~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様
第61話 唯一王 レディナと夕焼けを見る
強すぎないように優しく握りながら、俺たちは海沿いの道を歩く。
海風から潮の顔路をほのかに感じながら、俺はレディナの顔に視線を向ける。すぐにレディナも俺に視線を向け、目と目が合ってしまう。
レディナは顔を赤くして質問してくる。
「な、何よ。人の顔をじろじろ見て、顔に何かついてるの?」
「い、いや、そういうわけじゃないんだ。ただ、今日の俺どうかなってずっと気になっていたんだ」
レディナの前では下手に取り繕たってうまくいく気がしない。とりあえず気になっていたことをそのまま質問する。
「どうって、決まっているでしょ!」
そしてレディナはふっと微笑を浮かべる。どこか照れくささが混じったような笑みだ。
「意外とすごいじゃない。こんないい所を紹介してくれるなんて、見直しちゃったわ」
その言葉に俺は安心してほっと息をなでおろす。良かった、気に入ってくれて。
「ありがとう、気に入ってくれてとても嬉しいよ」
「どういたまして。あんたが私のことをちゃんと考えてくれていることは理解したわ。こっちこそありがとうね」
そんなやり取りをしながらさらに海岸線を歩く。
よく見ると若い男女のカップルらしき人をよく見かける。みんな仲良さそうにたわいもない話をしていたり、中には人目を気にせずいちゃついていたりキスをしている人もいた。
「なんかここ、カップルが多い場所だね」
「当然よ。この橋から見える夕日はこの街の名物だもの。そしてここはカップルたちがそれを見に来る場所として恋人たちの聖地になっているのよ」
俺たち、このままじゃカップルに間違われてしまいそうだ。
「なんていうか、これじゃあ俺達恋人同士だと思われちゃいそうだね」
「なりたいの?」
その言葉に俺は思わずドキッとしてしまう。
「な、何言ってるんだよ! べ、別にそんなんじゃないよ」
からかうような言葉に動揺しているとレディナはフッと笑みを見せて言葉を返す。
「ありがとう、感謝しているわ」
そう言ってレディナは立ち止まる。そして夕日が沈んでいく海に視線を向けた。
目を細め、どこか切なさを感じる表情を見せて髪をなでながらさらに会話を進める。
「あなた達と一緒にいることができて、私は変わったわ」
「え──。どういうこと?」
「あなたたちと出会えて、本当に良かったと思っているわ。楽しいことばかりじゃないけれど、あなた達と一緒に行動して、とても充実しているわ。ともに協力して、敵と戦って、一緒に楽しく遊んだりして、あっという間の日常だったの」
確かに、レディナは別の人物によって解放されたが、その時は悪いことに協力されたりしていてどこか嫌な気分になっていたもんな。
「そう言ってくれると、こっちも嬉しいよ。これからも、足りないところもあるかもしれないけれど、よろしくね」
「──期待してるわ」
その言葉、絶対に裏切ることがないようにこれからも頑張ろう。うまくいくかはわからないけれど、レディナが喜んでもらえるようにこれからも尽くしていこう。
そんなことを考えながら俺たちはこの場を去っていく。
それから俺たちは堅苦しくて値段が高い店で食事をとる。
ちょっと高かったけれど、とてもおいしかった。
そして夜、にぎやかで人通りの多い道。そこを手をつなぎながら俺とレディナは歩く。
しかし、どこか気まずい。というのもあまり会話ができていない。何とか気を使ってあげなきゃとは考えているんだけど。どうすればいいかわからない。
するとレディナがため息をついてこっちを振り向いてきた。
「もう、気まずいじゃないの」
「ご、ごめんレディナ」
だって、異性に気を遣うのとっても難しいんだもん。どうすれば楽しんでもらえるかなって、考えれば考えるほど悩んだ挙句に何も浮かばないんだから。
「宿題よ。どうすれば沈黙の時間ができずに済むか、ちゃんと考えてきなさい。次のデートまでの宿題よ」
「──はい」
俺はシュンとしながら言葉を返す。するとレディナはどこか物欲しそうな表情で話し始めた。
「まあ、それまでのエスコートはそこそこできた方だと思うわ。だから、フライにしてはよくできた方だと思っているわ」
俺にしては──。喜んでいいのだろうか……。するとレディナがくるりと体を反転させ、俺の前を歩き始めた。
「じゃあ今度は、私が行きたいところに行っていいかしら?」
「ああ、それは大丈夫だよ」
レディナの行きたいところ。どんな場所かな、ちょっと興味あるな。
そして俺はレディナの後ろを歩いていく。
その姿は、どこかノリノリであるかのように見えた。
そしてしばらく歩き、街の郊外へとたどり着く。
「ここが、私が行きたかったところよ」
レディナが指さした場所に視線を向ける。
「ここは、大浴場?」
「そうよ。汗かいちゃったでしょ。街で噂になっていたのよ。ここの大浴場、とっても気持ちいいって。それに遅い時間だから人もそこまでいないし、きっと快適に過ごせるわ」
大浴場。実際に入ったことはないけれど、噂には聞いた事がある。大きいお湯が入った浴場があり、そこでお湯につかって体の疲れをとったり、清潔にしたりするというものだ。
「いいよ。俺こういうの初めてなんだ。入ろう」
「いろいろ街を歩いて、疲れをとったりするのにちょうどいいわ」
そして俺たちは店の中に入る。
海風から潮の顔路をほのかに感じながら、俺はレディナの顔に視線を向ける。すぐにレディナも俺に視線を向け、目と目が合ってしまう。
レディナは顔を赤くして質問してくる。
「な、何よ。人の顔をじろじろ見て、顔に何かついてるの?」
「い、いや、そういうわけじゃないんだ。ただ、今日の俺どうかなってずっと気になっていたんだ」
レディナの前では下手に取り繕たってうまくいく気がしない。とりあえず気になっていたことをそのまま質問する。
「どうって、決まっているでしょ!」
そしてレディナはふっと微笑を浮かべる。どこか照れくささが混じったような笑みだ。
「意外とすごいじゃない。こんないい所を紹介してくれるなんて、見直しちゃったわ」
その言葉に俺は安心してほっと息をなでおろす。良かった、気に入ってくれて。
「ありがとう、気に入ってくれてとても嬉しいよ」
「どういたまして。あんたが私のことをちゃんと考えてくれていることは理解したわ。こっちこそありがとうね」
そんなやり取りをしながらさらに海岸線を歩く。
よく見ると若い男女のカップルらしき人をよく見かける。みんな仲良さそうにたわいもない話をしていたり、中には人目を気にせずいちゃついていたりキスをしている人もいた。
「なんかここ、カップルが多い場所だね」
「当然よ。この橋から見える夕日はこの街の名物だもの。そしてここはカップルたちがそれを見に来る場所として恋人たちの聖地になっているのよ」
俺たち、このままじゃカップルに間違われてしまいそうだ。
「なんていうか、これじゃあ俺達恋人同士だと思われちゃいそうだね」
「なりたいの?」
その言葉に俺は思わずドキッとしてしまう。
「な、何言ってるんだよ! べ、別にそんなんじゃないよ」
からかうような言葉に動揺しているとレディナはフッと笑みを見せて言葉を返す。
「ありがとう、感謝しているわ」
そう言ってレディナは立ち止まる。そして夕日が沈んでいく海に視線を向けた。
目を細め、どこか切なさを感じる表情を見せて髪をなでながらさらに会話を進める。
「あなた達と一緒にいることができて、私は変わったわ」
「え──。どういうこと?」
「あなたたちと出会えて、本当に良かったと思っているわ。楽しいことばかりじゃないけれど、あなた達と一緒に行動して、とても充実しているわ。ともに協力して、敵と戦って、一緒に楽しく遊んだりして、あっという間の日常だったの」
確かに、レディナは別の人物によって解放されたが、その時は悪いことに協力されたりしていてどこか嫌な気分になっていたもんな。
「そう言ってくれると、こっちも嬉しいよ。これからも、足りないところもあるかもしれないけれど、よろしくね」
「──期待してるわ」
その言葉、絶対に裏切ることがないようにこれからも頑張ろう。うまくいくかはわからないけれど、レディナが喜んでもらえるようにこれからも尽くしていこう。
そんなことを考えながら俺たちはこの場を去っていく。
それから俺たちは堅苦しくて値段が高い店で食事をとる。
ちょっと高かったけれど、とてもおいしかった。
そして夜、にぎやかで人通りの多い道。そこを手をつなぎながら俺とレディナは歩く。
しかし、どこか気まずい。というのもあまり会話ができていない。何とか気を使ってあげなきゃとは考えているんだけど。どうすればいいかわからない。
するとレディナがため息をついてこっちを振り向いてきた。
「もう、気まずいじゃないの」
「ご、ごめんレディナ」
だって、異性に気を遣うのとっても難しいんだもん。どうすれば楽しんでもらえるかなって、考えれば考えるほど悩んだ挙句に何も浮かばないんだから。
「宿題よ。どうすれば沈黙の時間ができずに済むか、ちゃんと考えてきなさい。次のデートまでの宿題よ」
「──はい」
俺はシュンとしながら言葉を返す。するとレディナはどこか物欲しそうな表情で話し始めた。
「まあ、それまでのエスコートはそこそこできた方だと思うわ。だから、フライにしてはよくできた方だと思っているわ」
俺にしては──。喜んでいいのだろうか……。するとレディナがくるりと体を反転させ、俺の前を歩き始めた。
「じゃあ今度は、私が行きたいところに行っていいかしら?」
「ああ、それは大丈夫だよ」
レディナの行きたいところ。どんな場所かな、ちょっと興味あるな。
そして俺はレディナの後ろを歩いていく。
その姿は、どこかノリノリであるかのように見えた。
そしてしばらく歩き、街の郊外へとたどり着く。
「ここが、私が行きたかったところよ」
レディナが指さした場所に視線を向ける。
「ここは、大浴場?」
「そうよ。汗かいちゃったでしょ。街で噂になっていたのよ。ここの大浴場、とっても気持ちいいって。それに遅い時間だから人もそこまでいないし、きっと快適に過ごせるわ」
大浴場。実際に入ったことはないけれど、噂には聞いた事がある。大きいお湯が入った浴場があり、そこでお湯につかって体の疲れをとったり、清潔にしたりするというものだ。
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