニコーンというやつだ。ユニコーンたち全員が、俺達を威圧しているのがわかる。敵意を、確実に向けている。


気配で感じたとおり、明らかに殺気を俺たちに向けているのがわかる。
彼らは足も速い。逃げたところで追いつかれて背中から襲われるだけだろう。

それならば、前だ。たとえ敵がつよくても、どれだけ殺意があっても戦うしかない。

「皆さん。彼らは、逃げられるような敵ではありません。武器をとって戦いましょう」

俺達は周囲の冒険者たちに向かって叫ぶ。冒険者達はオロオロしながら互いに武器を持って戦い準備を始めた。

「まっとくれ、こんな強そうなヤツ戦ったことないだ。生きて帰れるか不安だべさダルネルさんよ」

「わしだって怖いで。けど周囲を囲まれているけん逃げられん。戦うしかないで」

ダルネルさんも、彼らとは戦ったことがないようだ。だからみんな恐怖を感じているのがわかる。

「皆さん。頑張りましょう。私が皆さんに魔力を供給します。これでユニコーンたちとも互角に戦えるようになるはずです」

俺は神経を集中させ、フリーゼやダルネルさんに魔力を供給し始める。

「ほう、すげえ魔力だ。これなら戦えるで」

「ありがとな、フライさんよ。みんな戦う勇気ができたみたいだ」

「ありがとうございます。皆さん、敵は強いですが、頑張って戦いましょう」


少しだけだが、彼らに勇気がわいてきたのがわかる。これならかなり互角に戦えるはずだ。
ユニコーンたちは、じりじりと距離を詰めてきている。その様子を見たフリーゼが、俺たちに呼びかけてきた。

「ではみなさん。行きましょう!」

その言葉を皮切りに、俺達はユニコーンたちへと突っ込んでいく。

そして俺たちとユニコーンたちの乱戦が始まった。



ユニコーンは、頭にある角に魔力が込められているのが特徴だ。そしてその角を俺たちに向かって突き刺そうと突進してくるのだ。

しかもユニコーンの数は十数体ほどいて俺たちより数倍多い。いろいろな方向からの攻撃に対処しないといけないないため、どうしても対処に戸惑ってしまう。

「フリーゼ、一緒に戦おう。一人で戦うのは不利だ」

「そうですね」

そして俺はフリーゼに急接近。死角ができないように互いに背を向けて戦い始めた。

それから俺とフリーゼは離れ離れにならないように応戦していく。
互いに攻撃に対応し、ユニコーンたちの事を少しでも理解するようにして戦う。


ユニコーンは、決して勝てない相手ではない。現に俺がフリーゼと出会う前も、ユニコーンと戦った。そして勝利した。



油断せず焦らず、自分たちの力を出しながらユニコーンと戦い続ける。

角に魔力を込めてユニコーンたちが突っ込んでくる。
魔力はかなり強いものの、突進してくるだけなのでかわすのはそこまで難しくはない。

──がユニコーンの方も素早くてなかなかダメージを与えられない。他の冒険者たちも、かなり苦戦しているのがわかる。



戦い始めてしばらくして、ようやく俺たちはユニコーンたちの戦い方に気付き始めた。

「フライさん。彼ら単独では強くないのですが──」

「それは感じたよフリーゼ。こいつら、チームワークが出来ている」


そう、このユニコーンたち、集団戦というものを熟知している。

ユニコーンの実力自体は中の上といった感じで、そこまで強いわけではない。以前戦ったノダルたちより数段劣る存在だ。
しかし集団戦というのはチームでの連携が必須となる。こっちは出会って間もない人たちばかり。

当然、連携がうまく取れない。個々での対応をとることとなり、どうしても後手後手の戦いになってしまう。

それでも、最善を尽くして戦うしかない。
そう決意し俺は加護の術式を発動させた。

「おおっ、魔力が強くなっているべ」

「兄ちゃんの力か、ありがとうだ。礼を言うべ」

他の冒険者達にも魔力を供給する。全員で戦うのだから、当然だ。
そうしないと、結局大量のユニコーンを俺とフリーゼだけで処理しなければならなくなり、不利になってしまうからだ。

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