~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様
第68話 レシアの、致命的な弱点
レシアの肉体が大きく吹き飛び、原っぱに転がり込む。
「まだまだ戦いの経験が足りないみたいだね、レシア」
レシアはゆっくりと起き上がり俺に視線を向けた。
解き放った威力からしてかなりダメージは受けているはず。
弱弱しいながらも、どこか真剣な目つきで俺を見ている。
それを見ていたレディナの声が俺の耳に入る。
「でも、まだ戦いは終わっていないみたいよ」
「はい、レディナの言う通りのようですね」
確かに、ずっと冒険者として経験を積んでいたからわかる。彼女の目。真剣さが残っている。 あれは、まだ勝負をあきらめていない目つきだ。
ゆっくりとレシアは立ち上がる。それを見ながら、俺は思わず後ずさりしてしまう。
がらりとこの場の雰囲気が変わる。彼女からただならぬ気配を感じ始めた。
何か作戦でもあるのだろう。
すると、口を開き始めたのはレディナだった。
「レシアの特殊なスキルが発動するわ。彼女は、ピンチになると彼の魔力の象徴である炎が全身を包むの。それによって戦闘力を大幅にパワーアップすることのよ」
おお、ピンチになった時にパワーアップできるのか。それはすごいじゃないか──。
彼女の全身が、白い炎に包まれていく。そこから発せられる魔力は、さっきまでとはけた違いに大きい。
レシアは目をつぶって精神統一をする。
そして深呼吸をすると──。
あちちちちちちちちちちちちちちちちちちちちち──。
その瞬間レシアはとたんにもだえ苦しみ、近くにある池に水から飛び込んだ。
何があったのか俺には理解できない。これが演技ではないというのが彼女の必死な様子から分かる。
すると横にいたレディナが頭に手をついてため息をする。
「やっぱり、ダメだわ」
「えっ、どういうことですかレディナ」
「フリーゼ、フライ。これがレシアの致命的な欠点なのよ。自分の炎をうまく制御することができず自分の炎に焼かれちゃうのよ」
「えっ? 本当なの……」
こんな欠点、予想もつかなかった。
確かに、自身の魔力を制御できないというのは俺も聞いた事がある。けれど自分の魔力で焼かれるというのは聞いた事がない。
これじゃあ彼女の強みが全く生きない。
このスキル。普通ならピンチの時に魔力をパワーアップさせる強力なスキルのはずなのに、台無しだ。
俺もレシアの姿を見てため息をつく。
レシアは、池に突っ込んで数十秒ほど、火が完全に消えたのかゆっくりと池から出て来た。
「……ふう」
「お疲れ様。レシアの抱えていた問題。よくわかったよ」
俺はそう言ってレシアね目の前に向かって歩いていく。
「レシアさん。風邪をひいてしまいますよ。拭いてください」
ずぶ濡れな彼女に、フリーゼがそっとタオルを渡した。
レシアは、シュンと落ち込みながら言葉を発し始める。
「──やっぱり僕使えないよね。役立たずだよね」
「そ、そんなことないフィッシュ。元気出すフィッシュ。それでも、仲間だフィッシュ」
「そんなこと言われても、すぐに手のひらを返されるのは分かっているよ。気安くそんな事言わないでよ!」
レシアは逆に反発してしまう。
ハリーセルはレシアを励まそうとして言ったのは分かっている。
──が下手に励ましたところで、逆効果なことは目に見えている。
気まずい空気がこの場を包む。その中で俺は優しくレシアに手を差し伸べる。
「一緒に乗り越えていこう。俺たちも協力するから、力になるから」
レシアは俺が返した言葉にただ黙ってしまう。そしてしばしの時間がたつ。
「そう言って、いざとなったら手のひらを返したり、仲間はずれにしたりしない?」
「しないよ。一緒に力を合わせて、乗り越えていこう」
「──はい。フライさんの言う通りです。私も、力になります」
「もう。しょうがないわね。一緒に乗り越えましょう」
フリーゼも、レディナも賛同してくれた。本当に嬉しい。
レシアは、目にうっすらと涙を浮かべている。
「……本当に、じゃあよろしくね。僕、頑張るから──」
こうして俺たちの仲間にレシアが加わることになった。
確かにノダルが言っていたように、重要な欠陥があるかもしれない。けれどさっきまで手合わせをしていてわかったことがある。
本当にトラウマなら、どうしようもないとあきらめているなら、始めた闘う俺にあのスキルを使ったりしない。
あそこで使っているということは、自分の欠点を何とかしたいと願って、克服しようとしていることだ。
それならば、俺がやるべきことは決まっている。一緒に彼女の力になって、トラウマを乗り越えていこう。
レシアは軽くタオルで体を拭く。
「池に突っ込んだせいでずぶ濡れね。一回ホテルに帰りましょう、着替えの服、貸してあげるから」
「確かに、レディナの言う通りだね。タオルじゃ拭ききれないから、案内するよ俺たちの部屋へ」
「──わかった」
そして俺たちが住んでいるホテルへ。レシアも一緒の部屋に泊まるため、その手続きをした後部屋へと戻る。
レディナはおもむろにタンスを開け、俺の服を一着取り出し、ベッドに置いた。
「フライ、悪いけどあなたの服、一着借りるわよ」
「いや、それはいいけど──」
俺の服? 別にいいけど、女の子の服の方がいいんじゃ……。
その心配は、杞憂だった。
レシアは恥ずかしがりながらズボンとパンツを脱ぎ始める。
「まだまだ戦いの経験が足りないみたいだね、レシア」
レシアはゆっくりと起き上がり俺に視線を向けた。
解き放った威力からしてかなりダメージは受けているはず。
弱弱しいながらも、どこか真剣な目つきで俺を見ている。
それを見ていたレディナの声が俺の耳に入る。
「でも、まだ戦いは終わっていないみたいよ」
「はい、レディナの言う通りのようですね」
確かに、ずっと冒険者として経験を積んでいたからわかる。彼女の目。真剣さが残っている。 あれは、まだ勝負をあきらめていない目つきだ。
ゆっくりとレシアは立ち上がる。それを見ながら、俺は思わず後ずさりしてしまう。
がらりとこの場の雰囲気が変わる。彼女からただならぬ気配を感じ始めた。
何か作戦でもあるのだろう。
すると、口を開き始めたのはレディナだった。
「レシアの特殊なスキルが発動するわ。彼女は、ピンチになると彼の魔力の象徴である炎が全身を包むの。それによって戦闘力を大幅にパワーアップすることのよ」
おお、ピンチになった時にパワーアップできるのか。それはすごいじゃないか──。
彼女の全身が、白い炎に包まれていく。そこから発せられる魔力は、さっきまでとはけた違いに大きい。
レシアは目をつぶって精神統一をする。
そして深呼吸をすると──。
あちちちちちちちちちちちちちちちちちちちちち──。
その瞬間レシアはとたんにもだえ苦しみ、近くにある池に水から飛び込んだ。
何があったのか俺には理解できない。これが演技ではないというのが彼女の必死な様子から分かる。
すると横にいたレディナが頭に手をついてため息をする。
「やっぱり、ダメだわ」
「えっ、どういうことですかレディナ」
「フリーゼ、フライ。これがレシアの致命的な欠点なのよ。自分の炎をうまく制御することができず自分の炎に焼かれちゃうのよ」
「えっ? 本当なの……」
こんな欠点、予想もつかなかった。
確かに、自身の魔力を制御できないというのは俺も聞いた事がある。けれど自分の魔力で焼かれるというのは聞いた事がない。
これじゃあ彼女の強みが全く生きない。
このスキル。普通ならピンチの時に魔力をパワーアップさせる強力なスキルのはずなのに、台無しだ。
俺もレシアの姿を見てため息をつく。
レシアは、池に突っ込んで数十秒ほど、火が完全に消えたのかゆっくりと池から出て来た。
「……ふう」
「お疲れ様。レシアの抱えていた問題。よくわかったよ」
俺はそう言ってレシアね目の前に向かって歩いていく。
「レシアさん。風邪をひいてしまいますよ。拭いてください」
ずぶ濡れな彼女に、フリーゼがそっとタオルを渡した。
レシアは、シュンと落ち込みながら言葉を発し始める。
「──やっぱり僕使えないよね。役立たずだよね」
「そ、そんなことないフィッシュ。元気出すフィッシュ。それでも、仲間だフィッシュ」
「そんなこと言われても、すぐに手のひらを返されるのは分かっているよ。気安くそんな事言わないでよ!」
レシアは逆に反発してしまう。
ハリーセルはレシアを励まそうとして言ったのは分かっている。
──が下手に励ましたところで、逆効果なことは目に見えている。
気まずい空気がこの場を包む。その中で俺は優しくレシアに手を差し伸べる。
「一緒に乗り越えていこう。俺たちも協力するから、力になるから」
レシアは俺が返した言葉にただ黙ってしまう。そしてしばしの時間がたつ。
「そう言って、いざとなったら手のひらを返したり、仲間はずれにしたりしない?」
「しないよ。一緒に力を合わせて、乗り越えていこう」
「──はい。フライさんの言う通りです。私も、力になります」
「もう。しょうがないわね。一緒に乗り越えましょう」
フリーゼも、レディナも賛同してくれた。本当に嬉しい。
レシアは、目にうっすらと涙を浮かべている。
「……本当に、じゃあよろしくね。僕、頑張るから──」
こうして俺たちの仲間にレシアが加わることになった。
確かにノダルが言っていたように、重要な欠陥があるかもしれない。けれどさっきまで手合わせをしていてわかったことがある。
本当にトラウマなら、どうしようもないとあきらめているなら、始めた闘う俺にあのスキルを使ったりしない。
あそこで使っているということは、自分の欠点を何とかしたいと願って、克服しようとしていることだ。
それならば、俺がやるべきことは決まっている。一緒に彼女の力になって、トラウマを乗り越えていこう。
レシアは軽くタオルで体を拭く。
「池に突っ込んだせいでずぶ濡れね。一回ホテルに帰りましょう、着替えの服、貸してあげるから」
「確かに、レディナの言う通りだね。タオルじゃ拭ききれないから、案内するよ俺たちの部屋へ」
「──わかった」
そして俺たちが住んでいるホテルへ。レシアも一緒の部屋に泊まるため、その手続きをした後部屋へと戻る。
レディナはおもむろにタンスを開け、俺の服を一着取り出し、ベッドに置いた。
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「いや、それはいいけど──」
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