追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー
【第八話】お風呂事件簿⑤
「大事なこと……?……何……??」
よし、反応した。
恭司は言うか言わまいか悩むような素ぶりを見せながら、何を聞こうか考える。
一言で答えられるような質問では話題転換にならないだろうから、より大きな質問にしなくてはいけない。
恭司はまるで覚悟を決めたような顔をしながら、今思い付いたばかりの質問をゆっくり口にする。
「魔法についてだ。俺たちはこれから世の中を『武術主義』にしなくてはならないわけだが、今の世の中は『魔法主義』なんだろう?その魔法について、どういう人間がどういう原理でどういうことをやってのけているのかを知りたいんだ。ついでにその普及率も教えてくれるとありがたい」
よし来た。
これなら即答は出来ないはずだ。
どうしたって回答も長くなるし、恭司もそれに対してさらに質問で繋ぐから完全に話題を変えられるに違いない。
完璧だ。
「いや知らない。それより、これからのお風呂についてなんだけど……」
「いや待ってください」
思わず敬語になってしまった。
なんて適当な回答だ。
どれだけお風呂の話したいんだ。
「大事な質問なんだ。ちゃんと答えてくれ。俺はこれからそいつらを押し退けて、世の中を武術主義とやらに塗り替えていかなくちゃいけないんだ」
恭司はユウカの適当な回答を良しとせず、何とか食い下がる。
一応、本当に聞きたい話だ。
正直、今である必要は全く少しもこれっぽっちも存在しないが、まぁ、いずれ聞いておかなくてはならない内容ではある。
何とかして合理性を保ちながら、ここはあくまでもその話で押し通さなければならない。
「えー、そんなの学校行き始めたら否が応でも分かってくるよ。だって、魔法科と武術科って、校舎すぐ隣だよ?体育の時間とかにいくらでも絡むよ」
ユウカは不貞腐れた様子でそう話す。
多分そうなんだろうなとリアルなことも思いながら、恭司は脳味噌を高速回転させて言い訳を絞り出した。
「まぁ、言いたいことは分かるが、俺はその学校って奴に行ったことがないし、実際に行く前になるべくイメージを付けておきたいんだよ。知ってていくのと何も知らずに行くのとでは、実際の対応に微量でも差が生まれてしまうもんだ」
かなり適当だが、言われたら「まぁそんなもん?」となりそうな範囲を目指した回答をした。
断りにくくなるよう、真剣な表情も忘れない。
少しでも笑うと違和感が出てしまう。
「ふーん。まぁ、別に話して損する内容ってわけでもないけどさ……。一応話してあげるけど、別にさっきの件忘れたわけじゃないよ」
恭司は冷や汗もそこそこに頷く。
けっこう執念深い……。
どうやら、この話題が終わった後のことも考えておく必要がありそうだ。
「んーとね、魔法を使える人間っていうのは、要は私たちの周りにある『自然』からエネルギーを作り出して利用できる人間のことを言うの。空気中の水分から水を作り出したり、単純に地面を動かしたりね」
「へぇー、それは便利そうな力だな。制限とかは何もないのか?」
「それは一応あるみたいだよ。水分の少ない砂漠では水が出しにくかったりとか、逆に多すぎると火が出しにくいみたいな」
「ふーん、てことは戦いの現場次第で不利にも有利にもなるってことか」
「そういうことだね。あと、魔法使いの中にも魔力っていう形で魔法使用自体の上限もあるみたいで、実力についてはその魔力次第で個人差も激しいんだって。可哀想にね」
「結局、魔法の世界にも才能のある無しは色濃く存在するってわけなんだな。貴族とかは、やっぱりその魔力も高いのか?」
「みたいだよ。さすがにあんま知らないけど。ぶっちゃけ魔力が高いと、無から有を作り出すみたいなことも出来るらしいから、さっきの現場どうこうの話も、奴らにはさほど関係ないのかもね」
「なるほどなぁ……」
よし、反応した。
恭司は言うか言わまいか悩むような素ぶりを見せながら、何を聞こうか考える。
一言で答えられるような質問では話題転換にならないだろうから、より大きな質問にしなくてはいけない。
恭司はまるで覚悟を決めたような顔をしながら、今思い付いたばかりの質問をゆっくり口にする。
「魔法についてだ。俺たちはこれから世の中を『武術主義』にしなくてはならないわけだが、今の世の中は『魔法主義』なんだろう?その魔法について、どういう人間がどういう原理でどういうことをやってのけているのかを知りたいんだ。ついでにその普及率も教えてくれるとありがたい」
よし来た。
これなら即答は出来ないはずだ。
どうしたって回答も長くなるし、恭司もそれに対してさらに質問で繋ぐから完全に話題を変えられるに違いない。
完璧だ。
「いや知らない。それより、これからのお風呂についてなんだけど……」
「いや待ってください」
思わず敬語になってしまった。
なんて適当な回答だ。
どれだけお風呂の話したいんだ。
「大事な質問なんだ。ちゃんと答えてくれ。俺はこれからそいつらを押し退けて、世の中を武術主義とやらに塗り替えていかなくちゃいけないんだ」
恭司はユウカの適当な回答を良しとせず、何とか食い下がる。
一応、本当に聞きたい話だ。
正直、今である必要は全く少しもこれっぽっちも存在しないが、まぁ、いずれ聞いておかなくてはならない内容ではある。
何とかして合理性を保ちながら、ここはあくまでもその話で押し通さなければならない。
「えー、そんなの学校行き始めたら否が応でも分かってくるよ。だって、魔法科と武術科って、校舎すぐ隣だよ?体育の時間とかにいくらでも絡むよ」
ユウカは不貞腐れた様子でそう話す。
多分そうなんだろうなとリアルなことも思いながら、恭司は脳味噌を高速回転させて言い訳を絞り出した。
「まぁ、言いたいことは分かるが、俺はその学校って奴に行ったことがないし、実際に行く前になるべくイメージを付けておきたいんだよ。知ってていくのと何も知らずに行くのとでは、実際の対応に微量でも差が生まれてしまうもんだ」
かなり適当だが、言われたら「まぁそんなもん?」となりそうな範囲を目指した回答をした。
断りにくくなるよう、真剣な表情も忘れない。
少しでも笑うと違和感が出てしまう。
「ふーん。まぁ、別に話して損する内容ってわけでもないけどさ……。一応話してあげるけど、別にさっきの件忘れたわけじゃないよ」
恭司は冷や汗もそこそこに頷く。
けっこう執念深い……。
どうやら、この話題が終わった後のことも考えておく必要がありそうだ。
「んーとね、魔法を使える人間っていうのは、要は私たちの周りにある『自然』からエネルギーを作り出して利用できる人間のことを言うの。空気中の水分から水を作り出したり、単純に地面を動かしたりね」
「へぇー、それは便利そうな力だな。制限とかは何もないのか?」
「それは一応あるみたいだよ。水分の少ない砂漠では水が出しにくかったりとか、逆に多すぎると火が出しにくいみたいな」
「ふーん、てことは戦いの現場次第で不利にも有利にもなるってことか」
「そういうことだね。あと、魔法使いの中にも魔力っていう形で魔法使用自体の上限もあるみたいで、実力についてはその魔力次第で個人差も激しいんだって。可哀想にね」
「結局、魔法の世界にも才能のある無しは色濃く存在するってわけなんだな。貴族とかは、やっぱりその魔力も高いのか?」
「みたいだよ。さすがにあんま知らないけど。ぶっちゃけ魔力が高いと、無から有を作り出すみたいなことも出来るらしいから、さっきの現場どうこうの話も、奴らにはさほど関係ないのかもね」
「なるほどなぁ……」
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