追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー

ノベルバユーザー520245

【第十五話】殺戮②

「最初からそう言えばいいのに。強情だねー」

「…………」

「でも、関係ないけど今日はさすがにすごい疲れちゃったよ。いつもの3倍は疲れたような気がする」


ユウカはそう言って座ったまま「んーっ!!」と伸びをした。

そこには当然、雰囲気を和ませるという意味もある。

普段敢えて読もうとしないだけで、ユウカは実は空気の読める方だ。

例えどれだけ事の内容が気になっていたとしても、クラスメイトたちがこれだけ大勢いる中で問い詰めるほど酷なことはしない。

恭司が本気で嫌がりそうだと分かっているから尚更だ。

元々これはユウカが言い出した話であるということを除けば、ユウカは恭司を本気で困らせようとは思っていなかった。

言ってしまえば、少し構ってほしかっただけなのである。

ちなみに授業中だ。


「確かになぁ。今日ばかりは本当に疲れた。もうヘトヘトだ」


ユウカが出してくれた助け船に、恭司は颯爽と乗り込んだ。

緊急性を帯びた事態に直面している今、さすがにこんな所でいつまでも話しているわけにはいかない。

クラスメイトたちはすぐ側にいるのだ。

ヒソヒソ話で聞こえにくくしているとはいえ、この状況では無理がある。

秘密事はなるべく2人の時にだ。

ちなみに授業中だ。


「ホントにね。少しでも真面目に通えばすぐコレだよ。これだから学校っていうのは……」


ブツブツと文句を言いながら、ユウカはせっせと持ち物を片付けていく。

特に大したものは持ってきていないものだから、片付けもあっという間だった。

所持物は瞬く間にカバンの中へ収納され、準備はそう時間も掛からずに整う。

行く時はあれほど時間が掛かったユウカも、帰る時にはたったの数秒だ。

ちなみに授業中だ。


「まぁ、真面目って部分には正直違和感バリバリだけどな……」


恭司もそんなツッコミを入れつつ、教科書を片付けていった。

転校初日でそれほどカバンに中身は入っていないため、ユウカと同じく準備はあっという間に終わる。

体操着も武器も無いものだから荷物も少なかった。

ちなみに授gy


「じゃあ、そろそろ行こっか」


ユウカはそう言うと、カバンを持って立ち上がった。

今は絶賛授業中で、先生が講義を進めている真っ最中なのだが、圧倒的完璧なフル無視だった。

そんなユウカに、恭司はやれやれとばかりに続く。


「ユウカ。今は授業中なんだ。そんな大きな声を出すな」

「えー、別に大丈夫じゃない?」

「大丈夫じゃない。それに、こういう時は先生に一言言ってからだと、ここに来る前に勉強したんだ」

「え?そうなの?一体何を言わなきゃいけないの?」

「いいか?見てろ」


恭司はそう言うと、黒板の前に立つ先生に話しかけた。

先生は「え?」とした顔をしているが、恭司は構わずに続きを述べる。


「体調が悪いんで早退します」

「あ、あぁ……うん……。分かったよ」


先生はとても微妙な顔をした。

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