追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー
【第十三話】ククル・ウィスター<1>④
「ほぉー、そうなのか。しかし、けっこう前のその1度しか武器使ってるとこ見たことないってのはすごいな……。ある意味、ユウカ以上に分かりやすく手抜きしてるわけだし」
恭司は生徒たちの群れの中に戻るククルを見ながら感心深く返答する。
元々Aクラスレベルなのは間違いないと思っていたが、その1度となった人間以外はBクラスを全員あしらえるということだ。
何故手を抜いてまでBクラスにいるのかは分からないが、もしかしたら貴族にも匹敵するレベルなのかもしれない。
「まったく、武士道精神のカケラもないよね」
「あの子もお前にだけは言われたくないと思うぞ……」
ユウカの呟きに思わずツッコミを入れる。
そして、
何となくクラスの方に目を向けると、タイミングよく次の対戦に移行する所だった。
先生はチラリとこちらへ目を向けると、何か言いにくそうな表情で次の選手の名を呼ぶ。
「次!!『ユウカ・バーレン』!!ソリア・バニングス!!」
「あら……」
その次の対戦はユウカの番だった。
先生が一度こちらを見たのはそのためだったようだ。
ユウカは学校から借りた木刀を手に、軽快に前へと歩き出す。
「じゃあ行ってくるね。まだクラスチェンジまで余裕あるから、ぱっぱと片付けてランキングアップしてくるよ」
「お、おう……。頑張れ?よ……」
ユウカの前向きか後向きか分からない発言に少し複雑な気持ちになりながらも、恭司はそう言ってユウカを送り出した。
ユウカは対戦場所へと向かい、対戦相手の女の子と対峙する。
細身で双剣を手にした女の子は、ユウカを見て少し怯えているようだった。
強さもさながら、ユウカの悪評に慄いているといった所か。
結果はこの時点で既に明らかだが、ユウカが戦うので恭司は一応見守ることにする。
他にやることもないし、見ていなかったら後で何を言われるか分からないからだ。
(まぁ、どうせすぐ終わるだろうし、そんな細かいこと気にしないかもしれないが……)
恭司は気を抜いて何ともなしに対戦場を見つめる。
手持ち無沙汰で、ただ単純にユウカが戦うから、というのが理由だった。
他には何もなかった。
何も感じていなかった。
恭司にはこのままユウカが対戦で勝つビジョンしか見えていなかった。
他のことなんて特に考えることも、必要性も感じていなかった。
だからこそ、
油断していた。
恭司は生徒たちの群れの中に戻るククルを見ながら感心深く返答する。
元々Aクラスレベルなのは間違いないと思っていたが、その1度となった人間以外はBクラスを全員あしらえるということだ。
何故手を抜いてまでBクラスにいるのかは分からないが、もしかしたら貴族にも匹敵するレベルなのかもしれない。
「まったく、武士道精神のカケラもないよね」
「あの子もお前にだけは言われたくないと思うぞ……」
ユウカの呟きに思わずツッコミを入れる。
そして、
何となくクラスの方に目を向けると、タイミングよく次の対戦に移行する所だった。
先生はチラリとこちらへ目を向けると、何か言いにくそうな表情で次の選手の名を呼ぶ。
「次!!『ユウカ・バーレン』!!ソリア・バニングス!!」
「あら……」
その次の対戦はユウカの番だった。
先生が一度こちらを見たのはそのためだったようだ。
ユウカは学校から借りた木刀を手に、軽快に前へと歩き出す。
「じゃあ行ってくるね。まだクラスチェンジまで余裕あるから、ぱっぱと片付けてランキングアップしてくるよ」
「お、おう……。頑張れ?よ……」
ユウカの前向きか後向きか分からない発言に少し複雑な気持ちになりながらも、恭司はそう言ってユウカを送り出した。
ユウカは対戦場所へと向かい、対戦相手の女の子と対峙する。
細身で双剣を手にした女の子は、ユウカを見て少し怯えているようだった。
強さもさながら、ユウカの悪評に慄いているといった所か。
結果はこの時点で既に明らかだが、ユウカが戦うので恭司は一応見守ることにする。
他にやることもないし、見ていなかったら後で何を言われるか分からないからだ。
(まぁ、どうせすぐ終わるだろうし、そんな細かいこと気にしないかもしれないが……)
恭司は気を抜いて何ともなしに対戦場を見つめる。
手持ち無沙汰で、ただ単純にユウカが戦うから、というのが理由だった。
他には何もなかった。
何も感じていなかった。
恭司にはこのままユウカが対戦で勝つビジョンしか見えていなかった。
他のことなんて特に考えることも、必要性も感じていなかった。
だからこそ、
油断していた。
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