静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~
16.同調
痛い。
けれど少しだけ、暖かい記憶だった。
[大丈夫ですか?]
クリシが心配してくれる。
[大丈夫だよ。どうして?]
[いえ、痛そうな表情でしたし、少し泣いておられたので。
 大丈夫なら良かったです。]
確かに頬に水滴の感触があり、ほのかに温かい。
今回はかなり深く感情移入していたらしい。
[それで、アタイの前世はどんなだったんだ?]
どう説明しようか。
ちょっと話が重すぎて、うまくまとめられる気がしない。
[アピロスさんは前世で罪を犯した女性になってた。
 ただ、罰を受けそうになっていたところで、一人の男性がアピロスさんを助けようとした。
 だけど、結局助けられなくて、最期はアピロスさんがその男性を庇って死んだみたい。]
[ふーん。なんだか難しい話だな。
 アタイには似合わないね。
 本当に前世か?]
[いえ、前世だというのは仮の話でして、確かなことはわかりません。
 ちなみにですが、エク様。
 僕達はエク様に伝えたことや伝えられたことを、声に出してもう一人にも伝えています。
 なので、普通に会話しているつもりで話されてください。]
どうやら私を含めて会話するためのシステムが確立しているらしい。
それにしても、今回は感情移入が深かったし、景色や感触も鮮明だったような気がする。
もしかすると、何度かこの力を使っているうちに、
イメージが鮮明になるように成長したのかもしれない。
だとすると、今ならクリシの前世も鮮明に見えるかもしれない。
試させてもらおう。
みたいなことは、クリシが恐いので言わないことにしたのだった。
危ない。
[今回の記憶は深いところまで見えていたようですね。
 もしかすると、奇跡の力が成長しているのかもしれません。
 ちょっと僕で試してみますか?]
お、気が合う!
じゃなくて。
[いいの?]
[まさか僕のことを、すぐに怒りに我を忘れて脅したりするような人だと思っているのですか?
 自制心はある方だと自負しています。]
クリシの自制心は疑ってなくて、気になるのはそれ以外なんだけど。
でも、そういうことならお言葉に甘えよう。
私は手を伸ばし、クリシの頭に触れる。
ワンワンッ!
[どうでしたか?]
[あまり変わらなかったよ]
でも和んだ。
[なぁ、クリシだと何が見えるんだ?
 こいつ聞いても教えてくれなくてさ。]
やはり犬のことは秘密にしているらしい。
かわいいんだし、変に誤解されるかもしれないし、言えばいいのに。
しかし本人が秘密にしたいということなので、その意思を尊重しよう。
[別に変なものじゃないよ。
 でも秘密だから、ごめんね。]
[まーアンタならそう言うだろうな。]
[とにかく今は、エク様の奇跡について調べるべきです。
 とりあえず、屋敷の人たちの前世を見て回られてはいかがでしょうか?]
まずは数をこなせということか。
だったら、人数はなるべく多い方がいい。
[それなら、村に行って色々な人の前世を見て、ついでにそこでの生活を知りたいな。]
[構いませんが、エク様のお体に障らないでしょうか?]
クリシは心配性だ。
前が見えなくて危ないからやらないだけで、もう走り回ることだってできると思う。
[大丈夫だよ]
[そうでしょうか……?
 失礼ですが、なぜ村の生活を見てみたいのですか?]
[アピロスさんの前世を見て思ったんだけど、
 もしかしたら村には大変な思いをしている人もいるんじゃないかって、気になって。]
[そうですか。
 でしたら、少し屋敷の中を歩き回って、体の様子を見させてください。
 それで大丈夫であれば、村に行ってみましょう。]
[ありがとう]
[それにしても……
 記憶喪失になられて、今は自分が三重苦で大変だというのに、エク様は変わりませんね。]
けれど少しだけ、暖かい記憶だった。
[大丈夫ですか?]
クリシが心配してくれる。
[大丈夫だよ。どうして?]
[いえ、痛そうな表情でしたし、少し泣いておられたので。
 大丈夫なら良かったです。]
確かに頬に水滴の感触があり、ほのかに温かい。
今回はかなり深く感情移入していたらしい。
[それで、アタイの前世はどんなだったんだ?]
どう説明しようか。
ちょっと話が重すぎて、うまくまとめられる気がしない。
[アピロスさんは前世で罪を犯した女性になってた。
 ただ、罰を受けそうになっていたところで、一人の男性がアピロスさんを助けようとした。
 だけど、結局助けられなくて、最期はアピロスさんがその男性を庇って死んだみたい。]
[ふーん。なんだか難しい話だな。
 アタイには似合わないね。
 本当に前世か?]
[いえ、前世だというのは仮の話でして、確かなことはわかりません。
 ちなみにですが、エク様。
 僕達はエク様に伝えたことや伝えられたことを、声に出してもう一人にも伝えています。
 なので、普通に会話しているつもりで話されてください。]
どうやら私を含めて会話するためのシステムが確立しているらしい。
それにしても、今回は感情移入が深かったし、景色や感触も鮮明だったような気がする。
もしかすると、何度かこの力を使っているうちに、
イメージが鮮明になるように成長したのかもしれない。
だとすると、今ならクリシの前世も鮮明に見えるかもしれない。
試させてもらおう。
みたいなことは、クリシが恐いので言わないことにしたのだった。
危ない。
[今回の記憶は深いところまで見えていたようですね。
 もしかすると、奇跡の力が成長しているのかもしれません。
 ちょっと僕で試してみますか?]
お、気が合う!
じゃなくて。
[いいの?]
[まさか僕のことを、すぐに怒りに我を忘れて脅したりするような人だと思っているのですか?
 自制心はある方だと自負しています。]
クリシの自制心は疑ってなくて、気になるのはそれ以外なんだけど。
でも、そういうことならお言葉に甘えよう。
私は手を伸ばし、クリシの頭に触れる。
ワンワンッ!
[どうでしたか?]
[あまり変わらなかったよ]
でも和んだ。
[なぁ、クリシだと何が見えるんだ?
 こいつ聞いても教えてくれなくてさ。]
やはり犬のことは秘密にしているらしい。
かわいいんだし、変に誤解されるかもしれないし、言えばいいのに。
しかし本人が秘密にしたいということなので、その意思を尊重しよう。
[別に変なものじゃないよ。
 でも秘密だから、ごめんね。]
[まーアンタならそう言うだろうな。]
[とにかく今は、エク様の奇跡について調べるべきです。
 とりあえず、屋敷の人たちの前世を見て回られてはいかがでしょうか?]
まずは数をこなせということか。
だったら、人数はなるべく多い方がいい。
[それなら、村に行って色々な人の前世を見て、ついでにそこでの生活を知りたいな。]
[構いませんが、エク様のお体に障らないでしょうか?]
クリシは心配性だ。
前が見えなくて危ないからやらないだけで、もう走り回ることだってできると思う。
[大丈夫だよ]
[そうでしょうか……?
 失礼ですが、なぜ村の生活を見てみたいのですか?]
[アピロスさんの前世を見て思ったんだけど、
 もしかしたら村には大変な思いをしている人もいるんじゃないかって、気になって。]
[そうですか。
 でしたら、少し屋敷の中を歩き回って、体の様子を見させてください。
 それで大丈夫であれば、村に行ってみましょう。]
[ありがとう]
[それにしても……
 記憶喪失になられて、今は自分が三重苦で大変だというのに、エク様は変わりませんね。]
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