追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー
【第四話】告白④
「まぁ、これはあくまでサブだよ。出来ればそうしてほしいくらいの話だ。ほとんど苦肉の策だしね……」
「…………」
「メインは昨日話した通りだ。昨日の夜に、ユウカには全て話してある。今後のことはユウカに相談してくれ」
「……分かりました」
「さて、それではそろそろ私は出掛ける時間だ。あまり話せなくてすまないね。ユウカのこともクレイアのこともメインの目的の話も全然できてはいないが、本当に時間が無くてね」
「いえ……こちらこそ、お引き止めしてしまい、申し訳ございませんでした」
恭司は不承不承に頭を下げた。
確かに、質問ならいくらでも残っている。
こんなに色々と中途半端な状態で放り出されても……というのが正直な気持ちだった。
「まぁ、またゆっくり話す時間を作るよ。では、これで本当に失礼する。ユウカは寝ているだろうが、起きたらよろしく伝えておいてくれ」
アベルトはそう言いながら荷物を手に取り、立ち上がった。
まだ納得できているわけでは勿論ないが、急いでいる人間をこれ以上引き止めるわけにもいかない。
アベルトは急ぎ足で玄関に向かい、恭司はその背についていく。
見送りにいくのだ。
アベルトは玄関に到着すると、靴に足を入れ、紐を結び始める。
恭司はその姿を、何ともない気持ちで見つめていた。
「ん?あぁ、そういえば、クレイアとユウカと君について、一つ重大なことを伝え忘れていた」
と、そんな時だ。
アベルトは不意に思い出したように手をポンっと叩いた。
何事か?と、恭司は首を傾げる。
「君たちの技についてだ。君たち三者は全員同じ技を使う。だから、クレイアに技を見せてはいけないよ。勧誘やちょっかいを受ける対象になりかねないからね。もちろん、入団するなど以ての外だから気を付けてね。それじゃ」
「えっ、ちょっと!!」
アベルトは最後にそれだけ言って、ドアを開けて外に出ていった。
恭司はその場に取り残される。
最後の最後になって、とんでもない爆弾を落としていった。
急いでドアを開けてアベルトを探すも、もう姿が見えない。
さすがは武芸者だが、今回はシャレにならない。
謎は、深まる一方だった。
「何が思い出しただ……。どう考えても確信犯じゃねぇか……」
恭司は玄関の前で立ち尽くす。
自分とユウカ以外に、クレイアも自分たちと同じ技を使う……?
それがどういうことを示すのか、恭司にはそれを理解するための知識が足りていなかった。
クレイアにはどういう人物たちが集まっていて、何のために存在しているのか。
恭司の使う技は、一体どういう性質のものなのか。
(俺の使う技……。あの『喰斬り』って技は……俺のオリジナルなのか?どこかで習っていた……?まったく分からない……。ユウカや俺と、クレイアはどういう関係にあるんだ……)
アベルトからの一方的な情報提供だけではやりきれなくなっていた。
分からないことが多すぎて、知りたいことが多すぎる。
自分自身に関することすら曖昧でフワフワした理解なのだ。
このままでいいはずなどない。
そして、
そのアベルトとろくなコミュニケーションが取れない今、誰に聞くべきか……。
「そんなことは……決まっているか……」
恭司はため息と共に言葉を吐き出す。
その本人はもうそろそろ起きて、ここにやって来るだろう。
昨日、アベルトから衝撃的な事実を聞かされた、その状態のままで……。
「どんな顔して会えばいいってんだ……」
恭司は、机に頭を擦り付けるかのような勢いで項垂れた。
「…………」
「メインは昨日話した通りだ。昨日の夜に、ユウカには全て話してある。今後のことはユウカに相談してくれ」
「……分かりました」
「さて、それではそろそろ私は出掛ける時間だ。あまり話せなくてすまないね。ユウカのこともクレイアのこともメインの目的の話も全然できてはいないが、本当に時間が無くてね」
「いえ……こちらこそ、お引き止めしてしまい、申し訳ございませんでした」
恭司は不承不承に頭を下げた。
確かに、質問ならいくらでも残っている。
こんなに色々と中途半端な状態で放り出されても……というのが正直な気持ちだった。
「まぁ、またゆっくり話す時間を作るよ。では、これで本当に失礼する。ユウカは寝ているだろうが、起きたらよろしく伝えておいてくれ」
アベルトはそう言いながら荷物を手に取り、立ち上がった。
まだ納得できているわけでは勿論ないが、急いでいる人間をこれ以上引き止めるわけにもいかない。
アベルトは急ぎ足で玄関に向かい、恭司はその背についていく。
見送りにいくのだ。
アベルトは玄関に到着すると、靴に足を入れ、紐を結び始める。
恭司はその姿を、何ともない気持ちで見つめていた。
「ん?あぁ、そういえば、クレイアとユウカと君について、一つ重大なことを伝え忘れていた」
と、そんな時だ。
アベルトは不意に思い出したように手をポンっと叩いた。
何事か?と、恭司は首を傾げる。
「君たちの技についてだ。君たち三者は全員同じ技を使う。だから、クレイアに技を見せてはいけないよ。勧誘やちょっかいを受ける対象になりかねないからね。もちろん、入団するなど以ての外だから気を付けてね。それじゃ」
「えっ、ちょっと!!」
アベルトは最後にそれだけ言って、ドアを開けて外に出ていった。
恭司はその場に取り残される。
最後の最後になって、とんでもない爆弾を落としていった。
急いでドアを開けてアベルトを探すも、もう姿が見えない。
さすがは武芸者だが、今回はシャレにならない。
謎は、深まる一方だった。
「何が思い出しただ……。どう考えても確信犯じゃねぇか……」
恭司は玄関の前で立ち尽くす。
自分とユウカ以外に、クレイアも自分たちと同じ技を使う……?
それがどういうことを示すのか、恭司にはそれを理解するための知識が足りていなかった。
クレイアにはどういう人物たちが集まっていて、何のために存在しているのか。
恭司の使う技は、一体どういう性質のものなのか。
(俺の使う技……。あの『喰斬り』って技は……俺のオリジナルなのか?どこかで習っていた……?まったく分からない……。ユウカや俺と、クレイアはどういう関係にあるんだ……)
アベルトからの一方的な情報提供だけではやりきれなくなっていた。
分からないことが多すぎて、知りたいことが多すぎる。
自分自身に関することすら曖昧でフワフワした理解なのだ。
このままでいいはずなどない。
そして、
そのアベルトとろくなコミュニケーションが取れない今、誰に聞くべきか……。
「そんなことは……決まっているか……」
恭司はため息と共に言葉を吐き出す。
その本人はもうそろそろ起きて、ここにやって来るだろう。
昨日、アベルトから衝撃的な事実を聞かされた、その状態のままで……。
「どんな顔して会えばいいってんだ……」
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