静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~
44.バンダナ
「ここが戦争でできた地割れのようです。
そこら中に白骨死体が落ちています。
こんなところには、ドワーフたちも近付きたがらないでしょうね。」
「ここにバンダナが落ちているはずなんだけど、見付からない?
真っ黒で目立つ色のはずなんだけど。」
「探してみます」
「お願い。
もしかしたら岩の下とかに挟まってるかも。」
探し物で私に手伝えることは、本当に何もない。
しかし、若頭さんとその舎弟の一人が手伝ってくれるそうだ。
どうもこの二人は、イリンイまで付いて来るつもりらしい。
もともと若頭さんの中には、ドワーフも広い世界に出るべきだという考えがあったようで、
町を出たいと思っていたところに、都合良く来た私を利用したということらしい。
まぁそのお陰で、こうして手伝ってもらっているのだ。
それにイリンイの一流職人が、苦労して作り上げた銃を見て『素人臭い』と言い放つような、
ドワーフの技術を教えてくれるのなら、こんなに都合の良い話はない。
「それらしいバンダナが見付かりました。
しかし、これを取り出すには大岩をどかす必要がありそうです。
そういえば、このバンダナが目的の物かは、どう判断されるのでしょうか?」
エフォリアさんの記憶を思い出す。
彼はどのように【滴】を認識していたか。
「私にそのバンダナを触らせてもらえる?
そうすればわかるから。」
「わかりました。
岩が崩れる心配はなさそうです。
どうぞこちらへ。」
クリシに引かれ、私は手を伸ばす。
指先に厚手の布が触れる。
その瞬間、暗闇だった視界に、ぼんやりとした光が浮かび上がる。
エフォリアさんが見ていた光と同じだ。
私はその光を指でさす。
「もしかして、あっちの方に誰かいる?」
「はい。遠くの方に若頭がいます。
【滴】が見えるのですか?
ということは、これが目的のバンダナですね。
私は触れても何も感じませんが……
とにかく人手を呼んできますので、少々お待ちください。」
私はバンダナから手を引き、待つ。
ようやくこれで安心だ。
もう一千万円溶かしたニートになる心配はない。
しかし、ドワーフにも【滴】は流れているのね。
私にとっては、【滴】を持った人がどこにいるのかを、認識するためにも役に立ちそうだ。
ふと若頭さんのゴツい腕が、私の肩を押す。
岩を動かす時に危ないから、ここをどいてくれということだろう。
しばらくして、若頭さんが私にバンダナを手渡す。
「確かにこのバンダナです。
ドワーフにも【滴】は流れているんですね。
これに触れていれば、盲目の私にも【滴】を持った方が見えます。
目の前の【滴】は若頭さんのものですね。
それと、そことそこにもドワーフの方がいますよね?」
反応がない。
これのためにあれだけ大騒ぎしたのだから、何かしら反応をしてくれてもいいのに。
私はその、小さなドワーフの体を浮かび上がらせるように輝いている【滴】に近付く。
クリシの助けなしで歩くのは、本当に久しぶりだ。
そしてそのまま光に触れる。
ゴツゴツとした筋肉の感触。
やっぱり、ここにはドワーフがいるじゃない。
もう一人、やや大きめの体に流れている【滴】に近付き、触れる。
柔らかい。
とても慣れ親しんだ感触。
私は指先で体を伝い、彼女の唇に触れる。
「エク様、僕に【滴】はない……はずですが……?」
間違いない。
この【滴】はクリシだ。
そこら中に白骨死体が落ちています。
こんなところには、ドワーフたちも近付きたがらないでしょうね。」
「ここにバンダナが落ちているはずなんだけど、見付からない?
真っ黒で目立つ色のはずなんだけど。」
「探してみます」
「お願い。
もしかしたら岩の下とかに挟まってるかも。」
探し物で私に手伝えることは、本当に何もない。
しかし、若頭さんとその舎弟の一人が手伝ってくれるそうだ。
どうもこの二人は、イリンイまで付いて来るつもりらしい。
もともと若頭さんの中には、ドワーフも広い世界に出るべきだという考えがあったようで、
町を出たいと思っていたところに、都合良く来た私を利用したということらしい。
まぁそのお陰で、こうして手伝ってもらっているのだ。
それにイリンイの一流職人が、苦労して作り上げた銃を見て『素人臭い』と言い放つような、
ドワーフの技術を教えてくれるのなら、こんなに都合の良い話はない。
「それらしいバンダナが見付かりました。
しかし、これを取り出すには大岩をどかす必要がありそうです。
そういえば、このバンダナが目的の物かは、どう判断されるのでしょうか?」
エフォリアさんの記憶を思い出す。
彼はどのように【滴】を認識していたか。
「私にそのバンダナを触らせてもらえる?
そうすればわかるから。」
「わかりました。
岩が崩れる心配はなさそうです。
どうぞこちらへ。」
クリシに引かれ、私は手を伸ばす。
指先に厚手の布が触れる。
その瞬間、暗闇だった視界に、ぼんやりとした光が浮かび上がる。
エフォリアさんが見ていた光と同じだ。
私はその光を指でさす。
「もしかして、あっちの方に誰かいる?」
「はい。遠くの方に若頭がいます。
【滴】が見えるのですか?
ということは、これが目的のバンダナですね。
私は触れても何も感じませんが……
とにかく人手を呼んできますので、少々お待ちください。」
私はバンダナから手を引き、待つ。
ようやくこれで安心だ。
もう一千万円溶かしたニートになる心配はない。
しかし、ドワーフにも【滴】は流れているのね。
私にとっては、【滴】を持った人がどこにいるのかを、認識するためにも役に立ちそうだ。
ふと若頭さんのゴツい腕が、私の肩を押す。
岩を動かす時に危ないから、ここをどいてくれということだろう。
しばらくして、若頭さんが私にバンダナを手渡す。
「確かにこのバンダナです。
ドワーフにも【滴】は流れているんですね。
これに触れていれば、盲目の私にも【滴】を持った方が見えます。
目の前の【滴】は若頭さんのものですね。
それと、そことそこにもドワーフの方がいますよね?」
反応がない。
これのためにあれだけ大騒ぎしたのだから、何かしら反応をしてくれてもいいのに。
私はその、小さなドワーフの体を浮かび上がらせるように輝いている【滴】に近付く。
クリシの助けなしで歩くのは、本当に久しぶりだ。
そしてそのまま光に触れる。
ゴツゴツとした筋肉の感触。
やっぱり、ここにはドワーフがいるじゃない。
もう一人、やや大きめの体に流れている【滴】に近付き、触れる。
柔らかい。
とても慣れ親しんだ感触。
私は指先で体を伝い、彼女の唇に触れる。
「エク様、僕に【滴】はない……はずですが……?」
間違いない。
この【滴】はクリシだ。
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