追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー
【第七話】任務⑥
「後……は、君の偽名だな。学校に提出した書類に既に書いてしまったんだが……聞きたいかね?」
「聞かなきゃいつまで経っても名乗れませんよ……。今日の一件でもヒヤヒヤしたんですから」
「ははは。そうだったな。君の名前はこれから『ギルス・ギルバート』だ。いい名前だろう?」
「…………」
ほのかに中二臭さの漂う名前だった。
「……もう提出したんですよね?」
「ああ。いい名前だろう??」
「…………」
提出したなら、仕方ない……。
今からならまだ間違いでしたで済むかもしれないが、余計な茶々を入れて目立つのは御免だ。
どうせ偽名なのだしと、恭司はとりあえずカラッカラの笑顔で返した。
「気に入っていただけたようで何よりだ」
気に入ってはいない。
「最初はあまり目立たないようにね。後々はネームバリューを付けてもらう時も来るかもしれないが、それまでの間はなるべく大人しくしておいてくれ」
「分かりました」
だったら偽名も普通にしてくれ、という突っ込みは呑み込んで、恭司は素直に頷いた。
大人しくするのは大好きだ。
余計なコミュニケーションは恭司の超不得意分野だし、特に友達も必要とは思っていない。
部屋の隅っこでユウカをからかって過ごそうと、恭司は心の中で静かにそう決意した。
「他は多分大丈夫だな。まぁ、何かあってもすぐ対処できる距離だし、何かあったらユウカを通じて連絡してくれ。なるべく早く対応するようにしよう」
「……………………」
「それでは、そろそろ私は行くとするよ。タイムロスした分、すぐにでも仕事に戻らないといけない」
アベルトはそう言うと、無駄な動き無くサッと立ち上がった。
なんだかんだで長時間いたように思うが、時間が無いとはこの一件がある前から聞いていたことだ。
確かに、このイレギュラーで時間がさらに押しているというのは、理にかなっている。
しかし、
それに対する恭司の反応は微妙だった。
相変わらず、厄介事は増える一方で全く片付かないときているのだ。
またこの状態で放置か、という気持ちはどうしようもない。
「そう怖い顔しないでくれ。罪悪感を感じるだろう。私も好きで仕事に追われてるわけじゃないんだ」
アベルトは一瞬振り向くと、子どもを諭すような口ぶりでそう話した。
恭司は半分諦めているのか、ため息を大きく吐き出す。
「…………相変わらず、質問はさらにさらに大きく山積みになっています。今度こそ、今回の一件についてユウカにきっちり伝えておいてください。いつまでも山のままにはしていられませんよ」
少しトゲのある言葉だった。
アベルトはやれやれとでも言わんばかりに肩を竦めると、玄関の方に向き直る。
家を出るのだ。
「分かっているさ。私自身もいずれ時間を作って、君の質問に答えよう。それまでにユウカから何でも聞いておくようにね」
「……分かりました」
相変わらずの返答だが、恭司はとりあえず納得の意を表しておくことにした。
アベルトのこれは毎度のことだし、あまりしつこく食い下がっても仕方がない。
恭司はポリポリと頭を描いた。
「聞かなきゃいつまで経っても名乗れませんよ……。今日の一件でもヒヤヒヤしたんですから」
「ははは。そうだったな。君の名前はこれから『ギルス・ギルバート』だ。いい名前だろう?」
「…………」
ほのかに中二臭さの漂う名前だった。
「……もう提出したんですよね?」
「ああ。いい名前だろう??」
「…………」
提出したなら、仕方ない……。
今からならまだ間違いでしたで済むかもしれないが、余計な茶々を入れて目立つのは御免だ。
どうせ偽名なのだしと、恭司はとりあえずカラッカラの笑顔で返した。
「気に入っていただけたようで何よりだ」
気に入ってはいない。
「最初はあまり目立たないようにね。後々はネームバリューを付けてもらう時も来るかもしれないが、それまでの間はなるべく大人しくしておいてくれ」
「分かりました」
だったら偽名も普通にしてくれ、という突っ込みは呑み込んで、恭司は素直に頷いた。
大人しくするのは大好きだ。
余計なコミュニケーションは恭司の超不得意分野だし、特に友達も必要とは思っていない。
部屋の隅っこでユウカをからかって過ごそうと、恭司は心の中で静かにそう決意した。
「他は多分大丈夫だな。まぁ、何かあってもすぐ対処できる距離だし、何かあったらユウカを通じて連絡してくれ。なるべく早く対応するようにしよう」
「……………………」
「それでは、そろそろ私は行くとするよ。タイムロスした分、すぐにでも仕事に戻らないといけない」
アベルトはそう言うと、無駄な動き無くサッと立ち上がった。
なんだかんだで長時間いたように思うが、時間が無いとはこの一件がある前から聞いていたことだ。
確かに、このイレギュラーで時間がさらに押しているというのは、理にかなっている。
しかし、
それに対する恭司の反応は微妙だった。
相変わらず、厄介事は増える一方で全く片付かないときているのだ。
またこの状態で放置か、という気持ちはどうしようもない。
「そう怖い顔しないでくれ。罪悪感を感じるだろう。私も好きで仕事に追われてるわけじゃないんだ」
アベルトは一瞬振り向くと、子どもを諭すような口ぶりでそう話した。
恭司は半分諦めているのか、ため息を大きく吐き出す。
「…………相変わらず、質問はさらにさらに大きく山積みになっています。今度こそ、今回の一件についてユウカにきっちり伝えておいてください。いつまでも山のままにはしていられませんよ」
少しトゲのある言葉だった。
アベルトはやれやれとでも言わんばかりに肩を竦めると、玄関の方に向き直る。
家を出るのだ。
「分かっているさ。私自身もいずれ時間を作って、君の質問に答えよう。それまでにユウカから何でも聞いておくようにね」
「……分かりました」
相変わらずの返答だが、恭司はとりあえず納得の意を表しておくことにした。
アベルトのこれは毎度のことだし、あまりしつこく食い下がっても仕方がない。
恭司はポリポリと頭を描いた。
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