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偽装結婚を偽装してみた

小海音かなた

Chapter.81

 ――小さな女の子が泣いている。そのすぐそばに、大きな塊。漆黒の中に混じる赤が渦を巻き、時折それは少女の身体へ稲妻のように落ちる。
 いたい、やめて、と泣きわめく度、その赤い雷は強さを増して少女の身体を打つ。
 やがて少女はその法則に気付き、声をあげるのをやめた。止まらない涙を腕で拭い隠し、ただひたすら耐える。そうすれば、その大きな塊はチッと舌打ちをしてどこかへ立ち去るからだ。
 抵抗すればもっと痛い目に合う。だから、ただ耐えようと思う。それがいい、それが私の普通なのだと、少女の未成熟な脳に、心に、その記憶は植え付けられた。

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