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~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間そのスキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がる。なお俺を追放したパーティーは没落した模様

静内 燕

第8話 凋落の始まり(三人称視点)

一方、フライを見捨ててダンジョンをひたすら逃げていたパーティーたち。
当初はフライ一人でもなんとか魔物と戦えていたため楽勝だと考えていた。しかし、そんな楽観的な考えは、もろくも崩れ去ったのだ。

「おいリーダー、お前地図も読めないのかよ。どうするんだよ。さっきから道に迷いまくってるぞ!」

「チッ、貴様に言われる筋合いはない。自分ができないことを人に強要するな」

ウェルキがアドナに詰め寄り、アドナは舌打ちをした後言い返す。
冷静さの中に、明らかにいら立ちを隠せないでいた。


「もう、こんな時に言い争っている場合じゃないでしょ。どうすんのよ、流石に迷いすぎよ。どれだけ魔物と無駄に戦っているのよ」

それをイライラしながらキルコが割って入る。いつもならフライが地図を片手に、罠や気配などを察知しながらダンジョンを進んでいた。そのため、より近い道、罠が少なく、魔物と出会わないような道を選んだりして進んでいたのだが、彼らにそれは伝わっていなかった。

闇雲に走っては魔物たちと無駄に出会い、戦いを繰り返していた。
Sランクだけあって戦闘力こそはあるものの、あまりの数の多さに、苦戦し、魔力が底をついてきたのだ。

そして今も彼らが戦いを終えたころに、中級ゴブリンが大量にやってきた。
すぐにウェルキがゴブリン達に向かって一気に突っ込んでいき、力任せに彼らを切り裂いていく。

「何でこんな強ええんだよぉぉ!」


中級ゴブリンが数十体。いつもであればすぐに瞬殺していたはずの敵が倒せない。
動きが遅く、斬撃の威力も落ちている。おまけに受けるダメージも倍くらいに増えているのだ。

当然だ。今この場にフライはいない。フライの術式の加護は今存在しない。

あらゆるダメージを半減させる術式「レインボーベール」や、パーティー全員の魔力を底上げする術式「フレアオーラ」が無いのだから当然だ。

彼らはフライの術式のサポートを気休め程度にしか感じていなかった。だからフライの加護がなくなることでここまで弱体化することを全く予測できていなかったのだ。

全滅すら頭によぎるくらいの大苦戦。ここまでパーティー全体が追い詰められたのは初めてで、切迫した状況に彼らの仲はだんだんと悪くなっていった。

「キルコ、ミュア、何だ今の援護は! そんなんじゃいつまでたってもこいつらを倒せねぇぞ」

「うるっさいわねウェルキ! あんたこそ遊んでんじゃないわよ。なんでいつもより動きが鈍いのよ!」

特にいつも攻撃的なウェルキとキルコはほとんど口喧嘩の様になっている。それを後方にいるミュアが止める。

「もう、こんな時にケンカやめてよ!」

ミュアも、追い詰められながら感じていた。
精霊フリーゼの部屋でフライを置いてきぼりにしてからここまで、ダンジョンを半分ほどまで逃げてきた。
気のせいではない。いつもよりきらかに全身からあふれ出す疲労感を感じている。


魔力の威力もいつもの六割ほどしかない。発動までかかる時間もいつもの倍近くかかってしまう。
動きが悪いのはミュアだけではない。ウェルキ、アドナ、キルコ全員が感じ取っていた。

「おいアドナ! お前さっきからなんで黙っているんだよ。おめぇリーダーだろうがよぉ!策の一つでも考えてねぇのかよぉ!」

ウェルキは無言でゴブリンと戦っているアドナにどなり叫ぶ。
しかしアドナ、冷静ながらもイラつかせ言葉を返した。

「ふざけるな、いつも態度だけは国王級のくせに、こういうときだけ都合よくリーダーとよく言えたものだ。考えているから少しだけ耐えていろ!」

「さっきから口答えうるさいっつの、アドナだって、こいつらと戦う事とか、想定してなかったの?」

「当たり前だろ。フライにやらせるつもりだったんだから」


ダンジョンを進んでいるときはフライが何とか倒していた。こいつらから見たら落第点の彼がひとりで倒せる程度ということで、楽勝だと思い込み、作戦など何も考えていなかったたのだ。

だが現実は違った。フリーゼの部屋からここまで、出て来る魔物たちは圧倒的な強さだった。
最初は出口に近づけば弱くなると踏んでいて、全力を出して何とか倒していったものの、予想以上に弱くならない。
むしろ疲労度がいつも以上に増していて強くなっている様にさえ感じていた。

「全く、これも全部フライのせいよ」

「けどキルコ、フライってこんな強い敵とずっと一人で戦っていたの?」

ミュアが言いずらそうにつぶやく。当たり前だ。さっきまでひどい扱いを与えてきたのだから。

「あんな奴なんか知ったことかよ。そんなことよりこの場を何とかしようぜ」

ウェルキは歯ぎしりをしながら言い返す。フライの加護がなくなったことによる自身の弱体化。それは彼自身も感じていたが、目の前の状況、そして彼への怒りがその真実から目をそらす。

そしてアドナが話しかける。

「いなくなった奴のことをいまさら言っても仕方あるまい。この階を越えれば出て来る魔物も弱くなる。ミュア、回復魔法あとどれくらい出せる?」

ミュアは息切れをさせ、膝をつきながら答える。

「あと……、一、二回くらいかな」

「わかった。とりあえずこいつらを倒したら俺たちへ回復魔法をかけてくれ。この階さえ突破できれば強い魔物はいなくなるはずだ。お前たち、最後の力を振り絞って、この場を切り抜けるぞ」

「上等じゃない。あいつがいないから全滅しましたなんてことになったら、末代までの恥だわ。行くわよ!」

「当たり前だ、アイツがいないから弱くなったなんて、フライは認めないからな!」

ミュアは息を荒げながら魔力を振り絞り、メンバー達に回復の術式を使用する。
もう完全回復を全員にさせることはできない。
魔力はほとんど使い切った。


そしてアドナから順番に中級ゴブリンに立ち向かっていく。
本来のSランクパーティーであれば楽勝で倒せるはずの敵、しかしフライがいなくなったことで大苦戦。ボロボロになりながらも彼らはこの場所をかけていくのであった。



これが、彼らの凋落の始まりだとは、まだ誰も知らない。
転落人生の、序章である。

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