~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様

静内 燕

第53話 今日から、三人をエスコート

俺達は、王都クラリアへと帰還。その後、部屋を探す。
今回は運が良かったせいかすぐに見つかった。

それから家事などを手分けして数日過ごした後、その時はやってきた。


「とうとうこの日がやってきてしまった」


これから行うことを考えると、気が重くなり憂鬱になる。

何を隠そう今日から一人づつデートをすることになっている。それも俺が彼女たちをエスコートするという形で。
何でこんなことをしているかというと、それはこの王都に帰還し部屋を見つけた時のこと。

長旅の疲れもあり、お菓子を食べながらベッドでぐったりとしていた時だった。


「ねえみんな、これからフライと一人づつ、デートをするというのはどう?」

突然レディナが言い出した。
なんで、デートなんてしなきゃいけないんだよ。

「いろいろ、この女たらしには言いたいことが山ほどあるわ!」

「いいですね。私、感じていました、フライさん、いい人でとてもやさしいんですけれど、どこか異性としては物足りないなと。このままではいざ好きな異性を見つけた時、フラれてしまいます。私としても、フライさんがそんな不幸な目に合うのは避けたいです。なので、まずは私達を交際相手だと思ってエスコートしてください」

「そうフィッシュ。楽しそうフィッシュ。フライのために頑張るフィッシュ。

何とフリーゼとハリーセルも賛同。




そして俺は彼女たちと一人づつデートしなきゃいけないことになってしまった。
どうしよう。異性と交際したことなんて全くないし、絶対やらかすだろこれ。



俺抜きで三人で順番を決めた結果、まずはハリーセルからとなった。

「それで、ハリーセルをどこに連れていくの?」

「どこにって、それも俺が決めるの?」

するとレディナが指を差しながら言葉を返す。

「当然でしょ。そこから決めないと練習にならないでしょ。女の子気持ちを考えて最適な場所選びをする。勝負はここから始まっているのよ。それはね、マニュアルにはないの。女の子の性格や気分、気持ちを考えたうえで最適なところを探さないといけないのよ」

レディナの指摘に俺は考え込んでしまう。デートや異性との交際経験など、全く無縁の人生を歩んでいた俺にとって、これはかなりの難問だ。

ハリーセルだったら、フリーゼと違っていろいろ楽しめるようなところがいいのかな?
彼女、活動的なところあるし。

日にちは三日後。ハリーセルが好きそうな場所。そうだ、あそこならハリーセルは喜ぶかもしれない。

「三日後だろ。俺にいい案がある」

そして俺はその場所を三人に言い放つ。

「おおっ、楽しそうだフィッシュ。ぜひ行ってみたいフィッシュ」

「確かに、それならハリーセルとのデートにはぴったりかもしれませんね」

フリーゼの言う通り、ハリーセルは場所を聞いて喜んでいる。レディナは場所を聞いて髪をなでながら言葉を返す。

「──まあ、あんたにしてはいいセンスしてるじゃない。まずは第一試験合格ね。良いわ、そこにしなさい」

──とりあえずは大丈夫だ。

しかし、俺がデートなんてして上手くいくのだろうか。考えるだけで頭が痛くなってしまう。

まあ、全力を出して頑張ろう。




そして三日後、約束の時間となる。

俺はそれまでにデートにふさわしい服を買ったり、知り合いにデートのやり方やエスコートの仕方などを聞いたりした。

普段来ているローブではなく、少し気取ったシャツとGパンを着て約束の噴水のある中央広場に到着。


少し時間がたち、約束の時間になると彼女が現れた。

「ハリーセル、こっちこっち」


ハリーセルの服装。水色を基調としたかわいらしいフリルが付いたシャツと太ももがすこし出ているミニスカートだ。

ハリーセルの活動的で元気な部分と、かわいらしい色気があるところがよく表れていてとてもかわいらしい。

「お──、フライ。いたフィッシュ」

「かわいいね。その服とても似合っているよ」

するとハリーセルはにっこりとした笑顔になり──。

「ありがとうフィッシュ。考えた甲斐があったフィッシュ」

とても喜んでいる。掴みはばっちりだ。


「それで、これからどうするフィッシュか?」

「当然、行くよ。今日のデート予定の場所、闇市に」



先日レディナに提案したハリーセルとのデートの行き先。それはこの建物で行われる闇市だ。
闇市とはいっても違法なものが売られているわけではないし、治安が特別悪いわけでもない市場だ。

そこでは商人たちがごぞって他国の貴重品や珍しいものを販売している。
いつも行っている市場では売っていない珍しいものがたくさん陳列されてると聞く。

それならば、好奇心旺盛な彼女にぴったりな場所。そう感じたからだ。

するとハリーセルははぁっと表情を明るくさせ──。


「楽しそうフィッシュ。ワクワクするフィッシュ」

「それはよかった。ハリーセルが喜んでくれて何よりだよ。じゃあ、その場所に行こうか」

そして俺たちは闇市へと出発する。

人通りが多くてにぎやかな繁華街を向け、物静かな裏通りへと入っていく。
大きな建物が立ち並ぶ狭い道。
通りすがる人も、どこか貧しいい人が多くなり、アウトローな雰囲気を醸し出している。

そしてその中にある大きくて高い建物。

「ここだよ」

政府の人には知られていない、非公式な市場。
それはこの場所で開かれている。

「なんか、秘密の場所っぽいフィッシュ」

確かに、入口が狭く、薄汚れた場所だ。

「とりあえず、入ってみよう」

そして俺たちは入口へと入っていく。ランプで照らされた、薄暗い階段。

途中、黒い服を着た案内役の人に出会う。その人に闇市への許可証を渡す。

「了解しました。それではどうぞ」

そして俺たちはその奥の道を歩き、大きな扉へ。

「じゃあ、開けるよ」

「わかったフィッシュ」

キィィィィィィィィ──。

扉の向こう、闇市へ。

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