気になるあの子はヤンキー(♂)だが、女装するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!

味噌村 幸太郎

175 試験は点数気にしなければ、遊べる日


「名前は?」
「あ、はい……新宮 琢人です。17歳です」
 俺がそう言うとボディコン女は顔をしかめる。
「お前が17だぁ?」
「そうですが……」
 長身のためか、腰をかがめて俺の顔を覗き込む。
 まるでグラビアのポーズだな。巨乳がブルンブルン揺れて、キモいからやめてくれ。

「ふむ、つまりお前は本来なら高校二年生というわけか?」
「本来? その定義がどこから来ているかはわかりませんが、俺はこれでも社会人です。そこらの子供っぽい学生と一緒にしてもらっては困ります」
「……」
 するとボディコン女は目を見開いて、黙り込む。
 フッ、やはりこの天才の前じゃ、大人様はいつも論破されまくりだな!

「だぁはははっははは!」

 腹を抱えて大笑いする。
 あごが外れそうなくらい口を大きく開けて、女とは思えないくらい野太い声で笑う。
 げ、下品な女だ!
 それになんか酒臭い。酔っぱらっているのか?
 のどちんこが丸見えだ、恥ずかしくないの?

「なにがおかしいのですか?」
「お、お前は……クックク……ど、ど、どうしようもないクズだな!」
 スクラッチしてんじゃねーYO!
 あー苦しいと腹を抱えて、床で笑い転げる。
 まあその隣には白目をむいたロリババアが倒れているのだが。
 俺はこの時思ったね、こんな大人にはなりたくないYO! とな。

「じゃあ案内しよう」とボディコン女が気絶した白金の首根っこを片手で掴み、廊下を歩く。
「あの、あなたは一体……」
「ああ。紹介がまだだったな。私は一ツ橋高校の責任者でもあり、日本史の教師。宗像 蘭先生だぞ♪」
 自分で先生言うな。
 俺が認めるまで、お前はただの痴女だ。

「そうですか……あの、宗像先生はそのロリババアとは同級生と聞きましたが……」
「おまえ……今『ババア』って言ったか?」
 立ち止まって、俺に睨みを聞かせる。
 その顔っていったら、あれだよ。仁王像だよ。
「いえ……白金とはお友達だとか?」
「そんなお洒落な関係ではないよ……このバカとはただの腐れ縁だ」
 やはりアホとかバカで通っているのではないか、白金 日葵。

   ※

「着いたぞ、ここが一ツ橋高校だ」
「え、これが?」
 めっちゃ小さな事務所だ。
 しかも扉もボロボロ、中をのぞけるように四角い小窓があるんだけど、ヒビが入っとる。
「この部屋だけが一ツ橋高校なんですか?」
「ああ、その通りだ。白金から聞いているだろうが、あくまでも三ツ橋高校の姉妹校であって、本校一ツ橋は校舎を持たない」
「では、一体どうやって勉学するのです?」
「そのためのラジオだ!」

 ニッコリ笑って、扉を開く。
 軋んだ音を立てる。
 まるで、ホラー映画の開幕シーンのようだ。

 俺は奥にある茶色のソファーに通された。
 まだ白目をむいているロリババアは無残にも床に捨てられた。
 テーブルを間に挟んで、反対のソファーに宗像先生は腰をかける。
 その際、言うまでもないが、宗像先生のおっぱいがぼよよんと跳ね上がる。

「白金から話は聞いている。じゃあ、願書だしてくれ」
 え? 見学じゃなかったの?
「はい……」
 俺はバッグから茶封筒を取り出し、テーブルの上においた。
「ふむ……」
 宗像先生が書類を目を通している間、俺は事務所内を見渡していた。
 殺風景で、職員も誰一人いない。
 こんな小規模で百人以上の生徒がいるとは思えんな。

「おい、新宮」
 呼び止められて、視線を合わせる。
「書類は全てそろっている。合格だ」
「は?」
「だから合格だ、これでこの春から晴れてお前は一ツ橋高校の生徒だ」
 ファッ!
「え? 入学試験はないのですか?」
「ないよ、そんなもん」
 キョトンとした顔で、先生は俺の反応を待つ。
「だ、だって普通は試験があるでしょ? せめて、国語、数学、英語くらいは……」
「ねーよ、んなお利口な学校じゃないぞ、ここは!」
 じゃあなんだよ! 二十字以内で答えてみろ!
「マ、マジですか……」
「大マジだ」

 バカみたい……俺、年末からめっちゃ中学校の教科書、復習してたのがバカみたい……。
 こんなことなら年末のタウンタウンの『絶対笑えTV二十四時間』見ればよかったよ。

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