静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~
47.襲撃
突然の浮遊感。
いや、違う。
馬車ごと落下している!
それもかなりの高さから落ちたらしい!
私の体をクリシが抱きしめる。
そのままクリシの柔らかい体を圧し潰すように、着地する。
「ありがとうクリシ。
……大丈夫?」
「はい。
かなりの高さでしたが、馬車の中だったので、なんとか……」
突然、硬い篭手のような腕に捕まれ、馬車から引きずり降ろされる!
その瞬間、馬車で覆われていたはずの視界が開き、周囲が見える。
……なにこれ……?
今まで私が見た【滴】は、そのほとんどが人の形をしていた。
それ以外の【滴】も、
このバンダナのように【滴を込められた道具】であることがわかる形をしていた。
しかし、今見えているものは違う。
闇のように暗く禍々しい、巨大な何かの【滴】だ。
いや、正確には形のはっきりしない【滴】の大群が揺らめいている。
よく見るとその【滴】の中には、ぼんやりと人の形をしているものもある。
しかしそれも、首から上が無かったりなど、どれ一つまともな形をしていない。
私を掴む腕の【滴】も、ぼんやりと人の上半身の形をしているが、足が無い。
しかし、私を引きずる腕が上下する感触は、まるで人間が歩いているようだ。
そのままクリシとテアの【滴】から離されていく。
抵抗しようにも、私の力ではどうしようもない。
私を護衛してくれいた人達の【滴】は、はるか上空だ。
絶望的状況。
そう思っていると、掴まれている手の先が、急激に地面に引っ張られる。
同時にはるか上空にいた【滴】の一つが、私の方に向かって飛び降りる。
人が耐えられる高さではない。
しかし、その【滴】はまるで何の衝撃もないかのように、そっと着地した。
そのまま【滴】は私の周りを飛び回り、周囲の【敵影】を次々と倒していく。
上空を見ると、動けずにいた【滴】が私の方に向かって飛び降り始めている。
徐々に、私の周りが【滴】の光で満ちていく。
最初に飛び降りてくれた人の【滴】は【重力操作】だろうか?
絶望的かと思ったが、これなら何とかなるかもしれない。
そう安心できたのも束の間だった。
【敵影】が急激に巨大化している。
かろうじて人らしき形に見えていた【敵影】も、
もはやただ視界を埋め尽くす闇にしか見えない。
右も左も後ろも上空も、完全に覆われている。
私の周りにいた光も、少しずつ飲み込まれていく。
何が起きているのかわからないけど、【敵影】の勢いが止まらない。
そして今も、私の周りにはスタさんの【滴】が見当たらない。
こういう状況に颯爽と現れるのが、主人公的最強能力者の役目でしょ!
いや、本当に冗談じゃ済まないよ、この状況。
ふと視界にクリシの【滴】が近付いているのが見える。
おそらく私に向かって馬を走らせ、私を呼ぶように手を伸ばしている。
それに応えるように手を伸ばすと、ものすごい勢いで引き上げられ、私は馬に乗せられる。
こんな王子様ムーブは、簡単にできることではない。
うちのメイドはすごいね!
もしかするとクリシの【滴】は、
【時を止める】に負けないくらい、主人公レベルの高い最強チートかもしれない。
そうであってほしい。
背中にクリシの胸が押し付けられる。
どうやら私に前かがみになって欲しいらしい。
できるだけ空気抵抗を減らして、安定して馬を走らせるためだろう。
私は馬の首にしがみつくように、体を倒す。
馬が激しく走り出す。
振り落とされないように、私は必死にしがみつく。
あっという間に巨大で禍々しい【敵影】から抜け出した。
これで一安心だろうか?
私は後ろ手で何とかクリシの唇に触れ、声をかける。
「どうなってるの?」
「話は後で、舌を噛みます。」
馬は全力疾走を続けている。
今はただ、クリシの判断に従おう。
後ろに見える【敵影】は、瞬く間に小さくなっている。
いや、違う。
馬車ごと落下している!
それもかなりの高さから落ちたらしい!
私の体をクリシが抱きしめる。
そのままクリシの柔らかい体を圧し潰すように、着地する。
「ありがとうクリシ。
……大丈夫?」
「はい。
かなりの高さでしたが、馬車の中だったので、なんとか……」
突然、硬い篭手のような腕に捕まれ、馬車から引きずり降ろされる!
その瞬間、馬車で覆われていたはずの視界が開き、周囲が見える。
……なにこれ……?
今まで私が見た【滴】は、そのほとんどが人の形をしていた。
それ以外の【滴】も、
このバンダナのように【滴を込められた道具】であることがわかる形をしていた。
しかし、今見えているものは違う。
闇のように暗く禍々しい、巨大な何かの【滴】だ。
いや、正確には形のはっきりしない【滴】の大群が揺らめいている。
よく見るとその【滴】の中には、ぼんやりと人の形をしているものもある。
しかしそれも、首から上が無かったりなど、どれ一つまともな形をしていない。
私を掴む腕の【滴】も、ぼんやりと人の上半身の形をしているが、足が無い。
しかし、私を引きずる腕が上下する感触は、まるで人間が歩いているようだ。
そのままクリシとテアの【滴】から離されていく。
抵抗しようにも、私の力ではどうしようもない。
私を護衛してくれいた人達の【滴】は、はるか上空だ。
絶望的状況。
そう思っていると、掴まれている手の先が、急激に地面に引っ張られる。
同時にはるか上空にいた【滴】の一つが、私の方に向かって飛び降りる。
人が耐えられる高さではない。
しかし、その【滴】はまるで何の衝撃もないかのように、そっと着地した。
そのまま【滴】は私の周りを飛び回り、周囲の【敵影】を次々と倒していく。
上空を見ると、動けずにいた【滴】が私の方に向かって飛び降り始めている。
徐々に、私の周りが【滴】の光で満ちていく。
最初に飛び降りてくれた人の【滴】は【重力操作】だろうか?
絶望的かと思ったが、これなら何とかなるかもしれない。
そう安心できたのも束の間だった。
【敵影】が急激に巨大化している。
かろうじて人らしき形に見えていた【敵影】も、
もはやただ視界を埋め尽くす闇にしか見えない。
右も左も後ろも上空も、完全に覆われている。
私の周りにいた光も、少しずつ飲み込まれていく。
何が起きているのかわからないけど、【敵影】の勢いが止まらない。
そして今も、私の周りにはスタさんの【滴】が見当たらない。
こういう状況に颯爽と現れるのが、主人公的最強能力者の役目でしょ!
いや、本当に冗談じゃ済まないよ、この状況。
ふと視界にクリシの【滴】が近付いているのが見える。
おそらく私に向かって馬を走らせ、私を呼ぶように手を伸ばしている。
それに応えるように手を伸ばすと、ものすごい勢いで引き上げられ、私は馬に乗せられる。
こんな王子様ムーブは、簡単にできることではない。
うちのメイドはすごいね!
もしかするとクリシの【滴】は、
【時を止める】に負けないくらい、主人公レベルの高い最強チートかもしれない。
そうであってほしい。
背中にクリシの胸が押し付けられる。
どうやら私に前かがみになって欲しいらしい。
できるだけ空気抵抗を減らして、安定して馬を走らせるためだろう。
私は馬の首にしがみつくように、体を倒す。
馬が激しく走り出す。
振り落とされないように、私は必死にしがみつく。
あっという間に巨大で禍々しい【敵影】から抜け出した。
これで一安心だろうか?
私は後ろ手で何とかクリシの唇に触れ、声をかける。
「どうなってるの?」
「話は後で、舌を噛みます。」
馬は全力疾走を続けている。
今はただ、クリシの判断に従おう。
後ろに見える【敵影】は、瞬く間に小さくなっている。
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