~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様
第83話 唯一王 レシアの本気を支える
「僕はもう、未熟な存在なんかじゃない。僕は、みんなを守るんだ──」
レシアのその言葉。ハッタリではないのを感じた。
そこに今までの弱気な心は一切入っていなかった。どんな事があっても仲間達を守り抜く。そんな強い気持ちと覚悟を持っているのを感じる
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
レシアは大きな声で叫ぶと、自身の体が自身の炎に包まれる。
そしてレシアの姿、今まではその炎に自分が焼かれてしまっていた。しかし今はそれがない。落ち着いて深呼吸をし、精神を整えた。
追い詰められると、レシアの炎が全身を包み能力を大幅にアップさせる。彼の特殊能力だ。
「レシア、まさかお前が自分の力を使いこなすとは。だが、それで勝ったと思うなよ」
レシアは目からうっすらと涙を流す。
そしてほんのりと笑みを見せた。
以前は炎を身にまとうとその炎をうまく制御することができず、自身が燃えてしまっていた。
けれど、今はその様子が全くない。体中に身にまとっている炎を、完全に自分の物として身に着けている。
「レシア。お前ならできる、強くなったお前の力を見せてやれ!」
「フライ、ありがとう。絶対にエンレィに勝って見せる!」
強気な表情から感じられるその言葉。それを聞いた俺は、彼なら絶対に勝てると
そして俺も最後の力を振り絞ってレシアに魔力を供給する。
正直俺も魔力をかなり使い切ってしまっている。
意識が飛びそうだ。けれどレシアだって自分の限界を超えて必死に頑張っているんだ。
弱音なんて吐いていられない。
そして二人は一騎打ちになる。
まずはエンレィが殴り掛かる。レシアはすぐに体勢を低くしその攻撃をかわす。そして無防備となった彼女に肉体に一気にナックルで殴り掛かる。
するとエンレィはそのまま前に重心を移動し空中で回転する形。
ヒットしたと思っていた攻撃は彼女の靴底をかすめて終わる。
しかしレシアの攻撃は終わらない。振り向きざまのエンレィに向かって一気に距離を詰めていく。
そして強気に攻撃を仕掛けていった。
二人とも、動きがとても速く、肉眼ではとらえきれないほどだ。
「フッ、力を使いこなせるようになったことは誉めてあげます。だが、私の敵でありません!!」
そう叫びながらエンレィがレシアに切り込んでくる。今まででも一番力がこもった切り込み。
一気に振り下ろされた攻撃をレシアはナックルで受け止める。
その表情は、とても苦しそうだ。恐らく、衝突したときの衝撃がかなりのダメージとなっている。
恐らくはかなりの激痛だろう。
「どう? 私の一撃、受けきれなかったみたいですね」
しかしその表情を見たエンレィも、有効打になったと思い込んでいる。自分の攻撃が通った瞬間というのは、どうしても気持ちが前のめりになってしまう。
そう、それがスキになるとも知らずに──。
レシアはその瞬間左手のナックルに力を込める。
「何っ??」
エンレィが慌てて気付いて距離を取ろうとしたが、レシアの右手でエンレィの持っていた剣をギット掴んでいた。
そのため、慌てて離れようとしても、離れることができず──。
「くらぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
レシアの全力の拳が、レシアの体に直撃する。
緩やかな弧を描いてエンレィの肉体が吹き飛ぶ。
その体は地面に直撃、数メートル程転がった後ようやく止まる。
レシアは勝負を決めようとエンレィの元へ追撃。しかしエンレィもすぐに起き上がり追撃を許さない。
そして再びの打ち合い。エンレィの剣とレシアのナックルが何度もぶつかり合う。
すごい、エンレィの圧倒的なパワーにも全く負けていない。互角の戦いをしている。
「頑張れレシア。俺が力になる」
「ありがとうフライ、僕は絶対に勝つよ!」
「ふざけるな。あなたのような半端者に、この私が負けるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
エンレィもボロボロになりながら応戦。言葉つきが変わり、外見もワイルドなものになってきていた。
本気で戦っているのがよくわかる。
それでもレシアは、エンレィの圧倒的なパワーにしっかりと対応。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
頑張れレシア、お前は役立たずなんかじゃない。強くなったお前の姿を見せてやれ!
「──うん」
俺も、ほとんど魔力が尽きていて今にも倒れそうだ。けれど、レシアのために何とか力をひねり出す。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォ!」
するとノダルの仲間の一人が俺に向かって突っ込んでくる。ボロボロの姿だが、俺も残り少ないパワーでレシアに力を送っている。まずいぞ。
──しかし。
「あなたに邪魔は、させないわ!」
それをレディナが妨害する。すでにボロボロになっているはずなのに、本当にありがとう。
「あいつが頑張っているんだもの。私だって、負けていられないわ!」
「そうだね」
俺もだ、途中でレシアに魔力が送れなかったなんてことが無いように、頑張る。
レシアはさらに速度を上げて、エンレィに立ち向かう。
──がやはり熾天使のという存在だけあって一筋縄ではいかない。それでも懸命に食らいついていく。
「フフッ。強くはなったけど、やはりまだ甘いわね」
レシアはエンレィの攻撃を懸命にさばくが、軌道を変えられ、右手で今度は防ぐ。しかし両手で対応したことで、エンレィの肘打ちに対応することができず、右頬に攻撃を受けてしまう。
何とか踏ん張り、対応したものの、エンレィの追撃は終わることもなく防戦一方になってしまう。
「バカですねぇ。パワーはあるかもしれないけど、ちょっと上品過ぎねぇ」
「勝手に、言ってなよ」
レシアは、強気な目つきでただ攻撃を受ける。まるで何かを、狙っているような──。
「これでおしまいよ。くらえぇぇぇぇ!」
そしれエンレィは一気に剣を振り下ろす。さっきとは比べ物にならない魔力の量。これで勝負を決めるつもりだというのが俺からも理解できる。
「レシア!」
俺は思わず叫ぶ。しかしレシアの表情は、どこか自信に満ちていた。
「これを、僕は待っていた!」
なんとレシアはナックルにありったけの魔力を込めその攻撃を受けきったのだ。そして左手でその剣をぎゅっとつかむ。
「は、離しなさい!」
「離さないよ。これで、勝負は決まりだ!」
そしてレシアは思いっきり体を回転させる。
そのまま剣を巻き込むようにしてエンレィを引き寄せる形になった。
「し、しまった──」
剣の内側に入られたエンレィになすすべはなく……。
「くらぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
剣を掴む手を右手に持ち替え、剣を離した。ナックルに魔力をため込み、エンレィのみぞおちに、自身の全力の裏拳を食らわせた。
白目をむいて吹き飛んだエンレィ。そしてとどめを刺すためにレシアはエンレィに急接近。
「レシア、お前の全力を叩き込め!」
「うん!」
その言葉通り全力の拳をエンレィにお見舞いした。
「ば、ば、バカな。この私がレシアなどに敗北するだとォォォォォォッ!」
そしてエンレィの肉体が後方へと吹き飛ぶ。そして壁にたたきつけられ、そのまま壁の下に落ちる。
エンレィの魔力はもうほとんど残っていない。
勝負はあった。
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