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静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~

あきや

49.捕虜

私は左手を鎖で繋がれ、地面に座らされている。

こんな盲ろう者を拘束するなんて、ずいぶんと慎重だ。

私の手が掴まれ、少女の唇に触らされる。
「これでお話できるんだよね。
 耳が悪いのにお話しできるなんて、お姉ちゃんはすごいね!」
「貴女は誰なの?
 私に妹なんて、いないはずだけど?」
「そんなこと言わないで!
 お姉ちゃんはお姉ちゃんだよ。
 だって、私のjguiore…」
この少女は、どうも発音が曖昧だ。
しかし、とても重要なことを話している気がする。
「今、なんて言ったの?」
私は何とか理解するために、少女の唇を開き、舌に触れる。

一瞬、意識が飛ぶ。

心が融かされている。
血が沸騰したように熱くなる。
指先が舌に触れただけなのに、体中がこの少女の異常さを警告している。
早く指を引き抜かなくては。

しかし、指先を動かすだけの力も入らない。
このほんの僅かな接触で、私の気力は吸い尽くされてしまった。
私は呼吸を整え、何とか意識だけは保つ。
少女はなおも私の指を嘗め回しながら、話し始める。
「ダメだよ、お姉ちゃん……
 私の口は、危ないよ……?
 それとも、お姉ちゃんも、もう我慢できないの……?」
今も私の気力は吸われ続けている。
私にはもう、返事をする力もない。

ここで意識を手放してしまえば、そのまま私は死ぬのかな……?

「残念、パパが帰って来ちゃった。
 ねえパパ、お姉ちゃんすごく美味しそうなんだけど、このまま食べちゃダメ?

 そうだよね、家族だもんね。
 ごめん、お姉ちゃん。」
少女が私の手を床に置く。
その手を今度は男が掴む。
私の父さん、コリーではない。
「おい、意識はあるのか?

 全く、酷い顔だなお姫様。
 天国にでも逝っちまったか?
 おい起きろ!」
お腹を蹴られる。
「うぅ……」
「こりゃ尋問は無理だな。
 仕方ねえ。
 おいお姫様、あんまり休んでんじゃねえぞ。
 早く起きないと、お前の可愛いメイドちゃんが、どんどん酷い目に合うぜ。」
「ク……ぃ……」

ごめん、クリシ。

そこで私の意識は途切れた。

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