静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~
26.口話法
村では色々あって大変だった。
屋敷に帰ってきて、落ち着いて考えてみたことがある。
私は文字を知らない人とは直接コミュニケーションを取ることができない。
一応クリシに通訳として入ってもらえば、可能ではある。
しかしそうすると、一対一のコミュニケーションではなくなり、
不本意にも険悪な空気になってしまう可能性があるようだ。
できれば、直接会話をしてみたい。
盲ろう者が学ぶ読唇術の一種で、口話法というものを聞いたことがある。
話す相手の口に触れて、その動きで何と言っているのか読む技術だそうだ。
それを身に着ければ、話し言葉しか知らない相手とも、直接コミュニケーションが取れる。
しかも、その口の動きをまねることで、自分も喋れるようになるらしい。
そうすれば、コミュニケーションのスピードも速くなる。
そういう技術が役に立つことも、きっとある。
挑戦してみよう。
[クリシ、新しいコミュニケーションの方法を考えたんだけど。]
[どんな方法でしょうか?]
[相手が喋るときに、私はその口に触れるの。
 その口の動きで、相手が何を喋っているのか把握できないかな。]
[なるほど。そうすれば話し言葉しか知らない相手とも、
 コミュニケーションが取れるということですね。
 試してみましょうか。]
理解が早くて助かる。
[ありがとう]
私は右手でクリシの唇に触れる。
同時にイメージが流れ込んでくる。
いつも通り、ご主人に喉を撫でられる。
もう見慣れたイメージだ。
私は意識を保ち、指先に集中する。
クリシが私の左手をなぞる。
[こんにちは]
同時に、クリシの唇が動く。
これがこの世界における「こんにちは」の発音らしい。
「僕はクリシです」
左手をなぞられると同時に、右手でクリシの唇の動きを感じる。
しかし、思ったより唇の動きは少ない。
考えてみたら、唇の動きだけで読み取れるのは、母音だけなのでは?
話し言葉は母音だけでなく、子音もある。
その子音は舌の動きや喉の開閉によって表現される。
とすれば、唇の動きを読むだけでは足りない。
私はクリシの唇の間に指を入れる。
クリシの歯や舌の感触がある。
温かい。
クリシが動かなくなった。
私は左手でクリシの手を取り、なぞる。
[続けて]
「ここまでするのですか?」
クリシがなぞると同時に、私の指先をクリシの唇がくわえ、歯で軽く嚙み、舌で舐め回す。
あれ?
今気づいたけど、これはもしかすると、エッチなのでは?
ちょっと判断が難しい。
もしクリシが無表情で口を動かしているだけなら、
新しいコミュニケーション手段を試しているだけだと主張してもいいと思う。
しかし、口は開発すると性感帯になるという。
もしクリシにそういう才能があって、今まさに頬を赤く染めて熱い呼吸音を響かせているとしたら、
ただ新しいコミュニケーション手段を試しているだけだと言い切ることは難しくなってくる。
今目の前でどんな光景が広がっているのか、私にはわからない。
「やっぱりエク様は、僕にこういうことをして興奮されるタイプの方なのですか?」
どうやらクリシも、エッチなことをしている可能性に気付いてしまっている。
問題はそれを呆れながら言っているのか、それともまんざらでもない感じで言っているのか……
いや、問題はそこではない。
決してエッチなことをしようとしているのではないと伝えなくては!
クリシが私の左手をなぞり、右手を舐める。
「答えてください」
私は右手で感じた舌の位置や唇の動きを覚え、それを再現する。
そして息を吐きだし、喉を震わせる。
「こ・た・え・て・く・だ・さ・い」
クリシは頭を動かし、口から私の指先を引き抜く。
そしてゆっくりと、私の左手をなぞる。
[まさかまた、エク様の言葉を聞ける日が来るなんて、夢にも思っていませんでした。
 素晴らしいことです。
 ぜひこの練習に、付き合わせてください。]
そしてまた、右手の指先にクリシの唇が触れる。
私はその唇を開き、指を入れる
左手に文字をなぞられる。
[こんにちは]
同時に口が動く。
私はその動きを再現し、発音する。
「こ・ん・に・ち・は」
クリシが私の左手をなぞる。
[「こ」は喉を閉めた状態から、一気に開く音です。]
クリシは私の右手をつかみ、もっと奥の方へと引き入れる。
クリシの舌が大きく上下し、私の指を圧迫する。
「こ」
私もその動きをまねして、声を出す。
「こ」
[お上手です]
クリシが簡単な言葉を話す。
私はその口の動きを覚え、発音する。
またしばらく練習が必要そうだけど、この技術が今後の役に立つはずだ。
指先から流れ込んでくるイメージでは、興奮した犬がご主人の手を嘗め回している。
いや、何も関係ないけど。
屋敷に帰ってきて、落ち着いて考えてみたことがある。
私は文字を知らない人とは直接コミュニケーションを取ることができない。
一応クリシに通訳として入ってもらえば、可能ではある。
しかしそうすると、一対一のコミュニケーションではなくなり、
不本意にも険悪な空気になってしまう可能性があるようだ。
できれば、直接会話をしてみたい。
盲ろう者が学ぶ読唇術の一種で、口話法というものを聞いたことがある。
話す相手の口に触れて、その動きで何と言っているのか読む技術だそうだ。
それを身に着ければ、話し言葉しか知らない相手とも、直接コミュニケーションが取れる。
しかも、その口の動きをまねることで、自分も喋れるようになるらしい。
そうすれば、コミュニケーションのスピードも速くなる。
そういう技術が役に立つことも、きっとある。
挑戦してみよう。
[クリシ、新しいコミュニケーションの方法を考えたんだけど。]
[どんな方法でしょうか?]
[相手が喋るときに、私はその口に触れるの。
 その口の動きで、相手が何を喋っているのか把握できないかな。]
[なるほど。そうすれば話し言葉しか知らない相手とも、
 コミュニケーションが取れるということですね。
 試してみましょうか。]
理解が早くて助かる。
[ありがとう]
私は右手でクリシの唇に触れる。
同時にイメージが流れ込んでくる。
いつも通り、ご主人に喉を撫でられる。
もう見慣れたイメージだ。
私は意識を保ち、指先に集中する。
クリシが私の左手をなぞる。
[こんにちは]
同時に、クリシの唇が動く。
これがこの世界における「こんにちは」の発音らしい。
「僕はクリシです」
左手をなぞられると同時に、右手でクリシの唇の動きを感じる。
しかし、思ったより唇の動きは少ない。
考えてみたら、唇の動きだけで読み取れるのは、母音だけなのでは?
話し言葉は母音だけでなく、子音もある。
その子音は舌の動きや喉の開閉によって表現される。
とすれば、唇の動きを読むだけでは足りない。
私はクリシの唇の間に指を入れる。
クリシの歯や舌の感触がある。
温かい。
クリシが動かなくなった。
私は左手でクリシの手を取り、なぞる。
[続けて]
「ここまでするのですか?」
クリシがなぞると同時に、私の指先をクリシの唇がくわえ、歯で軽く嚙み、舌で舐め回す。
あれ?
今気づいたけど、これはもしかすると、エッチなのでは?
ちょっと判断が難しい。
もしクリシが無表情で口を動かしているだけなら、
新しいコミュニケーション手段を試しているだけだと主張してもいいと思う。
しかし、口は開発すると性感帯になるという。
もしクリシにそういう才能があって、今まさに頬を赤く染めて熱い呼吸音を響かせているとしたら、
ただ新しいコミュニケーション手段を試しているだけだと言い切ることは難しくなってくる。
今目の前でどんな光景が広がっているのか、私にはわからない。
「やっぱりエク様は、僕にこういうことをして興奮されるタイプの方なのですか?」
どうやらクリシも、エッチなことをしている可能性に気付いてしまっている。
問題はそれを呆れながら言っているのか、それともまんざらでもない感じで言っているのか……
いや、問題はそこではない。
決してエッチなことをしようとしているのではないと伝えなくては!
クリシが私の左手をなぞり、右手を舐める。
「答えてください」
私は右手で感じた舌の位置や唇の動きを覚え、それを再現する。
そして息を吐きだし、喉を震わせる。
「こ・た・え・て・く・だ・さ・い」
クリシは頭を動かし、口から私の指先を引き抜く。
そしてゆっくりと、私の左手をなぞる。
[まさかまた、エク様の言葉を聞ける日が来るなんて、夢にも思っていませんでした。
 素晴らしいことです。
 ぜひこの練習に、付き合わせてください。]
そしてまた、右手の指先にクリシの唇が触れる。
私はその唇を開き、指を入れる
左手に文字をなぞられる。
[こんにちは]
同時に口が動く。
私はその動きを再現し、発音する。
「こ・ん・に・ち・は」
クリシが私の左手をなぞる。
[「こ」は喉を閉めた状態から、一気に開く音です。]
クリシは私の右手をつかみ、もっと奥の方へと引き入れる。
クリシの舌が大きく上下し、私の指を圧迫する。
「こ」
私もその動きをまねして、声を出す。
「こ」
[お上手です]
クリシが簡単な言葉を話す。
私はその口の動きを覚え、発音する。
またしばらく練習が必要そうだけど、この技術が今後の役に立つはずだ。
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