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静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~

あきや

17.家族

[それじゃ、アタイは帰るな。
 クリシを借りるぜ。]
[一緒に来てくれないの?]
それになぜクリシを借りていく?

[一緒に行けたら行きたいんだが……]
[アピロスは実は結構忙しいのです。
 それに、まだエク様の部屋の場所を覚えていないので、
 僕が案内しないとまっすぐ帰れないんです。]

どういうこと?
想像していたより広い屋敷なのかもしれない。

[おいおい、そういうこと言うなって!
 まーそういうことだから。じゃあな!]
[ありがとう。エピロスさん。]
私がお礼を言うと、二人は去って行ったようだ。

ちょっと落ち着いて考えてみよう。
クリシによると、この奇跡で見えるものは前世ではないかということだけど、
他の可能性はあるだろうか?
わかっていることとしては、
1.同じ人に触れる場合、同じような光景が見える。
2.見える光景の視点は、触れた相手ではない。
3.世界観がバラバラ
といったところか。
1から、この光景は触れた相手と関係があるらしい。
2から、相手の過去や未来というわけではない。
そして3から、相手と関係のある、この世界の誰かの記憶でもない。
これらを満たす可能性は何だろう?
やっぱりしっくりくる可能性は、前世くらいしか思いつかない。

[お待たせしました。
 それでは行きましょう。
 まずはどこにしましょうか?]
[とりあえず、父さんのところに行きたいな]
[わかりました。
 コリー様はお忙しい方ですが、少しなら大丈夫でしょう。]
クリシが私の肩を担ごうとする。
[そこまでしなくても大丈夫だよ]
私はベッドから降り、直立した状態でクリシの手を取る。
[案内をお願いするね]
[はい。
 本当に元気になられたようで、私も看た甲斐がありました。]
クリシに連れられて、歩き出す。
部屋の外に出るのは初めてだ。
まっすぐ歩き、曲がり、階段を上る。
特に問題はない。

しばらく歩いたところで、クリシが立ち止まる。
着いたらしい。
再び歩きだし、部屋の中に入る。
すると、ゴツゴツした大きな体に抱きしめられる。
父さんだ。
続けて背の高い女性に抱きしめられる。
母さんもいる。
[エク!すっかり元気そうじゃないか!
 今日はお祝いだな!]

なんだか心から喜んでいることが伝わってくるようだ。
そんなに喜ばれると、こちらまで嬉しくなる。

[ありがとう、父さん。
 それと今日はもう一ついい報告があるの。]
[なんだ?
 まさか既にお祝いのケーキまで用意したのか?]

いきなり距離感の近い人だ。
家族なのだから当たり前のことで、違和感を感じる私の方が変なのかもしれないけれど。

[違うよ!
 もっとすごい報告。
 私に奇跡の力が宿ったみたい。]
[本当か!
 それはどんな力なんだ?]
[人の頭に触れると、何かが見えるの。
 これが何なのか、父さんと母さんも考えてよ。]
[いいとも。
 それじゃあとりあえず、私の頭に触れてみるか。]
[お願い]
私の手が父さんの頭に触れる。



[何か見えたか?]
[戦場が見えた。
 隣には仲間がいて、何かと戦っているみたい。]
[戦場か……
 私自身が戦場に行くことはないんだがな。
 もうちょっと情報が欲しいところだ。
 そういえば、【触れた相手の将来に関する光景が見える】という【予言】の奇跡の担い手が、
 手で触れるより、互いにおでこを合わせる方がよく見えると言っていたな。
 試してみるか?]

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