追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー
【第十二話】実技訓練③
ユウカに聞いた所によると、
大会とは正式名称を『魔法武芸大会』といい、詰まるところ、それぞれの科が混合された総当たりのリーグ戦ということだった。
エントリーは『学年制ランキング40位以上』と決められていて、チーム制になる。
チームは1チーム5人までとなっており、40位以内の人間なら学年問わず誰と組んでもいいというルールだ。
大会でいい成績を残したチームは内申点と賞金と就職時の援助を約束され、競争率は高い。
さらには科だけでなく学年まで混合となるため、参加人数は最高で240人となる。
成績優秀者のみに限定された、一種のお祭りだった。
「しかも、この大会ってテレビ中継なんかもされちゃうとてもメジャーな娯楽にもなっててね。毎年賭けやら何やら凄いの。一般から観客も沢山くるから、入場料で学校はガッポリ」
「生徒をダシにして金儲けってわけか……。いい趣味してるな」
「その上、外では賭博なんかも盛んに行われるからね。エントリーするなら夜道に気をつけて歩かないと」
「生徒が賭けの対象として部外者から危害を受ける可能性もあるってことか……。そんなヤバい状況を政府直轄の有名校が自ら進んで作り出すあたり、なかなか気の狂った話だな」
「ホントにね」
とはいえ、テレビ中継までされるほどメジャーな大会というのは大きな情報だった。
世の中を武術主義にするーーもっと言えば、王が武術主義の人間になるか、幹部会の人間の大半が武術主義になるーーという目的を達成するためのいい材料になるかもしれない。
この国の政府主導者がどういうプロセスで決まるのかはまだ知らないが、アベルトのように貴族でない者もその地位にいられているのだから、血縁だけでないのは確かだ。
それなら世論も大事になるだろう。
人々の意見が武術よりか魔法よりかで、アベルトの発言権も大いに変わってくるはずだ。
そう考えると、まさしく世論の根本になりそうなこの大会は、アベルトたちにとって大きな意味を持つに違いない。
アベルトもこの大会のことは間違いなく知っているはずだが、どういうつもりで話さなかったのか。
参加するしないはアベルトに指示受けするにしても、存在くらいは出来れば話しておいて欲しかった。
「ちなみに、去年は誰が優勝したんだ?」
恭司はユウカの説明の中で気になっていたことを尋ねてみた。
大会が及ぼす影響のいい参考になるかもしれない。
「んーとね、去年は確か『イグリス』だったと思うよ。本名は『イグリス・バージルド』だったかな。魔家の筆頭貴族のお坊ちゃんだね」
「あー、やっぱり魔法主義側なのか」
「まぁ、その前もそのまた前もそうだったからねー。けっこう影響力は大きいかも」
「……やっぱり参加した方がいいのかな?」
「さあ?お父さんに相談だね」
ユウカはそう言って、椅子から立ち上がった。
次の授業は『実技訓練』なのだ。
教室を移動して着替える必要がある。
「ちなみに、ユウカは去年どうだったんだ?」
恭司はユウカに続いて立ち上がると、何ともなしに尋ねてみた。
ユウカは首を傾げ、不思議そうに問い返す。
「え?この大会、チーム制だよ??」
「聞いた俺が悪かったよ……」
参加していなかった。
大会とは正式名称を『魔法武芸大会』といい、詰まるところ、それぞれの科が混合された総当たりのリーグ戦ということだった。
エントリーは『学年制ランキング40位以上』と決められていて、チーム制になる。
チームは1チーム5人までとなっており、40位以内の人間なら学年問わず誰と組んでもいいというルールだ。
大会でいい成績を残したチームは内申点と賞金と就職時の援助を約束され、競争率は高い。
さらには科だけでなく学年まで混合となるため、参加人数は最高で240人となる。
成績優秀者のみに限定された、一種のお祭りだった。
「しかも、この大会ってテレビ中継なんかもされちゃうとてもメジャーな娯楽にもなっててね。毎年賭けやら何やら凄いの。一般から観客も沢山くるから、入場料で学校はガッポリ」
「生徒をダシにして金儲けってわけか……。いい趣味してるな」
「その上、外では賭博なんかも盛んに行われるからね。エントリーするなら夜道に気をつけて歩かないと」
「生徒が賭けの対象として部外者から危害を受ける可能性もあるってことか……。そんなヤバい状況を政府直轄の有名校が自ら進んで作り出すあたり、なかなか気の狂った話だな」
「ホントにね」
とはいえ、テレビ中継までされるほどメジャーな大会というのは大きな情報だった。
世の中を武術主義にするーーもっと言えば、王が武術主義の人間になるか、幹部会の人間の大半が武術主義になるーーという目的を達成するためのいい材料になるかもしれない。
この国の政府主導者がどういうプロセスで決まるのかはまだ知らないが、アベルトのように貴族でない者もその地位にいられているのだから、血縁だけでないのは確かだ。
それなら世論も大事になるだろう。
人々の意見が武術よりか魔法よりかで、アベルトの発言権も大いに変わってくるはずだ。
そう考えると、まさしく世論の根本になりそうなこの大会は、アベルトたちにとって大きな意味を持つに違いない。
アベルトもこの大会のことは間違いなく知っているはずだが、どういうつもりで話さなかったのか。
参加するしないはアベルトに指示受けするにしても、存在くらいは出来れば話しておいて欲しかった。
「ちなみに、去年は誰が優勝したんだ?」
恭司はユウカの説明の中で気になっていたことを尋ねてみた。
大会が及ぼす影響のいい参考になるかもしれない。
「んーとね、去年は確か『イグリス』だったと思うよ。本名は『イグリス・バージルド』だったかな。魔家の筆頭貴族のお坊ちゃんだね」
「あー、やっぱり魔法主義側なのか」
「まぁ、その前もそのまた前もそうだったからねー。けっこう影響力は大きいかも」
「……やっぱり参加した方がいいのかな?」
「さあ?お父さんに相談だね」
ユウカはそう言って、椅子から立ち上がった。
次の授業は『実技訓練』なのだ。
教室を移動して着替える必要がある。
「ちなみに、ユウカは去年どうだったんだ?」
恭司はユウカに続いて立ち上がると、何ともなしに尋ねてみた。
ユウカは首を傾げ、不思議そうに問い返す。
「え?この大会、チーム制だよ??」
「聞いた俺が悪かったよ……」
参加していなかった。
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