話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~

あきや

59.監禁された記憶

監禁されている。
目の前には長身の男と、小柄な少女がいる。
手の届かないくらいの少し離れたところに、エク様も拘束されている。
「この子、クリシちゃんだっけ?食べちゃっていいの?」
「ああ、ちゃんと残さず食い殺せよ。
 こんなクソガキ、死んでる方がまだマシだ。」
長身の男が、僕を蹴る。

どうやら、僕はここで死ぬらしい。
エク様のそばにいられるのは、ここまでのようだ。
すぐそばにいるエク様が、なんだかとても遠く感じる。
そして僕達が捕まってから、僕は一度もエク様に触れていない。
きっと、エク様は心細い思いをされているだろう。
きっと、周りに誰一人味方がいない状況で、監禁されていると感じている。
せめてその体に触れて、僕がそばにいることを伝えたかった。
なんとかしてエク様に触れようとしたが、僕の方はエク様と違い、
身動きが取れないように拘束されている。
こんなクソガキ相手に、随分と慎重な男だ。
そして、僕はこれから死ぬ。
今度こそ本当に、エク様のそばにいられなくなる。
エク様に触れる機会は、永遠に失われる。

「それじゃ、いただきまーす!」
少女の顔が、僕に近づく。

しかし【食べる】とはどういうことだろう?
この少女と戦った時、触れられただけで体に力が入らなくなってしまった。
この少女が何らかの【奇跡】を持っていることは間違いないが、
あれが【食べる】ということだろうか?

少女の唇が、僕の唇に触れる。
キスされた。
虚脱感と共に、体の奥が熱く溶かされていくような、甘い感覚に襲われる。

これが【食べる】?
このまま続けられても、死ぬとは思えない。

唇が押し開かれ、少女の舌と僕の舌が触れる。

その瞬間、意識が飛んだ。

「静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く