バーテンダーに落ちて酔わされ愛されて
XXXⅡブルーラグーン
今日はショーマと付き合ってあっという間に2ヶ月記念日。
私は自分の家があるというものの、ここ最近はほとんどショーマの家に入り浸っていて、ショーマの家が私の家みたいな感じになっている。
これはもう半同棲に近い。
因みに、両親たちには私たちが付き合っていることは言っていなくて、いつ言おうかなって悩んでいるところ。
なんか、今更ながら恥ずかしいんだよね。
ショーマと付き合ってるのが恥ずかしいんじゃなくて、昔ショーマと付き合うのはあり得ない、絶対ないと言っていた自分がいるから。
それを親の知ってるから付き合ってることを言ってみろ、絶対冷やかされるに決まってる。
「過去の私、なんであんなにもショーマと付き合うのあり得ないとか言ってたんだ…」
自分が言っていたことなのに、どこか他人のような気がして過去の自分を少しだけ恨む。
まぁ、今そんなこと悩んでもきりがないし、今日はせっかくの記念日。
「ショーマが帰ってくる前に豪華な料理を作るとしますか!」
ショーマはもちろん今日も仕事なんだけど、來さんが早めに帰っていいよって言ってくれたらしいからいつもより早めに帰ってくる。
だからそれまでにショーマの好きなものや、ちょっとレベルの高い料理に挑戦してたかが記念日、されど記念日を過ごそうってわけ。
料理に腕が鳴る、と袖をまくってキッチンに立った。
ショーマが帰ってくるのは9時。それまで3時間とたっぷり時間はある。
「さーて、豪華にしますか」
アヤナの記念日クッキングがただいまスタートしました。
まずは肉の塊を用意します。これは30分くらい室温に戻しておいたものです。その肉に塩コショウとおろしにんにくをすり込んで、お肉がすっぽり入るサイズの蓋付き鍋にお湯を沸かしておく。
フライパンに油を入れて熱したら肉を投入して全体に焼き色を付けていくんだけど…これ以降の説明は長くなるので、すべて略でいきます。
続きはウェブで、ってね。
で、完成させた本日のメニューは、ローストビーフに生ハムサラダ、白魚のソテーとボルシチ。
ボルシチはこの前ショーマが食べたいって言ってたからね、作らないわけにはいかないでしょ。
「初めて作ったけど、なかなかの出来だわ」
ピロシキも食べたいとか言い出しそうだけど、それ言われたら無視だ無視。作れないわけじゃないと思うけど、作るの面倒じゃん?
それなら旅行でロシアに行ってピロシキ食べようよって言ってやる。
そうだな、ロシア行きたいな。冬に行ったら確実に投資するから冬だけは避けたい。
そんなロシア旅行の妄想を繰り広げていたとき、玄関のドアが開く音がして飼い主が帰ってくるのを待ちわびていた犬のように玄関へと駆けつけた。
「……犬なの?」
見事、ショーマにもそう言われてしまった。けど、帰ってくるのが楽しみだったんだから仕方ないじゃん。
「ご主人様にとても従順な犬ですよ」
「そう。ただいまアヤナ」
「ん、おかえり」
頭をポンポンしてもらって満足げな私は、今日作ったご飯を早く食べてもらいたくて、ショーマをリビングへと急かす。
「うわ、すご…これ全部作ったの?」
私の力作を目の前にビックリしてるショーマの顔が面白い。
どうよ、やっぱりショーマには負けるけど私も頑張ればこれくらい著ちょいのちょいで作れるんだからね。
「美味しそうでしょ~、ほらほら涎出ちゃうんじゃない?」
ショーマに凄いと褒められてニヤニヤしながら顔を覗き込めば…嬉しそうに笑う彼の顔に胸が跳ねた。
心構えなんてしてなかったもんだから、突然視界に入ってきたその顔に私の心臓がものの見事にノックアウトされて知った。
ず、狡い…狡いぞショーマ。
「ねぇアヤナ」
「な、なんでしょう」
その顔でどんなことを言われるのか心の準備をする私。
さぁ、来い。今ならきっと大丈夫だ。
「俺の為にありがとう。愛してる」
「っっ、」
___ダメだ。全然大丈夫じゃなかった。
私の心を鷲掴みどころか、一突きで殺しにかかったよこの男。
あぁ、もうダメだ…顔絶対赤くなってるに決まってる。
嬉しさとドキドキと恥かしさでショーマの顔が見れなくなっり俯いたら「俯くの禁止」と禁止令がだされ、ショーマの手が私の頬を持ち上げて、強制的に顔を上げさせられた。
大好きな顔が視界いっぱいに広がる。
本当、ショーマには敵わない。
「…好き」
心の声がポツリと溢れた。
ショーマは私の心の声を聞いてキョトン、と固まった後、私を生き皇よく抱き寄せた。
「わっ、何?ちょっと、苦しいって!」
「あー、もう。アヤナのせいだから」
「はい?!」
君、一体何のことを言ってるんだ!
ショーマが言いたいことが分からず、ただ抱きしめられる苦しさに暴れようとすると。
「ご飯より、アヤナを食べたくなるようなことしないで?」
この男は帰ってきて早々に、爆弾を落とした。待て、私を抱きたくなるようなこと私した?
「でも、お腹空いたからアヤナを食べるのはその後」
そう言って私をパッと放したショーマは椅子に座って私には約座るよう言った。
…男の抱きたくなるポイントが全然分からない。そんなことを思いながら食べた夕食だった。
その後一緒にお風呂に入って、裸なんて何度もみられてるはずなのに恥ずかしがる私をショーマがからかったりしてた。
ショーマの肉体なんて…う、美しすぎてあんな明るい場所で直視できません。
散々恥ずかしがりながら、楽しくマユの話をしたり、ショーマのお店に来るお客さんの話を聞いたりしてお風呂から上がるとベッドに潜り込んで一緒になって横になった。
「ねぇ、おばさんたちに言った?」
私を抱き枕のように抱きしめながら問うショーマは絶対分かってる。
そして分かっててこの質問をし、私が逃げられないようにk訊く前にこうして抱きしめてる。
相変わらず狡い男。
「まだですよー」
「やっぱりね」
だって絶対冷やかされるから言えないんだもん。
「ショーマが一緒にいるときに言えば、多分…大丈夫」
「そっか、じゃあ今度の休み一緒にアヤナの家に行こっか」
「あれ…本気?ガチ?」
挨拶とかまだ先でもいいかなって思ってたけど、どうやらショーマは少しでも早く挨拶をしに行きたいらしい。それに前にも言ってたもんね、出来ることなら今すぐにでも結婚したいみたいなこと。
どんだけ私のこと好きなんだ、っていうより、私が逃げてしまわない為に早く結婚して傍に置いては安心したいって感じなんだろうな。
私、逃げたりしないのに。
てか、こんなに好きにならせておいて逃げるなんてことできないんだけど。
「俺はいつだって本気だよ。だから来週おばさんたちに帰るって言っておいて」
「分かった」
「もちろん、彼氏も連れてくるって付け加えてね」
「えぇ…そんなこと言ったらお父さんが電話越しで絶対倒れる」
「それか怒りそうだね、おじさん」
でも、相手がショーマだって分かったら即答で「アヤナでいいのか!?本当にいいのか!?」とか言い出しそう。
娘である私の心配ではなく、ショーマの心配をする父親。お父さんはえらくショーマの事気に入っているからなぁ。
私が帰ってくることに喜ぶより、ショーマに会えることに喜びそうだ…。
安易に想像ができる。
「お父さんは心配いらないと思うよ」
「俺殴られない?」
「ないない。むしろ泣いて喜ぶと思うよ」
家族全員がうちの息子になってくれてありがとう!!って握手を求めそうだ。
娘そっちのけのでずーっとショーマショーマしてそうだな。そんな妄想をして、妄想に妬む私がいる。
「アヤナの家族は皆優しいからね。久しぶりに会うのが楽しみ」
「私も、ショーマの家族に会いたいな」
おばさんは綺麗だし、おじさんはカッコいいし、10歳離れた妹はめっちゃくちゃ可愛い。ショーマをそのまま女の子にして、ゆるふわを足した感じ。
私にアヤナちゃんアヤナちゃんって懐いてくれてるから、それはもうとことん可愛がりますよ。
まぁ、実家から離れて帰ることがほとんどないからここ最近はぜんぜん会ってないんだけどね。
「母さんたちもきっと喜ぶ」
「そっかなぁ?」
そうだと嬉しいな。
「てか、こうやってゆっくり話すの久しぶりじゃん?」
お互い最近はちょっと忙しくてこうしてゆっくり話せなかったし、会えば求め合うように体を重ねてその度に私が力尽きて話すなんてこと無理だったし。
「あっ、そうだ」
体力と言えば、この絶論男。
「ねぇ、私がXYZ頼んだ日のこと覚えてる?」
「もちろん」
忘れるわけがないよ、と私の髪を掬ったショーマの仕草にドキンと胸を跳ねさせながらも話しを進める。
言わないでおこうとか思ってたけど、ちょっとしたネタとして言うことを決めた。
「私ね、ショーマの事インポだと思ってたんだよ」
「は?」
私の口からとんでもない言葉が飛び出し、案の定ショーマの表情は固まってしまった。
次の瞬間にはどういう事かな?って真黒な笑顔向けられて背筋がゾッとしたけどね。
「い、いや…だって1ヶ月半何もしてこなかったじゃん?」
「だからインポだと?」
「そそ、そうっ」
いや、まさか絶論だとも思わないじゃん?本当ごめんって思う。
「これでもそう言える?」
「ひっ、」
グイッとさっきよりも体を抱き寄せたショーマ。
そんなショーマのものが私の下腹部にめっちゃ当たる。そりゃもう、カチカチに固いものが…。
「ちょ、ショーマ…今日はちょっと…」
タラリ、冷や汗を垂らしながら目の前の彼にどうどうと言い聞かせるが…フッと笑った彼を見てもうダメだと思った。
これはもう自業自得だ。
「今日はヤらずに抱きしめて眠ろうとか思ってたけど、アヤナが煽ったから仕方ないよね?」
「ごめん、本当ごめん。私が悪かった!」
「謝っても遅いって」
うわーん、お願いだよショーマ。今日はもうさすがにやめようよ。諦めろっともう1人の私が言ってるけど、明日仕事なんだって。
腰イタイイタイしながら出勤したくないよ、眠たい言いながら出勤したくないよ。
そしたら察しのいいマユが「お盛んね」って言うに決まってるんだから!
「ショーマも明日仕事じゃん。今日も疲れてるでしょ?」
何とかしてこの状況から逃れる方法はないかと試してみるけど、
「アヤナを抱くくらいの体力は全然あるよ」
私は今夜も寝かせてもらえないらしい。息子不能の話をしてしまった私が完全に悪かった。
もう諦めた私は、組み敷いているショーマにそっとキスをした。
私の行動に、嬉しそうに微笑むその顔は狡いし、他の人に渡したくないな、私以外に見せてほしくないなって独占欲が湧く。
「降参」
「てことは、抱いてもいいってこと?」
「どうぞ。好きなように抱いて?」
「じゃあ、遠慮なく」
そう言って、一度触れるだけをキスを私の唇に落とすと息がダイレクトにかかる至近距離で、この男は言った。
「アヤナじゃないとこんなに興奮しないし、勃たないってこと分からせてあげる」
___いつだって予告なく言葉の爆弾を落としてくること男が愛しくて堪らない。
恋は盲目。
惚れた方が負け。
本当、よくできた言葉だよね。まさにその通りって感じ。
「最低3回ね」
「は!?3回って十分多い__って、まっ…ん」
「今すぐ、アヤナの中に挿れたい」
私に口づけをして、息が漏れる唇を妖艶になぞるショーマは私を貪りつくす狼。
そんな狼に、声が涸れるほど啼かされて優しく抱かれる___そんな記念日の夜だった。
後日、両家の親に結婚を前提に交際していることを発表すれば、お祭りのような騒ぎだったなんて言うまでもない。
【ブルーラグーン/誠実な愛】
私は自分の家があるというものの、ここ最近はほとんどショーマの家に入り浸っていて、ショーマの家が私の家みたいな感じになっている。
これはもう半同棲に近い。
因みに、両親たちには私たちが付き合っていることは言っていなくて、いつ言おうかなって悩んでいるところ。
なんか、今更ながら恥ずかしいんだよね。
ショーマと付き合ってるのが恥ずかしいんじゃなくて、昔ショーマと付き合うのはあり得ない、絶対ないと言っていた自分がいるから。
それを親の知ってるから付き合ってることを言ってみろ、絶対冷やかされるに決まってる。
「過去の私、なんであんなにもショーマと付き合うのあり得ないとか言ってたんだ…」
自分が言っていたことなのに、どこか他人のような気がして過去の自分を少しだけ恨む。
まぁ、今そんなこと悩んでもきりがないし、今日はせっかくの記念日。
「ショーマが帰ってくる前に豪華な料理を作るとしますか!」
ショーマはもちろん今日も仕事なんだけど、來さんが早めに帰っていいよって言ってくれたらしいからいつもより早めに帰ってくる。
だからそれまでにショーマの好きなものや、ちょっとレベルの高い料理に挑戦してたかが記念日、されど記念日を過ごそうってわけ。
料理に腕が鳴る、と袖をまくってキッチンに立った。
ショーマが帰ってくるのは9時。それまで3時間とたっぷり時間はある。
「さーて、豪華にしますか」
アヤナの記念日クッキングがただいまスタートしました。
まずは肉の塊を用意します。これは30分くらい室温に戻しておいたものです。その肉に塩コショウとおろしにんにくをすり込んで、お肉がすっぽり入るサイズの蓋付き鍋にお湯を沸かしておく。
フライパンに油を入れて熱したら肉を投入して全体に焼き色を付けていくんだけど…これ以降の説明は長くなるので、すべて略でいきます。
続きはウェブで、ってね。
で、完成させた本日のメニューは、ローストビーフに生ハムサラダ、白魚のソテーとボルシチ。
ボルシチはこの前ショーマが食べたいって言ってたからね、作らないわけにはいかないでしょ。
「初めて作ったけど、なかなかの出来だわ」
ピロシキも食べたいとか言い出しそうだけど、それ言われたら無視だ無視。作れないわけじゃないと思うけど、作るの面倒じゃん?
それなら旅行でロシアに行ってピロシキ食べようよって言ってやる。
そうだな、ロシア行きたいな。冬に行ったら確実に投資するから冬だけは避けたい。
そんなロシア旅行の妄想を繰り広げていたとき、玄関のドアが開く音がして飼い主が帰ってくるのを待ちわびていた犬のように玄関へと駆けつけた。
「……犬なの?」
見事、ショーマにもそう言われてしまった。けど、帰ってくるのが楽しみだったんだから仕方ないじゃん。
「ご主人様にとても従順な犬ですよ」
「そう。ただいまアヤナ」
「ん、おかえり」
頭をポンポンしてもらって満足げな私は、今日作ったご飯を早く食べてもらいたくて、ショーマをリビングへと急かす。
「うわ、すご…これ全部作ったの?」
私の力作を目の前にビックリしてるショーマの顔が面白い。
どうよ、やっぱりショーマには負けるけど私も頑張ればこれくらい著ちょいのちょいで作れるんだからね。
「美味しそうでしょ~、ほらほら涎出ちゃうんじゃない?」
ショーマに凄いと褒められてニヤニヤしながら顔を覗き込めば…嬉しそうに笑う彼の顔に胸が跳ねた。
心構えなんてしてなかったもんだから、突然視界に入ってきたその顔に私の心臓がものの見事にノックアウトされて知った。
ず、狡い…狡いぞショーマ。
「ねぇアヤナ」
「な、なんでしょう」
その顔でどんなことを言われるのか心の準備をする私。
さぁ、来い。今ならきっと大丈夫だ。
「俺の為にありがとう。愛してる」
「っっ、」
___ダメだ。全然大丈夫じゃなかった。
私の心を鷲掴みどころか、一突きで殺しにかかったよこの男。
あぁ、もうダメだ…顔絶対赤くなってるに決まってる。
嬉しさとドキドキと恥かしさでショーマの顔が見れなくなっり俯いたら「俯くの禁止」と禁止令がだされ、ショーマの手が私の頬を持ち上げて、強制的に顔を上げさせられた。
大好きな顔が視界いっぱいに広がる。
本当、ショーマには敵わない。
「…好き」
心の声がポツリと溢れた。
ショーマは私の心の声を聞いてキョトン、と固まった後、私を生き皇よく抱き寄せた。
「わっ、何?ちょっと、苦しいって!」
「あー、もう。アヤナのせいだから」
「はい?!」
君、一体何のことを言ってるんだ!
ショーマが言いたいことが分からず、ただ抱きしめられる苦しさに暴れようとすると。
「ご飯より、アヤナを食べたくなるようなことしないで?」
この男は帰ってきて早々に、爆弾を落とした。待て、私を抱きたくなるようなこと私した?
「でも、お腹空いたからアヤナを食べるのはその後」
そう言って私をパッと放したショーマは椅子に座って私には約座るよう言った。
…男の抱きたくなるポイントが全然分からない。そんなことを思いながら食べた夕食だった。
その後一緒にお風呂に入って、裸なんて何度もみられてるはずなのに恥ずかしがる私をショーマがからかったりしてた。
ショーマの肉体なんて…う、美しすぎてあんな明るい場所で直視できません。
散々恥ずかしがりながら、楽しくマユの話をしたり、ショーマのお店に来るお客さんの話を聞いたりしてお風呂から上がるとベッドに潜り込んで一緒になって横になった。
「ねぇ、おばさんたちに言った?」
私を抱き枕のように抱きしめながら問うショーマは絶対分かってる。
そして分かっててこの質問をし、私が逃げられないようにk訊く前にこうして抱きしめてる。
相変わらず狡い男。
「まだですよー」
「やっぱりね」
だって絶対冷やかされるから言えないんだもん。
「ショーマが一緒にいるときに言えば、多分…大丈夫」
「そっか、じゃあ今度の休み一緒にアヤナの家に行こっか」
「あれ…本気?ガチ?」
挨拶とかまだ先でもいいかなって思ってたけど、どうやらショーマは少しでも早く挨拶をしに行きたいらしい。それに前にも言ってたもんね、出来ることなら今すぐにでも結婚したいみたいなこと。
どんだけ私のこと好きなんだ、っていうより、私が逃げてしまわない為に早く結婚して傍に置いては安心したいって感じなんだろうな。
私、逃げたりしないのに。
てか、こんなに好きにならせておいて逃げるなんてことできないんだけど。
「俺はいつだって本気だよ。だから来週おばさんたちに帰るって言っておいて」
「分かった」
「もちろん、彼氏も連れてくるって付け加えてね」
「えぇ…そんなこと言ったらお父さんが電話越しで絶対倒れる」
「それか怒りそうだね、おじさん」
でも、相手がショーマだって分かったら即答で「アヤナでいいのか!?本当にいいのか!?」とか言い出しそう。
娘である私の心配ではなく、ショーマの心配をする父親。お父さんはえらくショーマの事気に入っているからなぁ。
私が帰ってくることに喜ぶより、ショーマに会えることに喜びそうだ…。
安易に想像ができる。
「お父さんは心配いらないと思うよ」
「俺殴られない?」
「ないない。むしろ泣いて喜ぶと思うよ」
家族全員がうちの息子になってくれてありがとう!!って握手を求めそうだ。
娘そっちのけのでずーっとショーマショーマしてそうだな。そんな妄想をして、妄想に妬む私がいる。
「アヤナの家族は皆優しいからね。久しぶりに会うのが楽しみ」
「私も、ショーマの家族に会いたいな」
おばさんは綺麗だし、おじさんはカッコいいし、10歳離れた妹はめっちゃくちゃ可愛い。ショーマをそのまま女の子にして、ゆるふわを足した感じ。
私にアヤナちゃんアヤナちゃんって懐いてくれてるから、それはもうとことん可愛がりますよ。
まぁ、実家から離れて帰ることがほとんどないからここ最近はぜんぜん会ってないんだけどね。
「母さんたちもきっと喜ぶ」
「そっかなぁ?」
そうだと嬉しいな。
「てか、こうやってゆっくり話すの久しぶりじゃん?」
お互い最近はちょっと忙しくてこうしてゆっくり話せなかったし、会えば求め合うように体を重ねてその度に私が力尽きて話すなんてこと無理だったし。
「あっ、そうだ」
体力と言えば、この絶論男。
「ねぇ、私がXYZ頼んだ日のこと覚えてる?」
「もちろん」
忘れるわけがないよ、と私の髪を掬ったショーマの仕草にドキンと胸を跳ねさせながらも話しを進める。
言わないでおこうとか思ってたけど、ちょっとしたネタとして言うことを決めた。
「私ね、ショーマの事インポだと思ってたんだよ」
「は?」
私の口からとんでもない言葉が飛び出し、案の定ショーマの表情は固まってしまった。
次の瞬間にはどういう事かな?って真黒な笑顔向けられて背筋がゾッとしたけどね。
「い、いや…だって1ヶ月半何もしてこなかったじゃん?」
「だからインポだと?」
「そそ、そうっ」
いや、まさか絶論だとも思わないじゃん?本当ごめんって思う。
「これでもそう言える?」
「ひっ、」
グイッとさっきよりも体を抱き寄せたショーマ。
そんなショーマのものが私の下腹部にめっちゃ当たる。そりゃもう、カチカチに固いものが…。
「ちょ、ショーマ…今日はちょっと…」
タラリ、冷や汗を垂らしながら目の前の彼にどうどうと言い聞かせるが…フッと笑った彼を見てもうダメだと思った。
これはもう自業自得だ。
「今日はヤらずに抱きしめて眠ろうとか思ってたけど、アヤナが煽ったから仕方ないよね?」
「ごめん、本当ごめん。私が悪かった!」
「謝っても遅いって」
うわーん、お願いだよショーマ。今日はもうさすがにやめようよ。諦めろっともう1人の私が言ってるけど、明日仕事なんだって。
腰イタイイタイしながら出勤したくないよ、眠たい言いながら出勤したくないよ。
そしたら察しのいいマユが「お盛んね」って言うに決まってるんだから!
「ショーマも明日仕事じゃん。今日も疲れてるでしょ?」
何とかしてこの状況から逃れる方法はないかと試してみるけど、
「アヤナを抱くくらいの体力は全然あるよ」
私は今夜も寝かせてもらえないらしい。息子不能の話をしてしまった私が完全に悪かった。
もう諦めた私は、組み敷いているショーマにそっとキスをした。
私の行動に、嬉しそうに微笑むその顔は狡いし、他の人に渡したくないな、私以外に見せてほしくないなって独占欲が湧く。
「降参」
「てことは、抱いてもいいってこと?」
「どうぞ。好きなように抱いて?」
「じゃあ、遠慮なく」
そう言って、一度触れるだけをキスを私の唇に落とすと息がダイレクトにかかる至近距離で、この男は言った。
「アヤナじゃないとこんなに興奮しないし、勃たないってこと分からせてあげる」
___いつだって予告なく言葉の爆弾を落としてくること男が愛しくて堪らない。
恋は盲目。
惚れた方が負け。
本当、よくできた言葉だよね。まさにその通りって感じ。
「最低3回ね」
「は!?3回って十分多い__って、まっ…ん」
「今すぐ、アヤナの中に挿れたい」
私に口づけをして、息が漏れる唇を妖艶になぞるショーマは私を貪りつくす狼。
そんな狼に、声が涸れるほど啼かされて優しく抱かれる___そんな記念日の夜だった。
後日、両家の親に結婚を前提に交際していることを発表すれば、お祭りのような騒ぎだったなんて言うまでもない。
【ブルーラグーン/誠実な愛】
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