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静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~

あきや

32.ある鍛冶屋の望み

ザシュッ!
ドーンッ!
突風が人を裂く音や、爆発が何かを吹き飛ばす音が響いとる。

全く騒がしい。
あの火を吹く剣も、風を切り裂く矢も、儂が作ったもんや。
つまりこれは、儂が金欲しさでバカ共の仕事を引き受けた結果ってことや。
このバカ共は、儂が敵国の仕事も受けていることが気に入らんらしい。
それで、儂を独り占めにしようと、二つの国が儂の住む町で戦争を始めよった。
自分だけが力を得たいってか。
もともと儂が与えた力やのに。
呆れた恩知らずや。
孫たちや若い連中も、儂を守ろうと戦い、死のうとしとる。
争いの焦点であるお姫様役が、こんな老いぼれとは、なんともつまらん話やんか。
長く生き過ぎたんやな。
儂はそんなもんになるつもりはない。

問題は、【これ】をどう隠すかや。
奴らの戦闘でできた地割れがある。
ちょうどええ。
儂は【これ】を、崖下に落とす。
ああいうバカに見つかるくらいなら、捨ててしまおう。

そして儂は移動して、この町で一番目立つ高台に座る。
バカ共の目当ては儂や。
ここならすぐに見つけるやろ。
懐から刀を抜く。
【不死斬り】や。
儂はその刀を見せつけるように掲げる。
光を反射して、刃が輝く。
その【滴】は暗く深く、どこか優しい。
美しいもんやないか……
我ながら、いい仕事をしたもんや。
儂はその刀を自分の腹に向け、刺し貫く。
大量の血が吹き出る。
もう止まらん。

この刀でつけた傷は、決して癒えん。
もはや【万能薬】を持ってきたとしても、手遅れや。
風や炎でうるさかった周囲が、徐々に静かになってく。
なんや、バカどもだと思っていたが、少しはわかってるやないか。

人の最期くらい、静かに送るもんやからな!
カカカカ……!

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