静かなところにいる ~転生したら盲目難聴でした~
11.誰かの記憶?
[エクサティシー様?]
クリシに呼ばれて目を覚ます。
今のは何?
全く身に覚えのない光景だったけど。
人の頭に触れると、何か見えるのかもしれない。
確かめてみよう。
クリシにお願いする。
[他の子たちもなでさせてくれる?]
[わかりました]
小さな手が、私の手を取る。
[ありがとう]
私はその手から伝い、頭をなでる。
イメージが流れ込んでくる。
「恐いよ、夜に独りぼっちだ……」
何も見えない。
どうやら記憶の主が、目を瞑って独り言をつぶやいているらしい。
ふと、視界が開く。
しかし、周囲は暗く、その視界もぼやけている。
泣いているようだ。
「兄ちゃん、どこだい?」
辺りを見回すが、兄ちゃんらしき人影はない。
そしてまた、視界が閉じる。
「俺の手を握ってくれよ。
いつものように。」
今度は人の記憶だ。
どういう状況かはわからないけど、兄とはぐれ、うずくまって一人で泣いている少年の記憶らしい。
どうやら、この現象には動物縛りみたいなものがあるわけでもなさそうだ。
私は手を放し、また別の子の頭に触れる。
イメージが流れ込んでくる。
マントを羽織った少年と、ごつい鎧を着た大男が、やたら豪華な服を着たカバと戦っている。
記憶の主が杖を掲げる。
すると、杖の先にエネルギー的な光が収束し始める。
「メラゾー……!」
杖の先から火の玉が飛んでいき、カバに直撃する。
ドーン!
爆炎が立ち上がる。
徐々に煙が引いていくと、そこには黒焦げになったカバの姿があった。
今度は剣と魔法のファンタジー世界だ。
どうやら人も動物も、現実も異世界も、なんでもありらしい。
同じように、私は何度か子供たちの頭をなでる。
そのたびに、身に覚えのない記憶が流れ込んでくる。
これは、なんなんだろう?
[ありがとう]
次の子の頭をなでる。
イメージが流れ込んでくる。
巨大な本棚に囲まれた部屋だ。
その本棚の一つが回転し、細マッチョな男性が現れる。
その細マッチョは本棚を閉じると、四つん這いになり、こちらを見つめ始めた。
そして、細マッチョがゆっくりと瞬きを始める。
それに合わせるように、視界もゆっくりと閉じては開いてを繰り返す。
どうやら、謎のコミュニケーションが成立しているらしい。
ゆっくりと明滅する視界の中で、細マッチョがゆっくりと瞬きをしている。
猫の記憶だ。
それも、さっき見たような本棚に囲まれた部屋だ。
もしかすると、同じ人に触れると同じ記憶が見えるのかもしれない。
また別の手が私に触れる。
私はまたその子の頭をなでる。
イメージが流れ込んでくる。
目の前に袴を来た少年が立っている。
その顔には、狐の面を付けている。
「狐小僧、今は、明治何年だ?」
どうやら記憶の主が少年に聞いているらしい。
「今は大正時代だ」
「大正……?」
視界に無数の手が現れ、血が出るほどに体をかきむしる。
「アァアアア年号がァ!!年号が変わっている!!」
ビックリした。
今のは何?
流れ的に兄とはぐれて泣いている少年の記憶が来るのかと思ったら、
なぜか年号が変わったことに激怒する化け物の記憶だった。
また別の手が私に触れる。
私は気を取り直し、その子の頭に触れる。
目の前に青い肌の巨人がいる。
巨人はその巨躯に相応しい巨大なマントを羽織り、角の生えた兜をかぶり、
どくろの首飾りを着けている。
いかにも魔王という雰囲気だ。
記憶の主が、手に持った杖を掲げる。
すると、杖の先にエネルギー的な光が収束し始める。
あまりの光の強さに、視界が埋め尽くされる。
「メラゾー……!」
杖の先から火の玉が飛んでいき、魔王に直撃する。
ドグオゴゴゴゴゴゴゴゴゴズドオオオオォォォォン!!
爆炎が立ち上がる。
その煙が消えていき、魔王の姿が見える。
まるで効いていない。
うん、これならわかる。
最初の記憶では、魔王を倒しに行ったのに、
間違えて魔王っぽい恰好をしたカバを倒しちゃったんだ。
それで今回はちゃんと魔王を見つけたということだろう。
さっきはなんかの間違えで、変な化物の記憶が混ざっちゃったけど、
どうやら同じ人なら同じ記憶が見えるらしい。
しばらく子供達の頭をなでた後、クリシが私の手を取る。
[ありがとうございます。
 皆喜んでいます。]
聞いてみよう。
[もしかして二周した?]
[はい、確かに二周しました。
 子供たちが『もう一度エクサティシー様に触りたい』と言い出して……
 申し訳ありません。
 それにしても、感触だけでそこまでわかるのですか?]
[感触じゃなくて……]
どう説明しよう?
[変な話だけど、私が人の頭に触れると、なんだかイメージが入り込んでくるの。
 それでイメージが二周してたから、もしかして二周したのかなと。]
クリシからの返事がない。
まぁ、私だって急にこんなことを伝えられたら困惑する。
むしろ疲れて変になったんじゃないかと心配になる。
[それはどんなイメージですか?]
クリシはちゃんと聞いてくれるらしい。
親切だ。
[猫になってやたらガタイのいい男の人とアイコンタクトしたり、
 手がたくさんある化け物になったり、勇者になって魔王と戦ってたりとか。]
クリシの手が動かない。
いよいよ頭がおかしいと思われた?
[それは【奇跡】かもしれません。
 時々ですが、【奇跡】という不思議な力を得る人がいます。
 それで、同じ人からは同じイメージが入ってくるということでしょうか?]
[うん。]
[なるほど。
 そして、今の子供たちとは明らかに種族も世界も違う記憶が見える、ということですか?]
[うん。]
[でしたら、例えばですが、
 エクサティシー様には【相手の前世を見る】という【奇跡】が宿ったのかもしれません。]
[そんな感じかも。]
頭おかしいと思われるどころか、逆に説明されてしまった。
なんて理解力のある子なんだ。
[それで、僕の前世はどんなものでしたか?]
クリシに呼ばれて目を覚ます。
今のは何?
全く身に覚えのない光景だったけど。
人の頭に触れると、何か見えるのかもしれない。
確かめてみよう。
クリシにお願いする。
[他の子たちもなでさせてくれる?]
[わかりました]
小さな手が、私の手を取る。
[ありがとう]
私はその手から伝い、頭をなでる。
イメージが流れ込んでくる。
「恐いよ、夜に独りぼっちだ……」
何も見えない。
どうやら記憶の主が、目を瞑って独り言をつぶやいているらしい。
ふと、視界が開く。
しかし、周囲は暗く、その視界もぼやけている。
泣いているようだ。
「兄ちゃん、どこだい?」
辺りを見回すが、兄ちゃんらしき人影はない。
そしてまた、視界が閉じる。
「俺の手を握ってくれよ。
いつものように。」
今度は人の記憶だ。
どういう状況かはわからないけど、兄とはぐれ、うずくまって一人で泣いている少年の記憶らしい。
どうやら、この現象には動物縛りみたいなものがあるわけでもなさそうだ。
私は手を放し、また別の子の頭に触れる。
イメージが流れ込んでくる。
マントを羽織った少年と、ごつい鎧を着た大男が、やたら豪華な服を着たカバと戦っている。
記憶の主が杖を掲げる。
すると、杖の先にエネルギー的な光が収束し始める。
「メラゾー……!」
杖の先から火の玉が飛んでいき、カバに直撃する。
ドーン!
爆炎が立ち上がる。
徐々に煙が引いていくと、そこには黒焦げになったカバの姿があった。
今度は剣と魔法のファンタジー世界だ。
どうやら人も動物も、現実も異世界も、なんでもありらしい。
同じように、私は何度か子供たちの頭をなでる。
そのたびに、身に覚えのない記憶が流れ込んでくる。
これは、なんなんだろう?
[ありがとう]
次の子の頭をなでる。
イメージが流れ込んでくる。
巨大な本棚に囲まれた部屋だ。
その本棚の一つが回転し、細マッチョな男性が現れる。
その細マッチョは本棚を閉じると、四つん這いになり、こちらを見つめ始めた。
そして、細マッチョがゆっくりと瞬きを始める。
それに合わせるように、視界もゆっくりと閉じては開いてを繰り返す。
どうやら、謎のコミュニケーションが成立しているらしい。
ゆっくりと明滅する視界の中で、細マッチョがゆっくりと瞬きをしている。
猫の記憶だ。
それも、さっき見たような本棚に囲まれた部屋だ。
もしかすると、同じ人に触れると同じ記憶が見えるのかもしれない。
また別の手が私に触れる。
私はまたその子の頭をなでる。
イメージが流れ込んでくる。
目の前に袴を来た少年が立っている。
その顔には、狐の面を付けている。
「狐小僧、今は、明治何年だ?」
どうやら記憶の主が少年に聞いているらしい。
「今は大正時代だ」
「大正……?」
視界に無数の手が現れ、血が出るほどに体をかきむしる。
「アァアアア年号がァ!!年号が変わっている!!」
ビックリした。
今のは何?
流れ的に兄とはぐれて泣いている少年の記憶が来るのかと思ったら、
なぜか年号が変わったことに激怒する化け物の記憶だった。
また別の手が私に触れる。
私は気を取り直し、その子の頭に触れる。
目の前に青い肌の巨人がいる。
巨人はその巨躯に相応しい巨大なマントを羽織り、角の生えた兜をかぶり、
どくろの首飾りを着けている。
いかにも魔王という雰囲気だ。
記憶の主が、手に持った杖を掲げる。
すると、杖の先にエネルギー的な光が収束し始める。
あまりの光の強さに、視界が埋め尽くされる。
「メラゾー……!」
杖の先から火の玉が飛んでいき、魔王に直撃する。
ドグオゴゴゴゴゴゴゴゴゴズドオオオオォォォォン!!
爆炎が立ち上がる。
その煙が消えていき、魔王の姿が見える。
まるで効いていない。
うん、これならわかる。
最初の記憶では、魔王を倒しに行ったのに、
間違えて魔王っぽい恰好をしたカバを倒しちゃったんだ。
それで今回はちゃんと魔王を見つけたということだろう。
さっきはなんかの間違えで、変な化物の記憶が混ざっちゃったけど、
どうやら同じ人なら同じ記憶が見えるらしい。
しばらく子供達の頭をなでた後、クリシが私の手を取る。
[ありがとうございます。
 皆喜んでいます。]
聞いてみよう。
[もしかして二周した?]
[はい、確かに二周しました。
 子供たちが『もう一度エクサティシー様に触りたい』と言い出して……
 申し訳ありません。
 それにしても、感触だけでそこまでわかるのですか?]
[感触じゃなくて……]
どう説明しよう?
[変な話だけど、私が人の頭に触れると、なんだかイメージが入り込んでくるの。
 それでイメージが二周してたから、もしかして二周したのかなと。]
クリシからの返事がない。
まぁ、私だって急にこんなことを伝えられたら困惑する。
むしろ疲れて変になったんじゃないかと心配になる。
[それはどんなイメージですか?]
クリシはちゃんと聞いてくれるらしい。
親切だ。
[猫になってやたらガタイのいい男の人とアイコンタクトしたり、
 手がたくさんある化け物になったり、勇者になって魔王と戦ってたりとか。]
クリシの手が動かない。
いよいよ頭がおかしいと思われた?
[それは【奇跡】かもしれません。
 時々ですが、【奇跡】という不思議な力を得る人がいます。
 それで、同じ人からは同じイメージが入ってくるということでしょうか?]
[うん。]
[なるほど。
 そして、今の子供たちとは明らかに種族も世界も違う記憶が見える、ということですか?]
[うん。]
[でしたら、例えばですが、
 エクサティシー様には【相手の前世を見る】という【奇跡】が宿ったのかもしれません。]
[そんな感じかも。]
頭おかしいと思われるどころか、逆に説明されてしまった。
なんて理解力のある子なんだ。
[それで、僕の前世はどんなものでしたか?]
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