偽装結婚を偽装してみた
Chapter.91
翌朝。二人で少しおめかしして、攷斗の車で目的地へ赴く。
「お誕生日に運転させてごめんね?」
「いや? 運転好きだし、可愛い奥さんとドライブできるなんて最高じゃん」
前を見ながら攷斗がニコニコと笑う。
「それならいいけど……」
そう言いつつも、ひぃなはどこか申し訳なさそうだ。
「あ、じゃあさ、いっこお願い聞いてよ」
「うん。なに?」
「歩いてるとき、手ぇ繋ごう」
「えぇ?!」
思っていたのとは違った方向からの要望に、ひぃなが驚く。
「ヤダ?」
「イヤじゃないよ。それでいいの?」
正月や、昨日寝る前のこともあり、触れ合いのハードルが下がりつつあるひぃながあっさり快諾した。
「え? もっとすごいことお願いしていいの?」
「いやいやいや、それは追々……」
つい言って、ハタと気付き恥ずかしくなるひぃなに気付かないフリをしているが、脳内攷斗は(“追々”だって!)と飛び跳ねる勢いで喜んでいた。
「そろそろ着くよ」
フロントガラスの外に、大きくそびえたつ白いタワーが見えてきた。
「わー、でかい」
近くの駐車場に車を停めて、二人で下車する。
「はい」
差し出された攷斗の左手。その意味を読み取って、そっと右手を置いてみる。
攷斗は嬉しそうに微笑んで、ひぃなの手を握った。
「行こっか」
「うん」
まずは敷地内にある水族館へ入る。
チケットが必要な施設はあらかじめひぃながデジタルチケットを手配したので、特に並ぶこともなくスムーズに入場出来た。
入り口付近にあるクラゲの水槽をひとしきり楽しんで、浮世絵風の解説が付いた小さな水槽を巡る。
大きな水槽の前のベンチで座ってしばらく魚の動きを楽しむ。
施設の中ほどでは季節イベントの金魚コーナーが展開されていたり、かなり間近でペンギンの泳いでいる姿を見れたりと、かなり満足出来る施設だった。
赤いほうのタワーへは、ライトアップが始まる頃に行く予定なのでまだまだ時間に余裕がある。
「昼にしちゃ遅いけど、軽くなんか食べる?」
「そうだね、ちょっとおなか減った」
夕食には、ひぃなが前日から仕込んだお手製の料理が振る舞われるので、ここで満腹にしなくても良い。
水族館が入ったビルの階下にあるフードコートで食べたいものを探す。
「普段食べないようなのがいいな~」
食いしん坊の攷斗は瞳を輝かせて店を物色している。
「あ、何気にこれ、食べたことないかも」
と、攷斗が明石焼きの看板を指した。
「美味しそうだね」
出汁で食べる柔らかいたこ焼きのようなもので、名前は有名だが過去に食べた記憶がない。
「じゃあこれにしよっか」
「うん」
二人でシェア出来るように二種類の味を選んで、会計を済ます。近くの席に陣取って、すぐに配膳された明石焼きを、ハフハフしながら食べる。
「美味しいね」
「うん。ハイボール呑みたい」
「すみません、運転できず」
「いいよ、家帰ってからの楽しみにとっておく」
攷斗のそのポジティブさに、ひぃながにこりと微笑んで。
「うん」
優しくうなずいた。
「お誕生日に運転させてごめんね?」
「いや? 運転好きだし、可愛い奥さんとドライブできるなんて最高じゃん」
前を見ながら攷斗がニコニコと笑う。
「それならいいけど……」
そう言いつつも、ひぃなはどこか申し訳なさそうだ。
「あ、じゃあさ、いっこお願い聞いてよ」
「うん。なに?」
「歩いてるとき、手ぇ繋ごう」
「えぇ?!」
思っていたのとは違った方向からの要望に、ひぃなが驚く。
「ヤダ?」
「イヤじゃないよ。それでいいの?」
正月や、昨日寝る前のこともあり、触れ合いのハードルが下がりつつあるひぃながあっさり快諾した。
「え? もっとすごいことお願いしていいの?」
「いやいやいや、それは追々……」
つい言って、ハタと気付き恥ずかしくなるひぃなに気付かないフリをしているが、脳内攷斗は(“追々”だって!)と飛び跳ねる勢いで喜んでいた。
「そろそろ着くよ」
フロントガラスの外に、大きくそびえたつ白いタワーが見えてきた。
「わー、でかい」
近くの駐車場に車を停めて、二人で下車する。
「はい」
差し出された攷斗の左手。その意味を読み取って、そっと右手を置いてみる。
攷斗は嬉しそうに微笑んで、ひぃなの手を握った。
「行こっか」
「うん」
まずは敷地内にある水族館へ入る。
チケットが必要な施設はあらかじめひぃながデジタルチケットを手配したので、特に並ぶこともなくスムーズに入場出来た。
入り口付近にあるクラゲの水槽をひとしきり楽しんで、浮世絵風の解説が付いた小さな水槽を巡る。
大きな水槽の前のベンチで座ってしばらく魚の動きを楽しむ。
施設の中ほどでは季節イベントの金魚コーナーが展開されていたり、かなり間近でペンギンの泳いでいる姿を見れたりと、かなり満足出来る施設だった。
赤いほうのタワーへは、ライトアップが始まる頃に行く予定なのでまだまだ時間に余裕がある。
「昼にしちゃ遅いけど、軽くなんか食べる?」
「そうだね、ちょっとおなか減った」
夕食には、ひぃなが前日から仕込んだお手製の料理が振る舞われるので、ここで満腹にしなくても良い。
水族館が入ったビルの階下にあるフードコートで食べたいものを探す。
「普段食べないようなのがいいな~」
食いしん坊の攷斗は瞳を輝かせて店を物色している。
「あ、何気にこれ、食べたことないかも」
と、攷斗が明石焼きの看板を指した。
「美味しそうだね」
出汁で食べる柔らかいたこ焼きのようなもので、名前は有名だが過去に食べた記憶がない。
「じゃあこれにしよっか」
「うん」
二人でシェア出来るように二種類の味を選んで、会計を済ます。近くの席に陣取って、すぐに配膳された明石焼きを、ハフハフしながら食べる。
「美味しいね」
「うん。ハイボール呑みたい」
「すみません、運転できず」
「いいよ、家帰ってからの楽しみにとっておく」
攷斗のそのポジティブさに、ひぃながにこりと微笑んで。
「うん」
優しくうなずいた。
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