気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!
179 試験前は禁欲が常識
五月も終わりを迎えるころ、自宅に一通の手紙が届いた。
送り主は、一ツ橋高校の宗像 蘭先生。
なんか久しぶりだな。この人。
最近はミハイルとキャッキャッやってたから、存在感が薄すぎるわ。
そうかわいそうに思いながら、封を破る。
中に入っていたのは、一枚の用紙。
手書きで殴り書きしてある。
『次回のスクリーングから春期試験を始める! 二回やるからしっかり勉強しておけ! 尚、出題範囲は返却されたレポートのみ!』
「あ、もうそんな時期か」
いわゆる期末試験ってやつだ。
一ツ橋高校は、レポートとスクリーングの出席。それから期末試験で一定の成績を残すことで、今期の単位が取得できると聞いた。
スクリーングに行く度に、提出したレポートが返却される。
大体6枚ぐらいの小テストだ。
こんなものは暗記するまでもない。
それに中学生時代のおさらいだしな。下手したら、小学校より低レベルな問題も多い。
アホらしいと、俺は宗像先生の手紙をゴミ箱に捨てようとした。
すると、用紙の裏に何かがクリップで挟んであることに気がつく。
「なんだ?」
クリップを外してみると、そこには一枚の写真が……。
恐る恐る覗いた。
セーラー服姿の宗像先生が、一ツ橋高校いや、三ツ橋高校の教室内で股をおっ開けていた。
仮にも教師だというのに、日頃全日制コースの生徒が勉強している机の上に、尻を乗っけて、グラビアアイドル顔負けのなまめかしいポーズをとっている。
紫のレースパンティーが丸見え。
しかも、自身の唇で襟を掴み、裾をまくり上げている。
つまりパンティと同系色のブラジャーが露わになってしまうのだ。
「おえええ!」
俺は自身の部屋のゴミ箱にゲロを吐いてしまう。
それを聞きつけた妹のかなでが、部屋に飛び込んできた。
「おにーさま! どうなされましたの!?」
涎を垂らしながら、肩で息をする。
「ハァハァ……セクハラテロだ……」
そう言って、写真をかなでに手渡す。
「あら、この方で使ったんですの?」
「んなわけあるか! 捨てておいてくれ……」
もう見たくないので、妹に処分をお願いしておいた。
「捨てるなんて勿体ないですわ……そうですわ! この写真をネットオークションに出品して、お小遣いにしましょう♪」
そう言って、かなでは自室のパソコンを起動し、宗像先生をスキャンし出す。
マジで出品されてて草。
ざまぁねーな。
俺は知らん。
※
「ま、一応、レポートを見直しておくか」
気を取り直して、久しぶりに机に座る。
返却されたレポートに目をやると、全問正解で余裕だった。
幼稚すぎる問題ばかりだからな。
こりゃ単位取得も楽勝ってもんだ。
鼻で笑い、机の引き出しにレポートを直そうとしたその時。
スマホからアイドル声優のYUIKAちゃんの可愛らしい歌声が流れ出す。
俺のお気に入りソング、『幸せセンセー』だ。
ああ、癒される。
着信名はミハイル。
「もしもし?」
『あ、タクト☆ 捕まってよかったぁ☆』
え? 俺、逮捕されたの?
「な……なんのことだ?」
『あのさ、宗像先生から手紙きた?』
「きたぞ。試験のことでだろ」
『う、うん……それで困ったことがあってさ…』
なんだ? まさか試験勉強を一緒にしようってか?
この低レベルなレポートは勉強するまでもないぞ。
暗記してオワタ! なんだから。
「それで? なにが困ったんだ?」
『あ、あのね……返してもらったレポート。試験に出るって知らないで捨てちゃったの……』
ファッ!?
「な、なるほど……。つまり俺のを貸してほしいわけか?」
『うん☆ いい、かな?』
顔を見えんがきっと、ミハイルのことだ。上目遣いで頼みごとをしているのが想像できる。
ダチだからな。仕方ない。
「構わんぞ。いつ取りにくる?」
自然と笑みがこぼれる。
学校以外で会えるってのが嬉しいんだろうな。
『ありがと☆ じゃあ、今からタクトん家に入るね☆』
「え?」
『オレ、今家の下にいるからさ☆』
「な、なに?」
そう言った時には、もう既に足音が階段から聞こえてきた。
トタトタと子供のような可愛らしい小走りで。
バタン! と音を立てて、自室の扉が開かれる。
「タクット~☆ 久しぶり~!」
「お、おう……」
相変わらずの馬鹿力で、ドアを開けたため、少し歪んでしまった。
初夏も近づいたこともあり、彼の装いも一層露出が増す。
薄い生地のタンクトップにショートパンツ。
思わず生唾を飲みこんでしまう。
先ほどの宗像先生とは違って、俺はリバースしない。
その美しい姿を学習机のイスに腰をかけたまま、見とれていた。
「ねぇ、タクトのレポートってどこにあるの?」
固まっていた俺を無視し、ミハイルはズカズカと部屋に入り込む。
俺の机に手をつき、腰をかがめる。
自ずとタンクトップの襟元が緩み、胸元が露わになる。
ピンクの可愛らしいナニかが見えそうだ。
視線をそらす俺に対し、首をかしげるミハイル。
「タクト? 聞いてる? オレ、早く帰ってべんきょーしないと……タクトと一緒に卒業したいからさ」
そう言って、口をとんがらせる。
もちろん上目遣いだ。
彼のエメラルドグリーンの瞳がキラキラと輝く。
クッ! 犯罪的な可愛さだ。
抱きしめたいぜ、ちくしょうめが。
俺は咳払いしてから、引き出しにおさめようとしたレポート一式を彼に手渡す。
「ほれ」
「ありがと☆ この借りは絶対に返すからな☆」
いや、なんか復讐されそうな言い方やめてね。怖い。
「いらぬ気遣いだ。俺とミハイルの仲だろが……」
言いながらもちょっと照れくさい。
「だよな☆ オレたち、マブダチだもんな☆」
太陽のような眩しい笑顔がはじける。
フォトフレームにおさめたいぜ。
「ところでタクトってさ……」
笑ったかと思うと、急にもじもじし出すミハイル。
なんだ? 聖水か?
お花畑なら部屋を出て、廊下の奥にあるぞ。
「あん? なんだ?」
顔を真っ赤にして、何か言いづらそうだ。
「あのね……タクトの誕生日っていつ?」
「なんだ。そんなことか…」
取材のためにチューしたい! とか言うのかと期待してしまったじゃないか。
返せよ、俺の心の準備。
しかし誕生日なんて聞いてどうするんだ?
俺のぼっちを笑いたいのか?
「誕生日は6月7日だよ」
「え!? もうすぐじゃんか! なんでそんな大事なことを早く教えてくれなかったの!?」
恥ずかしがっていたくせに、急に怒り出す。
「なんでって言われてもな……別に聞かれたことないし。ミハイルになんの関係があるんだ?」
俺がまた童貞として、一つ年を重ねるだけの哀れな記念日だぞ。
「関係あるよっ!」
机を叩いて、怒りを露わにする。
こわっ……。
「いや、なんかごめん」
俺悪い事した?
「あと一週間もないじゃん!」
「確かに五月も終わりだしなぁ」
「こんなことしてられない! オレ、もう帰るよ!」
そう言い残すと、ミハイルは当初の目的であったレポートを雑に握りしめ、嵐のように去っていた。
「なんだったんだ、一体……」
「気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
2.1万
-
7万
-
-
31
-
48
-
-
1,391
-
1,159
-
-
7
-
403
-
-
33
-
48
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
306
-
638
-
-
59
-
430
-
-
51
-
163
-
-
176
-
61
-
-
24
-
4
-
-
71
-
63
-
-
66
-
22
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
450
-
727
-
-
477
-
3,004
-
-
17
-
188
-
-
5,039
-
1万
-
-
398
-
3,087
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
18
-
124
-
-
2,534
-
6,825
-
-
3,152
-
3,387
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
164
-
253
-
-
31
-
124
-
-
34
-
83
-
-
42
-
52
-
-
45
-
93
-
-
3,548
-
5,228
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
1,295
-
1,425
-
-
1,000
-
1,512
-
-
86
-
288
-
-
6,675
-
6,971
-
-
2,860
-
4,949
-
-
23
-
3
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
89
-
139
-
-
344
-
843
-
-
104
-
158
-
-
65
-
390
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
76
-
153
-
-
3
-
2
-
-
3,653
-
9,436
-
-
10
-
46
-
-
1,863
-
1,560
-
-
108
-
364
-
-
14
-
8
-
-
116
-
17
-
-
218
-
165
-
-
187
-
610
-
-
86
-
893
-
-
215
-
969
-
-
2,951
-
4,405
-
-
4
-
1
-
-
10
-
72
-
-
83
-
250
-
-
2,629
-
7,284
-
-
9
-
23
-
-
18
-
60
-
-
614
-
1,144
-
-
17
-
14
-
-
7
-
10
-
-
6
-
45
-
-
47
-
515
-
-
4
-
4
-
-
27
-
2
-
-
9,173
-
2.3万
-
-
62
-
89
-
-
88
-
150
-
-
265
-
1,847
-
-
213
-
937
-
-
83
-
2,915
-
-
614
-
221
-
-
2,799
-
1万
-
-
29
-
52
-
-
2,431
-
9,370
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
1,658
-
2,771
-
-
4,922
-
1.7万
コメント