追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー
【第四話】告白⑦
「なんか、気を張って疲れたわ……」
「大変だねぇ……。あ、そういえばね、恭司。私、前々から思ってたんだけど、そろそろ恭司の私物も必要だと思うのね。だから、今日は外に出て街に行かない?」
恭司の呟きに対して完全に他人事な返事を返した後、ユウカは今までと全然違う話を振ってきた。
恭司はキッチンで二人分の卵焼きを焼きつつ、『この話これで終わりかよ……』と思った後、『別にこれからすぐにやることなんてないしな……』と半ば適当な感じでそう思った。
しかし、
「いいけど、俺、金なんて持ってないぞ」
別の世界から飛ばされてきた中で、恭司の服にそれらしい物は入ってなかった。
今の恭司は、ユウカの家にお世話になっている居候で、たった1円すら持ってない無職なのだ。
「昨日ね、お父さんに話して許可もらったの。好きに買ってきていいって。良かったね、恭司」
そう言っているユウカも、少し気分は良さそうだった。
何が楽しいのか分からないが、恭司もつられて笑顔になった。
「でも俺、街なんて行くの初めてだからなぁ……。けっこう近いのか?」
恭司は出来上がった卵焼きを机に乗せ、白ご飯を入れた茶碗もその横に置いて席に戻る。
箸は食卓の中央に置いてあるのだ。
ユウカは嬉しそうにそれを二人分取りながら、恭司の質問に答えた。
「他の人からすれば少し遠いかもしれない。まぁ、歩いて15分くらいかな」
取った箸の片方を恭司に渡して、ユウカと恭司は朝ごはんの時間に入る。
 アベルトが帰ってきてから、恭司は勝手にだが料理を作るようになった。
ユウカは断固としてカップとインスタントとレトルトしか作らないため、恭司はご飯のレパートリーのために一人立ち上がったのだ。
「遠いっていっても15分なのか。その割には、昨日外に出た時には街っぽいものは見えなかった気がするが……」
「15分は、完全に私ユウカ・バーレンの歩く速度を基準に計算されております」
「…………」
察した。
「何でそんなに遠い所に住んでんだ?安かったからか?」
「いやいや、伝説の殺人鬼様がなんて庶民的な考え方してるの。普通に遠い方が気が楽だからだよ。お父さんはこことは別に都会のど真ん中に借りた家に住んでるしね」
「……仲よさそうだったのに、複雑なのか?」
「いやいやいやいや、別にそんなこともないよ。単に、お父さんの生活リズムを考えたらその方が効率的ってだけ。愛人ならぬ彼女さんたちを毎日家に連れ込んでるよ」
「……なんて生々しい話をするんだ……。娘にだけは知られてちゃならない情報だろ、それ……。やっぱり複雑じゃないか?」
「んー、お父さんも男だからねぇー、別にいいかな?って思ってるよ。離婚してるから特に浮気ってわけでもないし」
「でも、下手をすればその連れ込まれてる女性がお前の新しい母親になるかもしれないんだろ?」
「あはは。それ言ったら、お父さんからしても、いつ自分に息子が増えるかって話になっちゃうじゃん」
ピシッと、空気が凍るような感覚になった。
ユウカが『あ……』と少し恥じらった顔をしている。
自爆じゃないか……と、ツッコミを入れながら、恭司まで赤面しそうだった。
「大変だねぇ……。あ、そういえばね、恭司。私、前々から思ってたんだけど、そろそろ恭司の私物も必要だと思うのね。だから、今日は外に出て街に行かない?」
恭司の呟きに対して完全に他人事な返事を返した後、ユウカは今までと全然違う話を振ってきた。
恭司はキッチンで二人分の卵焼きを焼きつつ、『この話これで終わりかよ……』と思った後、『別にこれからすぐにやることなんてないしな……』と半ば適当な感じでそう思った。
しかし、
「いいけど、俺、金なんて持ってないぞ」
別の世界から飛ばされてきた中で、恭司の服にそれらしい物は入ってなかった。
今の恭司は、ユウカの家にお世話になっている居候で、たった1円すら持ってない無職なのだ。
「昨日ね、お父さんに話して許可もらったの。好きに買ってきていいって。良かったね、恭司」
そう言っているユウカも、少し気分は良さそうだった。
何が楽しいのか分からないが、恭司もつられて笑顔になった。
「でも俺、街なんて行くの初めてだからなぁ……。けっこう近いのか?」
恭司は出来上がった卵焼きを机に乗せ、白ご飯を入れた茶碗もその横に置いて席に戻る。
箸は食卓の中央に置いてあるのだ。
ユウカは嬉しそうにそれを二人分取りながら、恭司の質問に答えた。
「他の人からすれば少し遠いかもしれない。まぁ、歩いて15分くらいかな」
取った箸の片方を恭司に渡して、ユウカと恭司は朝ごはんの時間に入る。
 アベルトが帰ってきてから、恭司は勝手にだが料理を作るようになった。
ユウカは断固としてカップとインスタントとレトルトしか作らないため、恭司はご飯のレパートリーのために一人立ち上がったのだ。
「遠いっていっても15分なのか。その割には、昨日外に出た時には街っぽいものは見えなかった気がするが……」
「15分は、完全に私ユウカ・バーレンの歩く速度を基準に計算されております」
「…………」
察した。
「何でそんなに遠い所に住んでんだ?安かったからか?」
「いやいや、伝説の殺人鬼様がなんて庶民的な考え方してるの。普通に遠い方が気が楽だからだよ。お父さんはこことは別に都会のど真ん中に借りた家に住んでるしね」
「……仲よさそうだったのに、複雑なのか?」
「いやいやいやいや、別にそんなこともないよ。単に、お父さんの生活リズムを考えたらその方が効率的ってだけ。愛人ならぬ彼女さんたちを毎日家に連れ込んでるよ」
「……なんて生々しい話をするんだ……。娘にだけは知られてちゃならない情報だろ、それ……。やっぱり複雑じゃないか?」
「んー、お父さんも男だからねぇー、別にいいかな?って思ってるよ。離婚してるから特に浮気ってわけでもないし」
「でも、下手をすればその連れ込まれてる女性がお前の新しい母親になるかもしれないんだろ?」
「あはは。それ言ったら、お父さんからしても、いつ自分に息子が増えるかって話になっちゃうじゃん」
ピシッと、空気が凍るような感覚になった。
ユウカが『あ……』と少し恥じらった顔をしている。
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