~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様
第84話 唯一王 いったんクラリアへ帰る
彼女の前に俺とレシアがゆっくりと近づく。
「くっ、まさかレシアが、こんなタイミングで覚醒するとは──。運がない」
「もともとレシアには、これくらいのポテンシャルはあった。それを見極めずに、使えないと言って吐き捨てたのはお前たちだ。そしてエンレィはレシアの面前で正体を現した。そしてレシアを追い詰めたことで彼の力が覚醒した。その時点で勝負はついていたんだよ」
俺は正論でエンレィを追い詰める。エンレィは強く顔をしかめた。まるで、この結果を受け入れたくないかのように──。
「まあいい。今回は敗北を認めてやろう。だが次はこうも行かない。ではさらばだ」
そしてエンレィは空高くジャンプをする。
その高さ、軽くこの競技場を飛び越えるほどだ。ってそんな事考えている場合じゃない。
「まてエンレィ。──うっ」
何とか俺は後を追おうとするが、足が言うことを聞かない。
おぼつかない足で前に進もうとすると、フリーゼが俺の肩を掴む。
「フライさん。深追いは禁物です。今日は、ここまでにしましょう」
「そ、そうだな……」
血の気が上っていた俺をフリーゼが止めてくれた。
もう俺は魔力を使い果たしボロボロ。奇襲を受けたら戦うすべはない。悔しいけれど、ここまでにしよう。
フリーゼの判断は、全く間違っていない。
そして俺たちは視線をノダルやその仲間たちに向ける。
ノダルの今の姿は、悲惨の一言。
さっきまでエンレィの触手によって力を完全に吸い取られている。おまけに触手から繰り出される粘液によって服は半分くらい溶けていて。体も粘液まみれ。
そんな彼の姿を見た俺、とりあえずノダルに話しかける。
「ノダル。話したいことがあるんだけどいいかな」
「なんだよ。俺を笑いに来たのかよ」
「違うよ。エンレィがやり取りしていた手紙や資料を俺に渡してくれ。彼女たちに関して知りたいことがあるんだ」
「ああん? なんで俺様がお前なんかにそんなことしなくちゃいけないんだよ。断る」
すると俺の前にレディナがやってくる。
そしてノダルを強くにらみつけると──。
ピシィィン!!
彼の頬を軽くひっぱたく。
「いい加減にしなさい! あんたエンレィに騙されて、あんな恥辱プレイみたいなことされて、それでも仲間のつもりでいるの?」
「ふ、ふざけるな。そんなんじゃねぇよ」
「そうでしょうね。けど、悔しいと思わなかったの? 私達はあいつらを追いたい。少しでも熾天使に関する情報が欲しいの。だから要求させてもらっているの。じゃなかったら負けた代償として別の物を要求させてもらうけどいいかしら?」
レディナが腕を組みながらノダルをじっと睨んだ。
するとノダルはため息をついた後──。
「わかったよ。教えればいいんだろ。ちょっと待ってろ、後で教えてやるよ。あと……」
ノダルはうつむき始め、言いづらそうに言葉を発する。
「す、すまなかったな……、レディナ、レシア。お前たちがここまでやるなんて思わなかったよ」
「あ、ありがとう……」
レシアは、どこか幸せそうに言葉を返す。
どこか、幸せそうな表情。認められたという想いが、彼の心にあふれているのだろう。
とりあえず、これでレシアは欠陥品なんかじゃなくなった。ピーキーな力だけど、ピンチの時に俺達の力になってくれるだろう。
俺も、レシアが力を引き出せるよう頑張っていこう。
そしてしばしの休息が終わり、歩けるくらいにはなった。ノダルの誘導により俺たちはエンレィの住処へと向かう。
俺たちはしばらく歩く。
庶民的な通りから一転富裕層の人たちが住んでいる閑静な住宅街へ。
そしてその中にある大きな屋敷。そこでノダルは立ち止まる。
「ここがエンレィの部屋だ」
ノダルが奥にある部屋へと案内する。そこは、少し広くてシンプルな部屋。
「とりあえず、いろいろ探してみよう」
そして俺たちの家宅捜索が始まった。引き出しを開けたり、タンスの中を調べたり。
「フリーゼ、みんな。何か見つかったか?」
「いいえ、フライさん。特に怪しいものはありません」
「こっちもないフィッシュ」
特に手掛かりがあるわけでもない。
まあ、エンレィだってバカじゃない。あからさまに堕天使だと嗅ぎつけられるようなものは隠すなり暗号にするなりしてわからないようにしているだろう。
簡単にはいかない。
すると誰かが俺の肩をたたいてくる。レディナだ。
「フライ、面白い資料を見つけたわ。この封筒、よく見て──」
俺はレディナが渡してきた封筒を見る。
送り元がカレロフィン共和国になっている。
「手紙の封は、これだけ?」
「ええ。引き出しの奥に一枚だけあったわ。でも、他の中身も別の封もなかったわ」
ただ内容の部分が、一枚もない。引き出しの奥ってことは捨て忘れただけなのだろうか。
親愛なる友と書いてあるから、問い詰めたところでプライベートの手紙だといってしまえばそれまでだ。
「それで、このカレロフィン王国ってとこから来ているみたいだな」
「それは、どこなのでしょうか。フライさん」
フリーゼもこの話題に興味を持ったようだ。
「カレロフィン王国っていうのはここからずっと北にある国だ。冬は雪が積もる雪国。あとこの世界でもかなり信仰深い土地とも聞いている」
「とりあえず、その場所に一回行ってみよう。何かわかるかもしれない」
「そうですね」
差出の場所は分からない。
けれど他に手がかりがあるわけじゃない。だったら、行くしかない。
「ただ、とりあえず一回クラリアへ帰ろう。やらなきゃいけにこととかあるし」
確かカレロフィンはここから何週間もかけていかなきゃいけない場所。おまけに雪国と聞いているので寒さだって厳しいはず。そのためにゆっくり準備がしたい。
おまけにレディナとレシアは登録しているギルドの場所が違う。それだと連絡や書類上の関係でどうしても活動上支障が出てしまう。だからクラリアのギルドが登録になるように登録しなおした方がいい。
カレロフィン王国に行くのはそれからでも遅くはないはずだ。
「了解しました。フライさん」
そして俺たちはこの場を去る。そして準備をしてもう一度クラリアへと向かっていった。
しかし熾天使の存在、大事になっていっちゃっているな……。
これからの冒険も、大変な事になりそうだ。けれど、みんなで力を合わせて乗り越えていこう。
そう強く誓い、俺達はこの場を後にしていった。
「くっ、まさかレシアが、こんなタイミングで覚醒するとは──。運がない」
「もともとレシアには、これくらいのポテンシャルはあった。それを見極めずに、使えないと言って吐き捨てたのはお前たちだ。そしてエンレィはレシアの面前で正体を現した。そしてレシアを追い詰めたことで彼の力が覚醒した。その時点で勝負はついていたんだよ」
俺は正論でエンレィを追い詰める。エンレィは強く顔をしかめた。まるで、この結果を受け入れたくないかのように──。
「まあいい。今回は敗北を認めてやろう。だが次はこうも行かない。ではさらばだ」
そしてエンレィは空高くジャンプをする。
その高さ、軽くこの競技場を飛び越えるほどだ。ってそんな事考えている場合じゃない。
「まてエンレィ。──うっ」
何とか俺は後を追おうとするが、足が言うことを聞かない。
おぼつかない足で前に進もうとすると、フリーゼが俺の肩を掴む。
「フライさん。深追いは禁物です。今日は、ここまでにしましょう」
「そ、そうだな……」
血の気が上っていた俺をフリーゼが止めてくれた。
もう俺は魔力を使い果たしボロボロ。奇襲を受けたら戦うすべはない。悔しいけれど、ここまでにしよう。
フリーゼの判断は、全く間違っていない。
そして俺たちは視線をノダルやその仲間たちに向ける。
ノダルの今の姿は、悲惨の一言。
さっきまでエンレィの触手によって力を完全に吸い取られている。おまけに触手から繰り出される粘液によって服は半分くらい溶けていて。体も粘液まみれ。
そんな彼の姿を見た俺、とりあえずノダルに話しかける。
「ノダル。話したいことがあるんだけどいいかな」
「なんだよ。俺を笑いに来たのかよ」
「違うよ。エンレィがやり取りしていた手紙や資料を俺に渡してくれ。彼女たちに関して知りたいことがあるんだ」
「ああん? なんで俺様がお前なんかにそんなことしなくちゃいけないんだよ。断る」
すると俺の前にレディナがやってくる。
そしてノダルを強くにらみつけると──。
ピシィィン!!
彼の頬を軽くひっぱたく。
「いい加減にしなさい! あんたエンレィに騙されて、あんな恥辱プレイみたいなことされて、それでも仲間のつもりでいるの?」
「ふ、ふざけるな。そんなんじゃねぇよ」
「そうでしょうね。けど、悔しいと思わなかったの? 私達はあいつらを追いたい。少しでも熾天使に関する情報が欲しいの。だから要求させてもらっているの。じゃなかったら負けた代償として別の物を要求させてもらうけどいいかしら?」
レディナが腕を組みながらノダルをじっと睨んだ。
するとノダルはため息をついた後──。
「わかったよ。教えればいいんだろ。ちょっと待ってろ、後で教えてやるよ。あと……」
ノダルはうつむき始め、言いづらそうに言葉を発する。
「す、すまなかったな……、レディナ、レシア。お前たちがここまでやるなんて思わなかったよ」
「あ、ありがとう……」
レシアは、どこか幸せそうに言葉を返す。
どこか、幸せそうな表情。認められたという想いが、彼の心にあふれているのだろう。
とりあえず、これでレシアは欠陥品なんかじゃなくなった。ピーキーな力だけど、ピンチの時に俺達の力になってくれるだろう。
俺も、レシアが力を引き出せるよう頑張っていこう。
そしてしばしの休息が終わり、歩けるくらいにはなった。ノダルの誘導により俺たちはエンレィの住処へと向かう。
俺たちはしばらく歩く。
庶民的な通りから一転富裕層の人たちが住んでいる閑静な住宅街へ。
そしてその中にある大きな屋敷。そこでノダルは立ち止まる。
「ここがエンレィの部屋だ」
ノダルが奥にある部屋へと案内する。そこは、少し広くてシンプルな部屋。
「とりあえず、いろいろ探してみよう」
そして俺たちの家宅捜索が始まった。引き出しを開けたり、タンスの中を調べたり。
「フリーゼ、みんな。何か見つかったか?」
「いいえ、フライさん。特に怪しいものはありません」
「こっちもないフィッシュ」
特に手掛かりがあるわけでもない。
まあ、エンレィだってバカじゃない。あからさまに堕天使だと嗅ぎつけられるようなものは隠すなり暗号にするなりしてわからないようにしているだろう。
簡単にはいかない。
すると誰かが俺の肩をたたいてくる。レディナだ。
「フライ、面白い資料を見つけたわ。この封筒、よく見て──」
俺はレディナが渡してきた封筒を見る。
送り元がカレロフィン共和国になっている。
「手紙の封は、これだけ?」
「ええ。引き出しの奥に一枚だけあったわ。でも、他の中身も別の封もなかったわ」
ただ内容の部分が、一枚もない。引き出しの奥ってことは捨て忘れただけなのだろうか。
親愛なる友と書いてあるから、問い詰めたところでプライベートの手紙だといってしまえばそれまでだ。
「それで、このカレロフィン王国ってとこから来ているみたいだな」
「それは、どこなのでしょうか。フライさん」
フリーゼもこの話題に興味を持ったようだ。
「カレロフィン王国っていうのはここからずっと北にある国だ。冬は雪が積もる雪国。あとこの世界でもかなり信仰深い土地とも聞いている」
「とりあえず、その場所に一回行ってみよう。何かわかるかもしれない」
「そうですね」
差出の場所は分からない。
けれど他に手がかりがあるわけじゃない。だったら、行くしかない。
「ただ、とりあえず一回クラリアへ帰ろう。やらなきゃいけにこととかあるし」
確かカレロフィンはここから何週間もかけていかなきゃいけない場所。おまけに雪国と聞いているので寒さだって厳しいはず。そのためにゆっくり準備がしたい。
おまけにレディナとレシアは登録しているギルドの場所が違う。それだと連絡や書類上の関係でどうしても活動上支障が出てしまう。だからクラリアのギルドが登録になるように登録しなおした方がいい。
カレロフィン王国に行くのはそれからでも遅くはないはずだ。
「了解しました。フライさん」
そして俺たちはこの場を去る。そして準備をしてもう一度クラリアへと向かっていった。
しかし熾天使の存在、大事になっていっちゃっているな……。
これからの冒険も、大変な事になりそうだ。けれど、みんなで力を合わせて乗り越えていこう。
そう強く誓い、俺達はこの場を後にしていった。
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