バーテンダーに落ちて酔わされ愛されて
XVⅠV
「アヤナは狡いよね」
「…ッ」
本心を突かれて何も言い返せません。
「けど、そういう所好きだよ」
「…っ、好きって何それ」
あたし狡いんだよ?我儘だよ?それなのに好きとかわけわからないんだけど。
「ふっ…他の人に作るなってのは難しいけど、アヤナに作るものはいつも特別だけど?」
知ってた?そう問いかけた彼の言葉に上手く返事が出来ない。その笑顔が眩しくて、心がギュッとして苦しいんだもん。
「アヤナに作るときはちゃんと凝ってるし時間かけて下ごしらえして沢山の愛情込めてる」
「愛情って……恥ずかし」
「なんで、別にいいじゃん。愛情込めて作るのは当たり前だよ」
そうかもしれないけど、そんな風に言われたら勘違いしてしまうんだけどっ。
ほんと、馬鹿みたいに勘違いしそうになる…だからこんなにドキドキが止まらないんだ。
「そ、その話はもう終わり!」
これ以上聞かされたら私の身が持たなさそう。強制的に話しを切ると残りのドリアを口の中に運んでたいらげた。
「美味しかった、ご馳走様!」
「ふっ……で、何か飲む?」
「バーボンのロック」
恥ずかしさのあまり、早く酔いたいと思った私は可愛げのないロックを頼むとすぐに出されたそれをゴクゴクと流し込んだ。
「ちょ、いつも言うけどそんな風に飲んだらダメだって」
「いいじゃん…今とっても酔いたい気分なの」
「二日酔いになったら明日楽しめないの自分だけど?」
いいの?と顔を覗き込まれたことによって強制的に瞳に移されるショーマの綺麗な顔に赤面してしまい顔を思いっきり逸らしてしまった。
今のは良くないって分かっちゃいるけど、あの顔に見つめられたらさすがのあたしも堪んない。今まで普通に接してきたのに、急にこんなになっちゃうなんてあたし一体どうしたんだろう。
“多分だけど、ショーマ好きな人でもいるんじゃない?”
“それ、アヤナだったりして”
無意識うちにあの日マユが言っていた言葉を思い出してしまった。
なんでこんな時に思い出しちゃうのよっ…マユがあの日、あんなこと言ったから…。
「あ、もう空になる。アヤナ飲みたいのある?」
最初の一口二口でほぼ飲んでしまったバーボンがなくなりかけていたので、ショーマはカウンターから離れてアイスピックで正方形の氷を円形に削りながら、そう訊いてきた。
そうだな、たまには自分で頼まないとな…いつもおまかせで悪いし。
そう思って何にしようかと悩み、飲みたいと思ったのはつい最近飲んだもの。
「アビーが飲みたい」
「了解」と返事をしてから作業に取り掛かったショーマ。
あたしはこの前家で作ってくれたアビーというカクテルのことを思い出しながら、ショーマのしなやかな作業を魅入っていた。
カシャカシャとシェーカーを何度か振るとショートグラスにオレンジ色の液体が注がれて、そこにチェリーを添えてあたしの前に置いた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
「この前もこれ飲んだけど、やっぱり飲みやすくてあと数杯でもいけちゃう」
コクコクと喉をアビーが通っていくのを感じながら、さっきとは対象的にゆっくり飲んでいた。
そうそう、そうやってゆっくり飲むんだよってショーマの声が聞こえた気がしてゆっくり飲むことを意識する。
「そうだアヤナ、準備」
「ん?準備?」
「そう」
「あ~、このカクテルの意味でしょ?」
ショーマが教えてくれたからしっかり覚えてるに決まってるじゃん。
「いや、そっちの意味じゃなくて」
「え?」
何、あたし間違えた?こっちの意味じゃないってどっちの意味?
ショーマの言いたいことが分からず頭を悩ませていた。
「だから、明日の温泉の準備出来てるの?」
___そう、私はとんでもない重要なことを忘れていた。
「準備!してないっ!」
「はぁ…やっぱり」
あたしこういう準備は人一倍時間がかかるのになんで準備してないわけ?なんで今の今まで忘れていたわけ?
マジで何やってるんだか、馬鹿の極みだ。
「早く準備した方がいいと思うけど」
あたしが準備に時間がかかることを知っているショーマはちょっと呆れ顔で、「今日はもう帰って準備しな」と言ってからになったグラスもお皿も下げてしまった。
もうちょっとだけでも飲みたいのにショーマは作ってくれる気がないらしい。
早よ帰れと言うことか。
「分かったよ。じゃあまた明日ね」
「明日10時にはそっち迎えに行くから」
「はーい」
カランカランと音をたてて閉まるドアにはまだcloseの文字が。
もう少し飲んでいたかったなと思いながらも、早く準備をして早寝早起きをしないとなって言う思いが葛藤していた。
でも、ショーマは今日も遅くまで仕事だからちゃんと寝ることできるのかな。
あたしは自分の心配よりも彼の心配をしていた。
そのせいで夜8時から始めた準備が深夜12時過ぎまでかかってしまったのは言うまでもない。
【カリフォルニア・レモネード/永遠の感謝】
「…ッ」
本心を突かれて何も言い返せません。
「けど、そういう所好きだよ」
「…っ、好きって何それ」
あたし狡いんだよ?我儘だよ?それなのに好きとかわけわからないんだけど。
「ふっ…他の人に作るなってのは難しいけど、アヤナに作るものはいつも特別だけど?」
知ってた?そう問いかけた彼の言葉に上手く返事が出来ない。その笑顔が眩しくて、心がギュッとして苦しいんだもん。
「アヤナに作るときはちゃんと凝ってるし時間かけて下ごしらえして沢山の愛情込めてる」
「愛情って……恥ずかし」
「なんで、別にいいじゃん。愛情込めて作るのは当たり前だよ」
そうかもしれないけど、そんな風に言われたら勘違いしてしまうんだけどっ。
ほんと、馬鹿みたいに勘違いしそうになる…だからこんなにドキドキが止まらないんだ。
「そ、その話はもう終わり!」
これ以上聞かされたら私の身が持たなさそう。強制的に話しを切ると残りのドリアを口の中に運んでたいらげた。
「美味しかった、ご馳走様!」
「ふっ……で、何か飲む?」
「バーボンのロック」
恥ずかしさのあまり、早く酔いたいと思った私は可愛げのないロックを頼むとすぐに出されたそれをゴクゴクと流し込んだ。
「ちょ、いつも言うけどそんな風に飲んだらダメだって」
「いいじゃん…今とっても酔いたい気分なの」
「二日酔いになったら明日楽しめないの自分だけど?」
いいの?と顔を覗き込まれたことによって強制的に瞳に移されるショーマの綺麗な顔に赤面してしまい顔を思いっきり逸らしてしまった。
今のは良くないって分かっちゃいるけど、あの顔に見つめられたらさすがのあたしも堪んない。今まで普通に接してきたのに、急にこんなになっちゃうなんてあたし一体どうしたんだろう。
“多分だけど、ショーマ好きな人でもいるんじゃない?”
“それ、アヤナだったりして”
無意識うちにあの日マユが言っていた言葉を思い出してしまった。
なんでこんな時に思い出しちゃうのよっ…マユがあの日、あんなこと言ったから…。
「あ、もう空になる。アヤナ飲みたいのある?」
最初の一口二口でほぼ飲んでしまったバーボンがなくなりかけていたので、ショーマはカウンターから離れてアイスピックで正方形の氷を円形に削りながら、そう訊いてきた。
そうだな、たまには自分で頼まないとな…いつもおまかせで悪いし。
そう思って何にしようかと悩み、飲みたいと思ったのはつい最近飲んだもの。
「アビーが飲みたい」
「了解」と返事をしてから作業に取り掛かったショーマ。
あたしはこの前家で作ってくれたアビーというカクテルのことを思い出しながら、ショーマのしなやかな作業を魅入っていた。
カシャカシャとシェーカーを何度か振るとショートグラスにオレンジ色の液体が注がれて、そこにチェリーを添えてあたしの前に置いた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
「この前もこれ飲んだけど、やっぱり飲みやすくてあと数杯でもいけちゃう」
コクコクと喉をアビーが通っていくのを感じながら、さっきとは対象的にゆっくり飲んでいた。
そうそう、そうやってゆっくり飲むんだよってショーマの声が聞こえた気がしてゆっくり飲むことを意識する。
「そうだアヤナ、準備」
「ん?準備?」
「そう」
「あ~、このカクテルの意味でしょ?」
ショーマが教えてくれたからしっかり覚えてるに決まってるじゃん。
「いや、そっちの意味じゃなくて」
「え?」
何、あたし間違えた?こっちの意味じゃないってどっちの意味?
ショーマの言いたいことが分からず頭を悩ませていた。
「だから、明日の温泉の準備出来てるの?」
___そう、私はとんでもない重要なことを忘れていた。
「準備!してないっ!」
「はぁ…やっぱり」
あたしこういう準備は人一倍時間がかかるのになんで準備してないわけ?なんで今の今まで忘れていたわけ?
マジで何やってるんだか、馬鹿の極みだ。
「早く準備した方がいいと思うけど」
あたしが準備に時間がかかることを知っているショーマはちょっと呆れ顔で、「今日はもう帰って準備しな」と言ってからになったグラスもお皿も下げてしまった。
もうちょっとだけでも飲みたいのにショーマは作ってくれる気がないらしい。
早よ帰れと言うことか。
「分かったよ。じゃあまた明日ね」
「明日10時にはそっち迎えに行くから」
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もう少し飲んでいたかったなと思いながらも、早く準備をして早寝早起きをしないとなって言う思いが葛藤していた。
でも、ショーマは今日も遅くまで仕事だからちゃんと寝ることできるのかな。
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