追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー
【第十五話】殺戮③
「あれ、必要だったの?」
教室を出てから、ユウカは純粋な瞳で尋ねる。
勿論必要と言えば必要だが、それ以前の問題がかなり大きな割合で占められていた。
しかし、
恭司は一切気にかけず、自信満々に頷く。
「俺は入学前に世間一般の常識を一通り本で学んだんだ。そこに書いてあったんだから間違いない」
「本ってあのお父さんが用意した『小学生向け一般常識~大人になるための第一歩~』のこと?」
「そうだ。なかなかの文量で手古摺ったが、それなりにタメになった」
「…………」
全30ページである。
「まぁ……これから暮らしていけば色々と知ることも多いだろうから、今はそれでいいかもね……」
ユウカは「足りな過ぎるよ!」というツッコミを心の中に仕舞い込み、とりあえず面倒事を後回しにした。
一般常識について、恭司とはゆっくり語り合う必要がありそうだ。
「それで、今日はもう帰るのか?」
教室を出て廊下を歩きながら、恭司はユウカに尋ねかけた。
恭司は言わばユウカに便乗、もとい付き合った形なのだ。
実はどうするのか分かっていなかった。
「んー、まぁ、そうだね。今日はもう疲れちゃったから、早めに帰りたいんだよ」
「その気持ちは確かに分からなくもないな……。学校ってこんなに大変なのか……」
「そうだよ?私が学校に行きたがらない理由も分かろうものでしょ?」
「あぁ……。確かに少し分かった気がするわ」
勿論、それは個人それぞれという部分がかなり大きく、正直休んでいい理由には全くなっていないのだが、恭司はため息混じりに頷いた。
なんだかんだで疲れたのは本当だ。
『初めての学校』というのは勿論、『トラスト』に『クリス』に『授業』に『ククル(クレイア)』と、初日にしては色々とあり過ぎた。
もっと順を追ってきてほしいというのが、恭司の純然たる想いだ。
「そういえば、『ランキング』もあるんだったか……」
恭司はふと思い出したように呟く。
アベルトの計画に大会への参加が必要なのかどうかはまだ不明だが、必要であれば恭司は少なくとも学年で40位以内に入っておかなければならないのだ。
そして、
恭司の現時点でのランキングは60位で、大会は半年後。
ランキングアップのチャンスは月3回の実技訓練で、このままだと例え全勝しても目標ラインには到達できないときている。
だからこそ、
アベルトが1ヶ月後に用意した『イベント』を活用しなければならないということだ。
「『ボルディス』の長男だっけ?ホントに色々と大変だねぇ……。さすがに同情するよ」
「同情っていうかお前は当事者のはずなんだがな……」
恭司はため息混じりに呟く。
ここにきてもまだ、ユウカにイベントの内容については話していなかった。
ユウカは単なるバトル系の催しだと思っている。
本当は『LOVE祭り』とかいう、名前から内容丸出しの色ボケイベントなのだが、そういう所は全く伝えていなかった。
そして勿論、
そのイベントに恭司とユウカがカップルとして出場しなければならないなどとは毛ほども口にしてはいない。
もし伝えれば、2人の空気が気まずくなるのは間違いないからだ。
恭司は冷や汗もそこそこに口をンッと閉じた。
「何、変な顔してるの?」
「口内炎が痛いんだ」
「そうなの?」
嘘だ。
教室を出てから、ユウカは純粋な瞳で尋ねる。
勿論必要と言えば必要だが、それ以前の問題がかなり大きな割合で占められていた。
しかし、
恭司は一切気にかけず、自信満々に頷く。
「俺は入学前に世間一般の常識を一通り本で学んだんだ。そこに書いてあったんだから間違いない」
「本ってあのお父さんが用意した『小学生向け一般常識~大人になるための第一歩~』のこと?」
「そうだ。なかなかの文量で手古摺ったが、それなりにタメになった」
「…………」
全30ページである。
「まぁ……これから暮らしていけば色々と知ることも多いだろうから、今はそれでいいかもね……」
ユウカは「足りな過ぎるよ!」というツッコミを心の中に仕舞い込み、とりあえず面倒事を後回しにした。
一般常識について、恭司とはゆっくり語り合う必要がありそうだ。
「それで、今日はもう帰るのか?」
教室を出て廊下を歩きながら、恭司はユウカに尋ねかけた。
恭司は言わばユウカに便乗、もとい付き合った形なのだ。
実はどうするのか分かっていなかった。
「んー、まぁ、そうだね。今日はもう疲れちゃったから、早めに帰りたいんだよ」
「その気持ちは確かに分からなくもないな……。学校ってこんなに大変なのか……」
「そうだよ?私が学校に行きたがらない理由も分かろうものでしょ?」
「あぁ……。確かに少し分かった気がするわ」
勿論、それは個人それぞれという部分がかなり大きく、正直休んでいい理由には全くなっていないのだが、恭司はため息混じりに頷いた。
なんだかんだで疲れたのは本当だ。
『初めての学校』というのは勿論、『トラスト』に『クリス』に『授業』に『ククル(クレイア)』と、初日にしては色々とあり過ぎた。
もっと順を追ってきてほしいというのが、恭司の純然たる想いだ。
「そういえば、『ランキング』もあるんだったか……」
恭司はふと思い出したように呟く。
アベルトの計画に大会への参加が必要なのかどうかはまだ不明だが、必要であれば恭司は少なくとも学年で40位以内に入っておかなければならないのだ。
そして、
恭司の現時点でのランキングは60位で、大会は半年後。
ランキングアップのチャンスは月3回の実技訓練で、このままだと例え全勝しても目標ラインには到達できないときている。
だからこそ、
アベルトが1ヶ月後に用意した『イベント』を活用しなければならないということだ。
「『ボルディス』の長男だっけ?ホントに色々と大変だねぇ……。さすがに同情するよ」
「同情っていうかお前は当事者のはずなんだがな……」
恭司はため息混じりに呟く。
ここにきてもまだ、ユウカにイベントの内容については話していなかった。
ユウカは単なるバトル系の催しだと思っている。
本当は『LOVE祭り』とかいう、名前から内容丸出しの色ボケイベントなのだが、そういう所は全く伝えていなかった。
そして勿論、
そのイベントに恭司とユウカがカップルとして出場しなければならないなどとは毛ほども口にしてはいない。
もし伝えれば、2人の空気が気まずくなるのは間違いないからだ。
恭司は冷や汗もそこそこに口をンッと閉じた。
「何、変な顔してるの?」
「口内炎が痛いんだ」
「そうなの?」
嘘だ。
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