追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー
【第二話】模擬戦⑦
「驚いた……。まさか防ぎ切られるとは思わなかったよ」
ふと、ユウカは一旦動きを止め、話しかけてきた。
その声は割と真剣なものだ。
ユウカにとって、どうやらこれはかなり意外なことだったらしい。
「防ぎ切れなかったらベッドに逆戻りじゃないか……」
恭司は呆れたようにため息を吐く。
やはりそれが狙いだったようだ。
「ま、まぁ、防げたんだし良いじゃん。言っとくけど、このレベルに付いて来れる人なんて、クラスにも数えるくらいしかいないんだから、もっと嬉しがってくれてもいいんだよ?」
ユウカは少し早口でまくしたてる。
話題を変えたがっているのが見え見えだったが、さすがに気付かない振りをした。
ちょっとした腕試しとはいえ、試合は試合だ。
空気くらいは読む。
「クラスとか言われても正直分からんさ。俺は学校っていうもの自体、記憶にねぇんだからな」
「まぁ、そりゃあそうだろうけどさー……。ちょっとくらいは自慢気になってくれてもいいと思うんだよね」
「そう言われてもな……」
「でないと…………これからさらに速くしても、驚き薄くなっちゃうじゃん?」
「何?」
途端、
気付けばユウカの顔が目の前にあった。
恭司は瞬時に木刀を振り、防ぐ。
恭司の頭上で、木刀同士のぶつかり合う音が響いた。
「これもよく防いだね!!」
ユウカはテンションが上がってきたのか、その声は少し大きかった。
恭司はすぐに後ろへ跳び、臨戦体制を整える。
防ぎはしたものの余裕は無かった。
アレは出会いがしらの振り下ろしだったが、視界に入れられたのはほんの一瞬で、移動というよりはまるで瞬間移動のように感じた。
確かに、さっきまでよりもう1段階速くなっている。
(目で追うのもかなりギリギリだ。正直、普通に驚いたぞ)
恭司は木刀を構え直す。
ユウカは既に、第二陣の準備を整え終わっていた。
「さぁ、これも防げるかな!?」
次は下から上の振り上げだった。
同じ速度で恭司の眼前に移動し、地面スレスレの見えにくい位置から、まるで一瞬のような速度で恭司の顔へ向けて走る。
恭司はそこに木刀を当てて食い止めるが、木刀同士がぶつかった瞬間、すぐに違和感を感じた。
(力が弱い……!?)
恭司は途端に身を屈める。
その瞬間、
その上をユウカの蹴りが通過した。
「これも防ぐんだ!!」
ユウカの方ももしかしたら冷静で無くなっているのかもしれない。
今の蹴りは相当強かった。
当たれば本当に無事で済んだか分からない。
下からの振り上げは囮で、本命は横回転の宙蹴りだったのだ。
振り上げを無理矢理キャンセルする力技でもあり、体ごと宙返る博打技でもあった。
当たった時のリターンは大きいが、普通はこんな腕試しに使わない。
だが、
それでも恭司は、嬉しそうにニヤリと笑った。
冷静で無くなっているのは恭司も同じ。
そして、
ハイリターンな技は、大抵の場合、ハイリスクでもあるものだ。
「ようやく隙を見せたな」
「ッ!!」
自らの宙にいる状態で気付くユウカ。
しかし、
もう遅い。
木刀が一瞬のような速度で振り上げられ、瞬く間に振り下ろされる。
ユウカは間一髪木刀で防いだが、足が地に着いていない状態では吹き飛ばされるより他なかった。
恭司は上段からの振り下ろしを最後まで振り切り、ユウカを遠くに飛ばす。
ユウカは猫のように宙でクルンと翻り、フワリと地に足をつけるが、今度は恭司の追撃がユウカに襲い掛かった。
ふと、ユウカは一旦動きを止め、話しかけてきた。
その声は割と真剣なものだ。
ユウカにとって、どうやらこれはかなり意外なことだったらしい。
「防ぎ切れなかったらベッドに逆戻りじゃないか……」
恭司は呆れたようにため息を吐く。
やはりそれが狙いだったようだ。
「ま、まぁ、防げたんだし良いじゃん。言っとくけど、このレベルに付いて来れる人なんて、クラスにも数えるくらいしかいないんだから、もっと嬉しがってくれてもいいんだよ?」
ユウカは少し早口でまくしたてる。
話題を変えたがっているのが見え見えだったが、さすがに気付かない振りをした。
ちょっとした腕試しとはいえ、試合は試合だ。
空気くらいは読む。
「クラスとか言われても正直分からんさ。俺は学校っていうもの自体、記憶にねぇんだからな」
「まぁ、そりゃあそうだろうけどさー……。ちょっとくらいは自慢気になってくれてもいいと思うんだよね」
「そう言われてもな……」
「でないと…………これからさらに速くしても、驚き薄くなっちゃうじゃん?」
「何?」
途端、
気付けばユウカの顔が目の前にあった。
恭司は瞬時に木刀を振り、防ぐ。
恭司の頭上で、木刀同士のぶつかり合う音が響いた。
「これもよく防いだね!!」
ユウカはテンションが上がってきたのか、その声は少し大きかった。
恭司はすぐに後ろへ跳び、臨戦体制を整える。
防ぎはしたものの余裕は無かった。
アレは出会いがしらの振り下ろしだったが、視界に入れられたのはほんの一瞬で、移動というよりはまるで瞬間移動のように感じた。
確かに、さっきまでよりもう1段階速くなっている。
(目で追うのもかなりギリギリだ。正直、普通に驚いたぞ)
恭司は木刀を構え直す。
ユウカは既に、第二陣の準備を整え終わっていた。
「さぁ、これも防げるかな!?」
次は下から上の振り上げだった。
同じ速度で恭司の眼前に移動し、地面スレスレの見えにくい位置から、まるで一瞬のような速度で恭司の顔へ向けて走る。
恭司はそこに木刀を当てて食い止めるが、木刀同士がぶつかった瞬間、すぐに違和感を感じた。
(力が弱い……!?)
恭司は途端に身を屈める。
その瞬間、
その上をユウカの蹴りが通過した。
「これも防ぐんだ!!」
ユウカの方ももしかしたら冷静で無くなっているのかもしれない。
今の蹴りは相当強かった。
当たれば本当に無事で済んだか分からない。
下からの振り上げは囮で、本命は横回転の宙蹴りだったのだ。
振り上げを無理矢理キャンセルする力技でもあり、体ごと宙返る博打技でもあった。
当たった時のリターンは大きいが、普通はこんな腕試しに使わない。
だが、
それでも恭司は、嬉しそうにニヤリと笑った。
冷静で無くなっているのは恭司も同じ。
そして、
ハイリターンな技は、大抵の場合、ハイリスクでもあるものだ。
「ようやく隙を見せたな」
「ッ!!」
自らの宙にいる状態で気付くユウカ。
しかし、
もう遅い。
木刀が一瞬のような速度で振り上げられ、瞬く間に振り下ろされる。
ユウカは間一髪木刀で防いだが、足が地に着いていない状態では吹き飛ばされるより他なかった。
恭司は上段からの振り下ろしを最後まで振り切り、ユウカを遠くに飛ばす。
ユウカは猫のように宙でクルンと翻り、フワリと地に足をつけるが、今度は恭司の追撃がユウカに襲い掛かった。
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