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静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~

あきや

65.懺悔

[先に言っておくが、父さんは一人の男であって、
 男というのは色々な間違いを犯すものだ。
 いや、男に限らず、人間とはそういうものなんだよ。
 母さんは急用ができたとかでどこかへ行ってしまったが、それが普通の反応だ。
 お前が過去を見通す【奇跡】を授かったと言われて、
 堂々とお前の前に立てる人間なんて、なかなかいない。
 私はお前にだったらと、なんとか記憶を覗かれることも受け入れられる。
 しかしだからこそ、
 お前には 父さんの何が見えたとしても、黙って受け入れるべきだ。
 わかるか?]

いきなり言い訳のような、説教のような何かをまくしたてられた。
まぁ、そうなるよね。
私だって『実は前世は~でした』とか詳細に知られたくはない。
しかも私の【奇跡】では、心の声までわかるのだ。
そんな人の前に立つということは、全てを見通す神の前で、
裁きを待つ罪人のような心境になるものかもしれない。
そう考えるとクリシはよくこの状況で冷静さを保ってるな。
もう既にクリシの中では、
私との間に家族以上の信頼関係が結ばれているということなのかもしれない。

[わかったよ。
 実は父さんが他所に良い関係の女性が何百人もいるとか、
 実は私は母さんの子じゃないことがわかったとしても、受け入れるよ。]
[覚悟はできてるんだな……
 いや、そこまでではないつもりなんだが。
 それと、見えたことは他では言わないでくれよ?]
[気を付けるよ]
[本当に頼むぞ。
 それじゃあ、始めようか。]
父さんの頭が私に触れる。

イメージが流れ込んでくる。



[どうだった?
 随分と、苦しそうな顔をしているが……
 いや、私も悔い改めないといけないな……]

なんだかいつの間にか、懺悔する感じになってたらしい。

[父さんは戦場で、銃を持って敵と戦ったりしたことあるの?]
[いや、私は戦場に行くことはないな。
 そもそも【銃】とはなんだ?]

そうだよね。
あれはどうも、この世界ではなく、私の前世の世界だったように思う。

[よくわからないんだけど、
 どうも父さんからは異世界での記憶みたいなものが見えたみたい。
 戦場で【銃】っていう武器を使って戦う戦士の記憶が見えたよ。]
[エク、気を使わなくてもいいんだぞ?]
[いやホントだって!]

父さんにはどんな過去があるというのか?

[そうか。
 どうもクリシの話とは違うみたいだな。
 これなら母さんも怖がらずに来ればよかったのにな!]
[すみません。
 色々と配慮不足で。]
[いやいや、いきなり自分の過去を見抜かれて、冷静でなんかいられないさ。]

どうやらクリシも冷静でいられてはなかったらしい。
表情とか見えないからね。
手が震えるレベルの動揺ならわかるんだけど。

[ともかく、今は数撃ってみることだろう。
 その辺にいる従者を捕まえて、見てみればいい。
 多少嫌がられるかもしれないが、気にすることはない。
 あんまり嫌がるようなら、秘密のある危険な人間ということだしな。]

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