竜としてこの世界で生きていく

キリくん

竜の力の暴走

「グルァァァァァァ!!」


リュートは雄叫びをあげて飛び立った。


「くっ、まて!!リュート!!」


「竜王様!お待ちください!」


ファイズは竜化するとリュートの後を追った。
ラルクもそれに続く。


「リュート!!」


ファイズが呼ぶとリュートはファイズの方を見た。すると、


「グルァァァァー!」


リュートの雄叫びと同時にリュートの周りに光の槍が現れた。


「なっ!?あれは『ライトニングランス!?』教えていない高位の魔法をなぜ!?」


「分からん!だが、すぐに止めなければ危険なことは確かだ!」


「グルァァァァー!」


雄叫びを合図に光の槍がファイズ達に放たれた。


「速い!」


ファイズ達はギリギリのところで光の槍を回避した。


「危なかった…」


ファイズは安堵し、リュートの方を見たが、そこにはリュートの姿はなかった。


「!?一体どこに...」


周りを見渡していると背後から凄まじい殺気を感じた。


「竜王様!後ろです!」


ファイズはとっさに尻尾でなぎ払おうとしたが、リュートは尻尾を片手で受け止めると、ファイズを殴り飛ばした。


「グハッ!?」


とてつもない力で殴り飛ばされたが、すぐに体制を立て直し、その場にとどまった。


「竜王様!ご無事ですか?」


「ああ、問題ない。なんという力だ...」


「グルルル...」


リュートは唸り声を出していた。


「ラルク...このままでは簡単に止められない。あれをやるからリュートの動きを止めてくれ。」


「竜王様...あれはリュートの体でも耐えられるかどうか…」


「大丈夫だ。おそらくあれでも気絶するぐらいだと思う。とにかく頼んだぞ!」


そういうとファイズはさらに上空に飛んだ。


それに気づいたリュートはファイズの後を追おうとしたが、ラルクが、それを阻止した。


「リュート!お前の相手は私だ!」


すると、ラルクとリュートの周囲の温度が下がり始めた。


『ブリザード!』


ラルクが詠唱すると2人の周りが吹雪に覆われた。
ラルクは吹雪の中に身を隠した。


「グルァァァァー!!」


リュートは怒り狂うと口から高温のブレスを吐き出した。ブレスにより吹雪の中に穴が出来たが、すぐにまた吹雪で覆われてしまった。
リュートは抜け出そうとブレスや炎の魔法を唱えたが、結果は変わらかった。


すると上空から声が響いた。


「ラルク!準備できたぞ!」


ファイズの声を聞いたラルクは吹雪の魔法を解いた。
吹雪から出てきたリュートの上には超巨大な炎の塊が太陽のように燃えていた。


「耐えろよリュート...『ヘルファイア!』」


ファイズの詠唱と同時に炎の塊がリュートに落ちていった。


リュートは避けることが出来ず、受け止めようとしたが圧倒的な力を受け止めきれず、炎に呑み込まれた。


「グルァァァァ…」




ファイズは魔法を解除し、炎が消えると、リュートは下の草原に落ちていった。
ファイズとラルクが駆けつけるとそこには人間に戻ったリュートが倒れていた。



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