~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様
第80話 レディナの、真の実力
次の瞬間ノダルが俺の目の前から姿を消してしまう。
ノダルはそのまま、ハリーセルと戦闘をしているミュランの方へ。
まずい。こういった集団戦の場合、どこかで人数を集中させ、数的優位を作って敵を撃破していくのは定番の戦術だ。
俺もハリーセルが孤立しないように援軍へ。
「ダメフィッシュ!」
その瞬間、ハリーセルは俺を突き飛ばす。おかげで俺はノダルの攻撃を受けずに済んだわけだが、ハリーセルはそうはいかない。
「先ずは一人、片づけさせてもらったわ」
ノダルの一撃を直接くらってしまう。
ハリーセルの体が大きく吹き飛び、落下。
そのまま倒れこんでしまった。
「ごめんフィッシュ。後は任せたフィッシュ」
「これでまた一人片付いたわ」
残っているのは、俺とレディナだけ。相手は残り三人、それも強そうな奴ばかり。
大ピンチだ。これまでなのか──。
レディナは、ずっとヴィヴィアンとの戦いを続けていた。
「さあ、残りはあなたとフライさんだけ。そろそろあきらめた方が良いのでは?」
ヴィヴィアン。黒い長髪で長身のお姉さんのような姿。おしとやかな雰囲気で戦うときも
鉄でできた扇子を使い、華麗に舞うようにして闘うスタイルだ。
戦いもレディナが懸命に攻撃を仕掛けるが、その攻撃は全て受け流され、かわされてしまっている。
そして前がかりになりすぎると、彼女のカウンターが飛んできてしまう。
レディナはこれまでにもそれを数発くらっている。
それでもレディナはあきらめず、しかし焦って前がかりになりすぎず対応してきた。そして、彼女の質問に微笑を浮かべた。
「いいえ。全くあきらめていないわ。私は、この時を待っていたのよ──」
その言葉に今まで無表情だったヴィヴィアンも思わずくすっと笑ってしまう。
「フフフ──、面白い冗談ね。そんなハッタリで私たちが動揺するとでも思っているのかしら……」
レディナはヴィヴィアンの言葉など気にも留めない。もう、勝つにはそれしかないと理解しているからだ。
じっとヴィヴィアンに視線を定める。ずっと隣にいた俺だからわかる。あれは、強い覚悟を決めた目だ。
「──あんたたちには見せていなかった。それだけじゃない。フライ達にも。大ピンチの状況。けど今の私ではこの術式を使い切れない、仲間達を巻き込んでしまうかもしれないから。だから、今これを使うのよ」
その砲撃は一直線にヴィヴィアンの胴体へと直進し、直撃。その大爆発は繰り出された障壁ごとヴィヴィアンの肉体に直撃した。
彼女の肉体は数十メートルほど吹き飛び、倒れこむ。魔力の気配はもうない、もうこの場では戦えないだろう。
その姿を見たノダル。
「私達に勝てると思っている。そう思うなら、来なさい?」
「レディナ。切り札を隠し持っていたのか──」
ノダルは知らなかったのだろう。歯ぎしりをしながら言葉を返す。
俺は、聞いた事がある。レディナの本当の力それはこの前、連携の練習が終わり、部屋で偶然二人っきりになった時のことだ。
「私の切り札の術式よ。感情をすべて捨て、勝利のために常に最善を尽くすの」
「す、すごいじゃないか。そんな術式が使えるなんて──」
俺はレディナの言葉に思わず驚いてしまう。しかしレディナの表情は、どこか暗いまま。
「けれど、まだうまく使いこなせないのよ。常に目の前の相手を倒すために行動できる。けれどね、味方が視界に入るとそれを勝手に敵と認識して攻撃をしてしまうことがあるの。だからおいそれと使うことができないのよ」
「なるほどね。確かに同士討ちなんて、絶対避けたい。仮に切り抜けたとしても、今後の関係にひびが入ること間違いなしだ。考えなしに、発動できる術式じゃないのはわかる」
「そうね。私だって、フリーゼたちと争いになんてなりたくないわ」
「確かに強いけど、高いリスクもある。使うとすれば、それを使わなければ負け確定の状況。 それも味方が全滅して相当絶望的な状況とかだろう」
そして、今がその絶望的な状況というわけだ。ここから逆転しようとすれば、それ以外に手はない。
俺は、フリーゼとハリーセル、レシアの元へ避難。戦えない彼女たちにレディナが襲ってきたら止めるためだ。
常に最善を目掛けて無心で攻撃を行い続ける。そこにはレディナの意志は全く存在しない。
目的の敵たちを殲滅する機会になる術式。
リスクこそあるが、それに賭けるしか道はない。
「かっこつけるのも、いい加減にしろォォォォォォォォ!!!!」
その瞬間。斧を持った筋肉質の冒険者が、レディナ目掛けて襲い掛かる。
レディナに向かって振り下ろされた斧、それをひらりとかわす。
そして──。
「そんな亀みたいな攻撃、当たるわけないわ」
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
無防備となった冒険者にレディナの攻撃が炸裂。大きな爆発音を上げ、冒険者の体が大きく吹き飛ぶ。
意識は完全に失っており、もう戦えないのは誰の目にも理解できた。
そしてレディナはノダルと相対。
「さあ、次はあんたよ」
「望むところだ」
レディナはそっと目をつぶる。ノダルの叫び声、斧を振り向くタイミングも軌道も。それだけでなく、この場にいるすべての人物の足音と息。動き。
そうした物をすべて、見るのではなくただ感じ取る。
「今度こそ終わりだ。レディナァァァァァァァァァァ──!」
ノダルもここぞとばかりにレディナに向かって攻撃を放つ。彼女にかわされることが無いよう追跡機能までつけて。
「わかってるわ。その攻撃はいつまでも私を追ってくるんでしょ。関係ないわ」
そしてそのまま手から光弾を出す。放たれた数はわずかに一発。今までに放たれた光弾と何ら変わりはない。
しかしその攻撃はノダルが出した攻撃や、彼の反撃をかいくぐると、そのままノダルに直撃した。
ドォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
そして自身の剣を振り回す。その軌道は寸分の狂いもなくノダルが放った攻撃を撃墜。
「これで、邪魔者はいなくなったわ」
その姿を見たノダル。顔から血の気が少しずつ引いているのがわかる。
ノダルはそのまま、ハリーセルと戦闘をしているミュランの方へ。
まずい。こういった集団戦の場合、どこかで人数を集中させ、数的優位を作って敵を撃破していくのは定番の戦術だ。
俺もハリーセルが孤立しないように援軍へ。
「ダメフィッシュ!」
その瞬間、ハリーセルは俺を突き飛ばす。おかげで俺はノダルの攻撃を受けずに済んだわけだが、ハリーセルはそうはいかない。
「先ずは一人、片づけさせてもらったわ」
ノダルの一撃を直接くらってしまう。
ハリーセルの体が大きく吹き飛び、落下。
そのまま倒れこんでしまった。
「ごめんフィッシュ。後は任せたフィッシュ」
「これでまた一人片付いたわ」
残っているのは、俺とレディナだけ。相手は残り三人、それも強そうな奴ばかり。
大ピンチだ。これまでなのか──。
レディナは、ずっとヴィヴィアンとの戦いを続けていた。
「さあ、残りはあなたとフライさんだけ。そろそろあきらめた方が良いのでは?」
ヴィヴィアン。黒い長髪で長身のお姉さんのような姿。おしとやかな雰囲気で戦うときも
鉄でできた扇子を使い、華麗に舞うようにして闘うスタイルだ。
戦いもレディナが懸命に攻撃を仕掛けるが、その攻撃は全て受け流され、かわされてしまっている。
そして前がかりになりすぎると、彼女のカウンターが飛んできてしまう。
レディナはこれまでにもそれを数発くらっている。
それでもレディナはあきらめず、しかし焦って前がかりになりすぎず対応してきた。そして、彼女の質問に微笑を浮かべた。
「いいえ。全くあきらめていないわ。私は、この時を待っていたのよ──」
その言葉に今まで無表情だったヴィヴィアンも思わずくすっと笑ってしまう。
「フフフ──、面白い冗談ね。そんなハッタリで私たちが動揺するとでも思っているのかしら……」
レディナはヴィヴィアンの言葉など気にも留めない。もう、勝つにはそれしかないと理解しているからだ。
じっとヴィヴィアンに視線を定める。ずっと隣にいた俺だからわかる。あれは、強い覚悟を決めた目だ。
「──あんたたちには見せていなかった。それだけじゃない。フライ達にも。大ピンチの状況。けど今の私ではこの術式を使い切れない、仲間達を巻き込んでしまうかもしれないから。だから、今これを使うのよ」
その砲撃は一直線にヴィヴィアンの胴体へと直進し、直撃。その大爆発は繰り出された障壁ごとヴィヴィアンの肉体に直撃した。
彼女の肉体は数十メートルほど吹き飛び、倒れこむ。魔力の気配はもうない、もうこの場では戦えないだろう。
その姿を見たノダル。
「私達に勝てると思っている。そう思うなら、来なさい?」
「レディナ。切り札を隠し持っていたのか──」
ノダルは知らなかったのだろう。歯ぎしりをしながら言葉を返す。
俺は、聞いた事がある。レディナの本当の力それはこの前、連携の練習が終わり、部屋で偶然二人っきりになった時のことだ。
「私の切り札の術式よ。感情をすべて捨て、勝利のために常に最善を尽くすの」
「す、すごいじゃないか。そんな術式が使えるなんて──」
俺はレディナの言葉に思わず驚いてしまう。しかしレディナの表情は、どこか暗いまま。
「けれど、まだうまく使いこなせないのよ。常に目の前の相手を倒すために行動できる。けれどね、味方が視界に入るとそれを勝手に敵と認識して攻撃をしてしまうことがあるの。だからおいそれと使うことができないのよ」
「なるほどね。確かに同士討ちなんて、絶対避けたい。仮に切り抜けたとしても、今後の関係にひびが入ること間違いなしだ。考えなしに、発動できる術式じゃないのはわかる」
「そうね。私だって、フリーゼたちと争いになんてなりたくないわ」
「確かに強いけど、高いリスクもある。使うとすれば、それを使わなければ負け確定の状況。 それも味方が全滅して相当絶望的な状況とかだろう」
そして、今がその絶望的な状況というわけだ。ここから逆転しようとすれば、それ以外に手はない。
俺は、フリーゼとハリーセル、レシアの元へ避難。戦えない彼女たちにレディナが襲ってきたら止めるためだ。
常に最善を目掛けて無心で攻撃を行い続ける。そこにはレディナの意志は全く存在しない。
目的の敵たちを殲滅する機会になる術式。
リスクこそあるが、それに賭けるしか道はない。
「かっこつけるのも、いい加減にしろォォォォォォォォ!!!!」
その瞬間。斧を持った筋肉質の冒険者が、レディナ目掛けて襲い掛かる。
レディナに向かって振り下ろされた斧、それをひらりとかわす。
そして──。
「そんな亀みたいな攻撃、当たるわけないわ」
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!
無防備となった冒険者にレディナの攻撃が炸裂。大きな爆発音を上げ、冒険者の体が大きく吹き飛ぶ。
意識は完全に失っており、もう戦えないのは誰の目にも理解できた。
そしてレディナはノダルと相対。
「さあ、次はあんたよ」
「望むところだ」
レディナはそっと目をつぶる。ノダルの叫び声、斧を振り向くタイミングも軌道も。それだけでなく、この場にいるすべての人物の足音と息。動き。
そうした物をすべて、見るのではなくただ感じ取る。
「今度こそ終わりだ。レディナァァァァァァァァァァ──!」
ノダルもここぞとばかりにレディナに向かって攻撃を放つ。彼女にかわされることが無いよう追跡機能までつけて。
「わかってるわ。その攻撃はいつまでも私を追ってくるんでしょ。関係ないわ」
そしてそのまま手から光弾を出す。放たれた数はわずかに一発。今までに放たれた光弾と何ら変わりはない。
しかしその攻撃はノダルが出した攻撃や、彼の反撃をかいくぐると、そのままノダルに直撃した。
ドォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
そして自身の剣を振り回す。その軌道は寸分の狂いもなくノダルが放った攻撃を撃墜。
「これで、邪魔者はいなくなったわ」
その姿を見たノダル。顔から血の気が少しずつ引いているのがわかる。
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