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~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様

静内 燕

第94話 アドナもダンジョンへ

今度はアドナ。

アドナも一日遅れで、ユニコーンがいるダンジョンへ向かうこととなった。西側にある村の街道沿いの場所で、村の冒険者が待っている。

青の曲がり角、もうじき目的の場所にたどり着くという所。
突然ヴィーザルが足を止めてしまう。

「なんだよヴィーザル。やっぱりお前はいかないのか」

「すまんな。私たち熾天使は、この村ではお尋ね者なの。契約通りでしょ、魔力あげるから許しなさいよね。お前くらいの冒険者なら、使いこなせるはずよ」

当然だ、彼女たち熾天使は、この村を侵略してきたお尋ね者。出会ったら何をされるかわからない。
そしてヴィーザルはアドナに向かって手を差し伸べる。

シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ──。

アドナは感じ始める。自分の体の中に強大な魔力が充填されていることを──。

「素晴らしい。今まで見たことない力。これならユニコーンなんて楽勝だ」

アドナは感じ始めた。自分の体内に今まで感じたことがないくらいの魔力が充填されて行っていることを。

「まあいい。ただでさえこの俺がいる。その上この力、勝利以外ありえない。行ってくるぞ」

そしてアドナは速足で冒険者のところへ向かっていった。


そこにいるのは俺があった時と同じ槍や弓を持った冒険者たち。
クラリアとは違い、簡素な服を着た人たち。
それを見るなりアドナは言い放つ。

「なんだなんだ。見るからに田舎臭くて弱そうなやつらだ。全員戦ったらコテンパンにできそうだ」

その言葉に一瞬この場の空気が張り詰める。

「あんたが他国から来た冒険者のアドナってやつか。おらはまとめ役のジュゴル。よろしくな」

普通初めて出会う冒険者。それも一緒に戦う予定の人にそんな態度はとらない。

当然だ。 共に手を取り合って戦う味方なのだから。いざというときは助けてもらう存在なのだから。そんなことをしたら心証が悪くなり、いざというときに助けてもらうことができず、見殺しにされてしまう可能性すらある。


しかし今のアドナの脳裏にそんな発想はない。彼の脳内では自分はSランク相当の実力があり、ユニコーンは雑魚。助けなど借りなくても瞬殺だという思い込みがあるからだ。

おまけに以前ユニコーンを倒したという事実が、余計に彼を慢心させている。

「ああ、俺がアドナ様だ。一応Sランクの冒険者のリーダーだったこともある」

村の冒険者たちはどこかけげんな表情で互いに顔を見回す。
しかし、せっかくの外からの協力者。そこまで無下に扱うことも出来ず──。

「まあ、せっかくだで。一緒にユニコーンを倒して石英を手に入れましょうや」

「そうだそうだべ、よろしゅうな」

「フフッ──。そうだな、短い間だがよろしく頼むぞ」

アドナに対してそこまで強く出ることはなかった。
いきなり気まずい雰囲気になったが、すぐに出発。


彼らは険しい渓谷沿いの道を進んでいく。

「おいお前たち、この道で合っているんだろうな、獣道じゃないか」

「あってるべよ、じゃんと地形を確認して進んでいるもん」

「ほんとかよ。これだから田舎は嫌なんだ。もし間違っていたら」
居丈高な態度で、 村の冒険者たちも少しずつアドナに対する視線が厳しくなっていく。

アドナにとっては道案内など誰にできる簡単な仕事という認識しかない。よって何かあれば不満を立て、騒ぎ立てる。

そしてこの傲慢ともいえる行動が、彼らの運命を左右することになるとはこの時はまだ知るすべもなかった。


どこかギスギスした雰囲気の中、獣道を歩いていると冒険者の一人がダンジョンの入り口を見つける。

「おう、あれだべさ。行くで行くで」

「ふう──。なんだ、合っていたのか。びっくりさせるなよ貴様ら」

アドナもその事実に安堵しため息をつく。
険悪だった雰囲気がすこしだけよくなり、ダンジョンの入口へ。

生い茂る森の中にある、真っ暗な入口。

この先に目的のドクロがあるという想い。それが先走ったのか彼らは準備も打ち合わせもせずにそのままダンジョンの中に入って行ってしまった。

真っ暗なダンジョン。各自手探りで進んでいくが──。

バタバタバタバタバタ──。

「うおっ、何だぁ──」

「これはコウモリだ。こんなことでわめきたてるなバカ!!」

視界が聞かないせいで、明らかに進んでいくペースが悪い。

「おいおめぇ、明かり照らせんだろぉ。つけてくれや」

「こっちだって魔力を取っておきたいんだけどなァ」

ようやく矢を装備していた村の冒険者の一人が明かりを照らす。

薄暗い光が彼らを中心に照らし始める。
これで足元や目の前がうっすらとだが見えるようになった。

「なんだこの薄暗い明りは、貧弱そのものだな。まあいい、所詮ランクの低い貴様達ではこの程度か」

アドナはその光が弱いと文句を漏らす。
確かに俺やミュアの術式には遠く及ばないが、それでも彼のおかげで明るさを手に入れたことには変わりない。

それに対してこんな仕打ちである。冒険者によっては乱闘沙汰になってもおかしくはない。

その言葉に明かりを照らした冒険者がとうとう怒りをアドナに向け、胸ぐらをぐっとつかむ。

「てめぇ、さっきから態度がでけぇだ。いい加減にしろだ、さもねぇとここで置いていくか、八つ裂きにしてやるで」

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