追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー
【第十四話】ククル・ウィスター<2>⑤
キーンコーンカーンコーン
授業終了のチャイムの音。
恭司はゆっくり覚醒した。
机が固くて快眠とはいかなかったが、それなりに体力は回復してそうだ。
恭司はゆっくりと体を起き上がらせる。
次は昼休みだ。
昼食をどうするかなど、とりあえずユウカを起こして色々と聞かなければならない。
そう思って、体と共に顔を上げた所でのことだった。
「なっ!?」
ククルがいた。
ククルは恭司の机の目の前にしゃがみ込んで、恭司の顔をずっと見ていた。
可愛らしい女の子がやっていたのならまだ好感の持てるラブコメ展開だが、前髪をダラリと垂れ流した女がハアハアと息を漏らしているその姿は、どう贔屓目に見てもホラーだ。
しかも、
今はチャイムが鳴って授業が終わったばかり。
どう考えてもおかしい。
恭司は率直に尋ねかけた。
「何をしているんだ?」
「貴方様のお顔を拝見させていただいておりました」
それは見れば分かる。
だが、
いくら眠っていたとはいえ、あの恭司がここまで近づいた人の気配を見逃すなどあり得ない。
何かカラクリがあるのか、恭司は警戒心を強めた。
「……いつからそこに?」
恭司はそれとなく臨戦体制を取りながら尋ねかける。
ついさっきユウカと『ククルには近づかない』という方針を決めたばかりだが、この状況でさすがにそれは出来なかった。
いくらなんでも急過ぎる。
まるでこっちの意図を察して先回りしてきたかのような対応だ。
近付いてくる気配には常に敏感に反応できるよう気を張っていたはずだが、この状況を見る限り、ククルは恭司の目の前でそれなりの時間い続けていたのだろう。
さっきの話し合いももしかしたら聞かれていたかもしれない。
恐ろしい隠密能力だ。
「授業が始まってからずっとここで見ておりました。ずーっと、ずーーっと……。
……まさか誰も気付いてくださらないとは思っていませんでしたが……」
……恐ろしい隠密能力だ。
「何故、俺の顔を?そんなに面白かったか?」
既に近付いてしまったのなら仕方がない。
恭司はさらに質問を続ける。
本来はこっちから秘密裏にこっそり情報を集めるつもりだったが、こうなってしまえば直接対決しかなかった。
相手の奇襲を成功させてしまった以上、ここで逃げればさらに被害を助長してしまうだけだ。
なるべくこちらの情報を漏らさず、なるべく相手の情報を得なければならない。
恭司は冷や汗が止まらなかった。
授業終了のチャイムの音。
恭司はゆっくり覚醒した。
机が固くて快眠とはいかなかったが、それなりに体力は回復してそうだ。
恭司はゆっくりと体を起き上がらせる。
次は昼休みだ。
昼食をどうするかなど、とりあえずユウカを起こして色々と聞かなければならない。
そう思って、体と共に顔を上げた所でのことだった。
「なっ!?」
ククルがいた。
ククルは恭司の机の目の前にしゃがみ込んで、恭司の顔をずっと見ていた。
可愛らしい女の子がやっていたのならまだ好感の持てるラブコメ展開だが、前髪をダラリと垂れ流した女がハアハアと息を漏らしているその姿は、どう贔屓目に見てもホラーだ。
しかも、
今はチャイムが鳴って授業が終わったばかり。
どう考えてもおかしい。
恭司は率直に尋ねかけた。
「何をしているんだ?」
「貴方様のお顔を拝見させていただいておりました」
それは見れば分かる。
だが、
いくら眠っていたとはいえ、あの恭司がここまで近づいた人の気配を見逃すなどあり得ない。
何かカラクリがあるのか、恭司は警戒心を強めた。
「……いつからそこに?」
恭司はそれとなく臨戦体制を取りながら尋ねかける。
ついさっきユウカと『ククルには近づかない』という方針を決めたばかりだが、この状況でさすがにそれは出来なかった。
いくらなんでも急過ぎる。
まるでこっちの意図を察して先回りしてきたかのような対応だ。
近付いてくる気配には常に敏感に反応できるよう気を張っていたはずだが、この状況を見る限り、ククルは恭司の目の前でそれなりの時間い続けていたのだろう。
さっきの話し合いももしかしたら聞かれていたかもしれない。
恐ろしい隠密能力だ。
「授業が始まってからずっとここで見ておりました。ずーっと、ずーーっと……。
……まさか誰も気付いてくださらないとは思っていませんでしたが……」
……恐ろしい隠密能力だ。
「何故、俺の顔を?そんなに面白かったか?」
既に近付いてしまったのなら仕方がない。
恭司はさらに質問を続ける。
本来はこっちから秘密裏にこっそり情報を集めるつもりだったが、こうなってしまえば直接対決しかなかった。
相手の奇襲を成功させてしまった以上、ここで逃げればさらに被害を助長してしまうだけだ。
なるべくこちらの情報を漏らさず、なるべく相手の情報を得なければならない。
恭司は冷や汗が止まらなかった。
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