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静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~

あきや

41.若頭

若頭さんの唇に触れる。
「こんなんでわかるんか?
 ホンマは聞こえてるんちゃうか?」
「聞こえてませんよ?」
「へぇー!
 大したもんやなお前!
 そんdjbhewkdr?」
「すみません、やっぱりちょっとわからないです。
 私達とは言葉遣いが違うからでしょうか?
 クリシを通して話をさせていただきますね。」
私は若頭さんから手を放し、クリシの唇に触れる。

ここでは手書き文字より口話法の方が良いだろう。
手書き文字だと、内緒話をしているように見られて、印象が悪いかもしれない。

「それで、なんで若頭さんは門にいたんですか?
 お陰でこうして入れてもらえたんですけど。」
「エク様、それはあらかじめコリー様が使者を送ったからです。
 『ここに癒し主が来るから、話を聞いてくれ。』と。
 先に伝えておくべきでしたね。」

知らないところで手回しがあったらしい。
父さんもただの変な王様ではない。

「それで、若頭さんから『お前達はここに何をしに来たのか?』と聞かれていますが。」

いきなり本題に切り込まれたけど、どうしようか。
回りくどい話は嫌いそうだし、単刀直入に返そう。

「【滴を道具に込める力】のことなんですけど、もしかしたら……」
突然クリシが私の口を抑え、立ち止まる。
その手が少しずつ震え始める。

「『それなら親父達のところには連れて行けないな。
  予定変更だ、場所を変えよう。
  安心しろ、隣にいるのは癒し主だ。
  何があっても死ぬことはない。』

 ものすごい剣幕で僕達を睨んでいます。
 正直、恐いです。」

怯えているクリシは初めてだ。
酒場での一軒もあるし、誰にも物怖じしないタイプだと思っていた。
よほどの敵意が向けられているのだろうか?

しかし、私も一千万円分くらいの覚悟を決めてきている。
生命保険クラスの額だし、命くらいかけてもおかしくはないだろう。
相手の敵意を認識しているクリシを付き合せるのは、悪いと思うけど。
しかしいざとなったら、こちらにはテアがいる。
詳しくは教えてくれないけど、噂によると想像をはるかに超えたチート戦力らしい。

「ねぇテア、もしもの時はお願い。」
「え?私の仕事はもう終わりでしょ?
 あとは親父さん達の歓迎を楽しんで帰るだけだよ。」

あ、もう野生のニートに戻っちゃったのね。

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