竜としてこの世界で生きていく

キリくん

親子の思い

次の日の朝。俺は昨日の本のことを聞くために父さんの所へ向かった。


「父さん?ちょっと聞きたいことがあるだけど」


「ん?リュートか。どうした?」


「この本、本当にあったことなのか?」


俺が本を見せると父さんは険しい顔になった。


「・・・知りたいか?」


「え?う、うん」


すると父さんの顔が緩んだ。


「はぁー、仕方ない。そのうち話そうと思っていたことだ」


父さんは仕事を置いて話を始めた。


「お前の想像通り、本に載っている竜王は私のことだ」


「やっぱり・・・」


「私は数百年前から人界を見守り、魔界の状態を監視してきた」


「え?でも、魔界は封印されたんじゃ・・・」


「実はな、近頃その封印が弱まってきているのだ」


「なっ!?」


驚きを隠せなかった。本の通りなら数百年もの間魔界を封じていた封印だ。それが弱まっているとは・・・


「それは大丈夫なのか?」


「正直わからん。何故封印が弱まってきたのかもわかっていないのだ」


「・・・そうなのか」


「だからお前を連れてきたんだ。魔界の封印が解かれたら人界にも影響が出るかもしれない。お前には力をつけて欲しかった」


「そういう事だったのか」


「リュートお前は私の・・・いや、私たちの大切な宝物だ。だからお前のことは私が死んでも守る」


「父さん・・・」


嬉しかった。親の温かさというのをすっかり忘れていた。久しぶりに温かさを感じることができたのだ。


「さぁ!湿っぽい話は終わりだ!リュート、また明日から頑張ってこいよ!」


「・・・うん!」


俺はこのとき誓った。俺は父さんを、この世界を守ってみせる。例え誰が相手だろうとみんなを守ってみせる。きっと、きっと・・・!





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コメント

  • ノベルバユーザー618666

    めっちゃ面白かったです!
    続き書いてほしい!

    0
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