追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー
【第十四話】ククル・ウィスター<2>11
「コレで分かっただろ?」
そう言ってくる恭司に、ククルはすぐには答えられなかった。
本当の意味ではコレは証拠にはなり得ないものだが、ククルも今は冷静じゃないということだ。
あるべき反論の言葉は出てこなかった。
「し、しかし!!それなら何故貴方はユウカさんと同じ技が使えるのですか!?」
ククルは代わりに別の質問をしてきた。
急場とはいえその質問は想定内だ。
恭司はすぐに返す。
「俺もユウカとは別の三谷の生き残りなのさ。祖父の名は恭四郎。三谷恭司の腹違いの弟になる」
「う、嘘です!!三谷恭司は完全に一人っ子のはず……!!彼に兄弟など……!!」
「腹違いと言っただろう?血の繋がりは薄い。いわゆる妾の子って奴だ。俺はその恭四郎の孫にあたるのさ」
「そ、そんな……」
三谷恭司について自分の知らないことがあったことが信じられないのか、ククルは愕然と立ち尽くす。
まぁ、コレも嘘だから知ってるはずなどないのだが、恭司は内心で胸を撫で下ろした。
近い歴史とはいえ所詮過去だ。
調べるのは困難を伴う。
すぐにバレることはないだろう。
少なくとも調べる時間は必要だ。
「そ、そんな……だから “顔” も似ているというのか……」
ククルは一人でガックリと項垂れる。
恭司はそれを、神妙な顔で見つめていた。
「まぁ、そういうことだから、お前のその決め付けは完全に的外れだ。もうこれ以上俺たちに関わってくるなよ」
恭司はそう言って、今のうちにユウカを連れてトイレを出て行った。
これからクラスメイトたちに誤解だと認識させなければならないし、次の授業の用意もある。
それに、
『今晩のスケジュール』も早く組まないといけない。
やることは山積みだった。
「ね、ねぇ、恭司。アレ……放っといたままでいいの?」
「いい。今はとにかく離れることだ。一旦距離を置く」
「一旦?」
「ああ。 “一旦” だ」
そう言って、恭司は早足で教室までの道を急いだ。
ユウカは遅れ気味にその後ろをついていく。
昼休みとはいえ、あれだけ長い時間話したのだから、そろそろ終了する頃合いだろう。
結局昼飯は食べられなかったが、仕方のないことだ。
ユウカはそんな中、恭司に近づくと、ボソリと言い放つ。
「……ちなみに、私のファーストキスがいきなりあんな所で奪われたことについては、後でしっかり説明を要求するからね」
「………………」
やることは山積みだった。
そう言ってくる恭司に、ククルはすぐには答えられなかった。
本当の意味ではコレは証拠にはなり得ないものだが、ククルも今は冷静じゃないということだ。
あるべき反論の言葉は出てこなかった。
「し、しかし!!それなら何故貴方はユウカさんと同じ技が使えるのですか!?」
ククルは代わりに別の質問をしてきた。
急場とはいえその質問は想定内だ。
恭司はすぐに返す。
「俺もユウカとは別の三谷の生き残りなのさ。祖父の名は恭四郎。三谷恭司の腹違いの弟になる」
「う、嘘です!!三谷恭司は完全に一人っ子のはず……!!彼に兄弟など……!!」
「腹違いと言っただろう?血の繋がりは薄い。いわゆる妾の子って奴だ。俺はその恭四郎の孫にあたるのさ」
「そ、そんな……」
三谷恭司について自分の知らないことがあったことが信じられないのか、ククルは愕然と立ち尽くす。
まぁ、コレも嘘だから知ってるはずなどないのだが、恭司は内心で胸を撫で下ろした。
近い歴史とはいえ所詮過去だ。
調べるのは困難を伴う。
すぐにバレることはないだろう。
少なくとも調べる時間は必要だ。
「そ、そんな……だから “顔” も似ているというのか……」
ククルは一人でガックリと項垂れる。
恭司はそれを、神妙な顔で見つめていた。
「まぁ、そういうことだから、お前のその決め付けは完全に的外れだ。もうこれ以上俺たちに関わってくるなよ」
恭司はそう言って、今のうちにユウカを連れてトイレを出て行った。
これからクラスメイトたちに誤解だと認識させなければならないし、次の授業の用意もある。
それに、
『今晩のスケジュール』も早く組まないといけない。
やることは山積みだった。
「ね、ねぇ、恭司。アレ……放っといたままでいいの?」
「いい。今はとにかく離れることだ。一旦距離を置く」
「一旦?」
「ああ。 “一旦” だ」
そう言って、恭司は早足で教室までの道を急いだ。
ユウカは遅れ気味にその後ろをついていく。
昼休みとはいえ、あれだけ長い時間話したのだから、そろそろ終了する頃合いだろう。
結局昼飯は食べられなかったが、仕方のないことだ。
ユウカはそんな中、恭司に近づくと、ボソリと言い放つ。
「……ちなみに、私のファーストキスがいきなりあんな所で奪われたことについては、後でしっかり説明を要求するからね」
「………………」
やることは山積みだった。
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