~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様
第63話 唯一王 遺跡のことについて聞く
俺がレディナの体を洗う番だ。レディナはまいているタオルを壁にかけ、背中を向ける。
真っ白で綺麗な彼女の肌が俺の目の前に現れる。天国かな、ここは。
そしてタオルに石鹸をしみこませ、レディナの背中を磨く。
レディナが痛い思いをしなくて済むように優しく。
それからしばしの時間がたつと──。
「背中はもういいわ。今度は前を洗ってちょうだい」
「やっぱり、そうなるのか……」
レディナの前の部分を洗う番だ。
背中から前に手を伸ばし、そこから恐る恐るお腹の部分にタオルを当てる。
流石に正面を見るわけにはいかない。そういう関係ではないからだ。
お腹の部分を優しく揉みしだくように洗う。女の子の肌は敏感であまり刺激を与えてはいけないんだっけ。
お腹の部分が終わると今度は上の部分、ゆっくりと腕を上へ上げる。
するとむにゅんと柔らかいものを掴んでしまう。と同時に──。
「あ──、ちょっと!」
妙に色っぽい声で反応するレディナ。掴んではいけないものを掴んでしまったようだ。
「レディナ、ごめん!」
「そこは、一人でやるわよ。とりあえず風呂に入っていていいわ」
そしてレディナは残りの部分を洗う。
俺は一度深呼吸をした後、ゆっくりと湯船につかっていく。
すると、全身を洗い終わったようでレディナが隣に座り始めた。
距離が近すぎて、腕がくっついてしまう。
ほど良く肉付きのいい彼女の二の腕が当たりとても気持ちいい。
丁度いい暖かさに心をリラックスさせていると、タオルを頭に巻いたレディナが話しかけてきた。
「あなた、その力を使って、悪いことをしようとは考えなかったの?」
その言葉に俺は少し考える。
確かに俺の力を使えば、 それでもっとお金を稼いだり。できるかもしれない。けれど──。
「その時は、考えもしなかったよ。だって、みんなが困っている姿見たら、自然と助けたくなっちゃってさ」
「フフッ、そういう所、嫌いじゃないわ。だから、一緒に居たいと思うようになったのだと思うわ」
レディナが微笑を浮かべる。どこか喜んだ様子だ。
湯船に流れ込むお湯の音。それから薄暗いランプの光がこの場一帯を照らしレディナの肌を、色っぽく、美しく見せている。
「少しは見直したわあなた。ノダルみたいに、私達を金の生る木とは考えていないのね」
「そんなことしないよ。対等な関係、それだけだ」
考えてみれば、レディナだって順風満帆な過去を迎えていたわけじゃない。
人間不信になって、俺たちを敵として扱ってもおかしくはなかった。
だから、俺のことを信じてくれることは、素晴らしいことなのだと思う。
「ありがとう、信じているわ。フライ──」
レディナの今の言葉、絶対に裏切るようなことがないようにしたい。
そして俺とレディナはゆっくりと体を温める。
──が会話が続かない。気まずい雰囲気ができてしまっている。
とりあえず何か話してあげないと。
話す話題を必死に考える俺。何かレディナと話せるようなことはないかな。
と考えていると一つの話題が頭に浮かんでくる。
今、周囲に敵の気配はない。
いいチャンスだ。遺跡のこと、気になっていたことがあるから聞いてみよう。
「そういえば、ハリーセルの遺跡の時も気になっていたんだけど、聞いていいか?」
「何よ、フライ」
「レディナたちの遺跡って、遺跡の中に海があったり、俺たちの技術じゃ考えられないようなことが起こっているよな。人間じゃ、考えられないというか、どんな仕組みなんだ?」
二人の遺跡を巡った時点で気にかけていた。
ダンジョンの中のはずなのに、リゾート地のような海があったりしていた。まるで、遺跡の中にもう一つの世界があるようだった。
人間の技術はもちろん、魔法を使ってもこんなことできるはずなんてない。
だから、その仕組みが気になったからだ
すると、説明に迷ったのか俺もレディナも言葉が止まってしまう。
しばらくすると、腕を組みながらレディナが言葉を発し始めた。
「簡単に説明すると、私達のダンジョンはあなたたちの世界とは違うのよね。あの転送装置はあなたたちの世界から私たちの世界へと冒険者たちを送る役割を担っているわ」
「違う世界? 確かに遺跡の中ってどこか不思議な雰囲気をしていたけど、どういうことなの、レディナ」
「天界という私たちが住んでいたところの世界なのよ、フライ」
天界? 確かに彼女たちは精霊という俺たちと違う世界に住んでいた人たちだ。
けれど、初めて聞いた名前だ。
「そのことについて、教えてくれないかな? レディナ」
するとレディナは遠目になり、何かを思い出した様な様子になり、語り始めた。
「天界っていうのはね、私達が住んでいた世界のことよ。晴天の空にカラフルなお花畑がどこまでも続いている楽園のような場所よ。その中にね、大きなお城があるの。私達が住んでいた場所よ」
お花畑にお城。まるで天国みたいだな──。
「そこではね、精霊たちが持っている魔法によって文明は発展し、人間たちとは比べ物にならない科学力を持っていたわ。そんな場所の力で、あの遺跡はできていたのよ」
そういう事になっていたのか。天界、行ってみたい場所でもあるな。
「天界、今となっては懐かしいわ。まだあそこには私の親友もいるしね。みんなと楽しく過ごしたり、会話したり。またいつかそうしてみたい。今もその気持ちは、忘れていないわ」
レディナはお湯を肩に掛けながら、フッと微笑を浮かべる。やはり、他の仲間や故郷の友達のことが気になるのだろうか。
それを見て決心した。
仲間がそう願っているなら、俺がこれからやるべきことは一つしかない。
「俺も、出来る限りのことはするよ。だから、これからもよろしくね」
レディナからの願い。必ず叶えられるなんて保証はどこにもない。
でも、大変かもしれないけれど、彼女たちと一緒に乗り越えていこう。
「ありがとう。これからもよろしくね。あと、今日一日あんたと一緒にいて思ったわ。あなたとなら一緒にいて、旅をする仲間にふさわしいって」
そ、そうかな、お世辞で言っているのかな?
真正面から言われると、流石に照れてしまう。
「あ、ありがとうレディナ、足りないところとかもまだまだあるけれど、これからもよろしくね」
「こっちも、あなたのこと、信用しているわ。これからも、協力して生活していきましょう」
レディナは、口うるさい所があるけれど、それは俺のことを思ってくれていることの裏返しだ。
そんな彼女と他の仲間たち。
絶対に大切にしていきたい。大変だと思うけれど、やっとできた信頼できる仲間達だ。
そんな思いを胸に、俺は浴場を後にしていった。
真っ白で綺麗な彼女の肌が俺の目の前に現れる。天国かな、ここは。
そしてタオルに石鹸をしみこませ、レディナの背中を磨く。
レディナが痛い思いをしなくて済むように優しく。
それからしばしの時間がたつと──。
「背中はもういいわ。今度は前を洗ってちょうだい」
「やっぱり、そうなるのか……」
レディナの前の部分を洗う番だ。
背中から前に手を伸ばし、そこから恐る恐るお腹の部分にタオルを当てる。
流石に正面を見るわけにはいかない。そういう関係ではないからだ。
お腹の部分を優しく揉みしだくように洗う。女の子の肌は敏感であまり刺激を与えてはいけないんだっけ。
お腹の部分が終わると今度は上の部分、ゆっくりと腕を上へ上げる。
するとむにゅんと柔らかいものを掴んでしまう。と同時に──。
「あ──、ちょっと!」
妙に色っぽい声で反応するレディナ。掴んではいけないものを掴んでしまったようだ。
「レディナ、ごめん!」
「そこは、一人でやるわよ。とりあえず風呂に入っていていいわ」
そしてレディナは残りの部分を洗う。
俺は一度深呼吸をした後、ゆっくりと湯船につかっていく。
すると、全身を洗い終わったようでレディナが隣に座り始めた。
距離が近すぎて、腕がくっついてしまう。
ほど良く肉付きのいい彼女の二の腕が当たりとても気持ちいい。
丁度いい暖かさに心をリラックスさせていると、タオルを頭に巻いたレディナが話しかけてきた。
「あなた、その力を使って、悪いことをしようとは考えなかったの?」
その言葉に俺は少し考える。
確かに俺の力を使えば、 それでもっとお金を稼いだり。できるかもしれない。けれど──。
「その時は、考えもしなかったよ。だって、みんなが困っている姿見たら、自然と助けたくなっちゃってさ」
「フフッ、そういう所、嫌いじゃないわ。だから、一緒に居たいと思うようになったのだと思うわ」
レディナが微笑を浮かべる。どこか喜んだ様子だ。
湯船に流れ込むお湯の音。それから薄暗いランプの光がこの場一帯を照らしレディナの肌を、色っぽく、美しく見せている。
「少しは見直したわあなた。ノダルみたいに、私達を金の生る木とは考えていないのね」
「そんなことしないよ。対等な関係、それだけだ」
考えてみれば、レディナだって順風満帆な過去を迎えていたわけじゃない。
人間不信になって、俺たちを敵として扱ってもおかしくはなかった。
だから、俺のことを信じてくれることは、素晴らしいことなのだと思う。
「ありがとう、信じているわ。フライ──」
レディナの今の言葉、絶対に裏切るようなことがないようにしたい。
そして俺とレディナはゆっくりと体を温める。
──が会話が続かない。気まずい雰囲気ができてしまっている。
とりあえず何か話してあげないと。
話す話題を必死に考える俺。何かレディナと話せるようなことはないかな。
と考えていると一つの話題が頭に浮かんでくる。
今、周囲に敵の気配はない。
いいチャンスだ。遺跡のこと、気になっていたことがあるから聞いてみよう。
「そういえば、ハリーセルの遺跡の時も気になっていたんだけど、聞いていいか?」
「何よ、フライ」
「レディナたちの遺跡って、遺跡の中に海があったり、俺たちの技術じゃ考えられないようなことが起こっているよな。人間じゃ、考えられないというか、どんな仕組みなんだ?」
二人の遺跡を巡った時点で気にかけていた。
ダンジョンの中のはずなのに、リゾート地のような海があったりしていた。まるで、遺跡の中にもう一つの世界があるようだった。
人間の技術はもちろん、魔法を使ってもこんなことできるはずなんてない。
だから、その仕組みが気になったからだ
すると、説明に迷ったのか俺もレディナも言葉が止まってしまう。
しばらくすると、腕を組みながらレディナが言葉を発し始めた。
「簡単に説明すると、私達のダンジョンはあなたたちの世界とは違うのよね。あの転送装置はあなたたちの世界から私たちの世界へと冒険者たちを送る役割を担っているわ」
「違う世界? 確かに遺跡の中ってどこか不思議な雰囲気をしていたけど、どういうことなの、レディナ」
「天界という私たちが住んでいたところの世界なのよ、フライ」
天界? 確かに彼女たちは精霊という俺たちと違う世界に住んでいた人たちだ。
けれど、初めて聞いた名前だ。
「そのことについて、教えてくれないかな? レディナ」
するとレディナは遠目になり、何かを思い出した様な様子になり、語り始めた。
「天界っていうのはね、私達が住んでいた世界のことよ。晴天の空にカラフルなお花畑がどこまでも続いている楽園のような場所よ。その中にね、大きなお城があるの。私達が住んでいた場所よ」
お花畑にお城。まるで天国みたいだな──。
「そこではね、精霊たちが持っている魔法によって文明は発展し、人間たちとは比べ物にならない科学力を持っていたわ。そんな場所の力で、あの遺跡はできていたのよ」
そういう事になっていたのか。天界、行ってみたい場所でもあるな。
「天界、今となっては懐かしいわ。まだあそこには私の親友もいるしね。みんなと楽しく過ごしたり、会話したり。またいつかそうしてみたい。今もその気持ちは、忘れていないわ」
レディナはお湯を肩に掛けながら、フッと微笑を浮かべる。やはり、他の仲間や故郷の友達のことが気になるのだろうか。
それを見て決心した。
仲間がそう願っているなら、俺がこれからやるべきことは一つしかない。
「俺も、出来る限りのことはするよ。だから、これからもよろしくね」
レディナからの願い。必ず叶えられるなんて保証はどこにもない。
でも、大変かもしれないけれど、彼女たちと一緒に乗り越えていこう。
「ありがとう。これからもよろしくね。あと、今日一日あんたと一緒にいて思ったわ。あなたとなら一緒にいて、旅をする仲間にふさわしいって」
そ、そうかな、お世辞で言っているのかな?
真正面から言われると、流石に照れてしまう。
「あ、ありがとうレディナ、足りないところとかもまだまだあるけれど、これからもよろしくね」
「こっちも、あなたのこと、信用しているわ。これからも、協力して生活していきましょう」
レディナは、口うるさい所があるけれど、それは俺のことを思ってくれていることの裏返しだ。
そんな彼女と他の仲間たち。
絶対に大切にしていきたい。大変だと思うけれど、やっとできた信頼できる仲間達だ。
そんな思いを胸に、俺は浴場を後にしていった。
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