追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー
【第一話】記憶喪失⑧
「へぇ……。革命軍のリーダーねぇ……」
恭司は頭をポリポリと掻いた。
正直、ピンとこない。
「『クレイア』っていう名前の組織でね、軍を名乗ってはいるけど、人を沢山殺すわりに何の正義もないから、政府からはもちろん、一般の人からもあんまり良い風には思われてないんだよね」
ピンときていない恭司のために、少女……ユウカは簡単にだが説明してくれた。
どうやら、その表情や声音から察するに、ユウカにとってもその『クレイア』とやらは厄介な存在らしい。
だからこそ、少し疑問に思う点もあった。
「……俺を助けるように言ったのも、その母親なのか?」
「え?」
「確か……親に言われたんだろ?」
「あぁ……それは父親の方。お父さんは政府の要人だからね。偉いの。私が君を見つけて電話した時も、すぐに助けなさいって。母親と違って……尊敬してるよ」
父親の話になると、表情は少し柔らかくなった。
母親の時とは明らかに違う反応だ。
何やら複雑な関係と見える。
「母親は革命軍のリーダーで、父親は政府の要人か……。しかし、そんな二人が夫婦なんて許されるのか?社会的に見てもまずいと思うんだが」
「んー……もちろんよくないよ?だから今はもう離婚してる」
「それでも、犯罪者の元夫ってのは政府の人間としてまずいだろう。大丈夫なのか?」
恭司はあくまでも素直に問いかける。
素で疑問だった。
「んー、まぁ……よくはないよ?でも、そこはほら、権力かな。私も詳しくは知らないけど、お父さんけっこう政府内でも重要な位置にいるらしいからさ。そのおかげで、私みたいな犯罪者の娘でも学校に通えてる」
「ユウカ……学生だったのか」
「ん?そうだよ?てか、恭司も見た感じ私と同い年くらいでしょ?まぁ多分、年齢なんて覚えてないだろうけどさ」
恭司が質問したことで、話題は別なものへとすり替わった。
だが良いタイミングだ。
「そうだな……。ちなみに、今日は学校は休みなのか?」
暗い雰囲気を吹き飛ばすための挽回の一手だった。
このまま違う話題へとすり替え、一旦話を終わらせる。
「え?あ、あぁ……まぁね。君のこともあるし、しばらくは家にいるよ。ベッドから動けないんじゃ不便でしょ?私が面倒見てあげる」
ユウカがそれに気づいたかは分からないが、話題を変えることには成功した。
正直に気になる話題ではあったものの、会ったばかりの段階でそんなに深く聞くべきではないし、ユウカも話しにくそうだった。
これが、お世話になっている者のせめてもの配慮だろうと、恭司は勝手に判断している。
決して疲れたからなどではない、が、
「そうか……。迷惑ばかりかけてすまないな。俺も、早く治るよう頑張るよ」
「頑張ってどうにかなるのかは知らないけど……私も応援するよ。頑張ってね」
「あぁ」
会話は、こんな感じで速やかに収束した。
恭司は頭をポリポリと掻いた。
正直、ピンとこない。
「『クレイア』っていう名前の組織でね、軍を名乗ってはいるけど、人を沢山殺すわりに何の正義もないから、政府からはもちろん、一般の人からもあんまり良い風には思われてないんだよね」
ピンときていない恭司のために、少女……ユウカは簡単にだが説明してくれた。
どうやら、その表情や声音から察するに、ユウカにとってもその『クレイア』とやらは厄介な存在らしい。
だからこそ、少し疑問に思う点もあった。
「……俺を助けるように言ったのも、その母親なのか?」
「え?」
「確か……親に言われたんだろ?」
「あぁ……それは父親の方。お父さんは政府の要人だからね。偉いの。私が君を見つけて電話した時も、すぐに助けなさいって。母親と違って……尊敬してるよ」
父親の話になると、表情は少し柔らかくなった。
母親の時とは明らかに違う反応だ。
何やら複雑な関係と見える。
「母親は革命軍のリーダーで、父親は政府の要人か……。しかし、そんな二人が夫婦なんて許されるのか?社会的に見てもまずいと思うんだが」
「んー……もちろんよくないよ?だから今はもう離婚してる」
「それでも、犯罪者の元夫ってのは政府の人間としてまずいだろう。大丈夫なのか?」
恭司はあくまでも素直に問いかける。
素で疑問だった。
「んー、まぁ……よくはないよ?でも、そこはほら、権力かな。私も詳しくは知らないけど、お父さんけっこう政府内でも重要な位置にいるらしいからさ。そのおかげで、私みたいな犯罪者の娘でも学校に通えてる」
「ユウカ……学生だったのか」
「ん?そうだよ?てか、恭司も見た感じ私と同い年くらいでしょ?まぁ多分、年齢なんて覚えてないだろうけどさ」
恭司が質問したことで、話題は別なものへとすり替わった。
だが良いタイミングだ。
「そうだな……。ちなみに、今日は学校は休みなのか?」
暗い雰囲気を吹き飛ばすための挽回の一手だった。
このまま違う話題へとすり替え、一旦話を終わらせる。
「え?あ、あぁ……まぁね。君のこともあるし、しばらくは家にいるよ。ベッドから動けないんじゃ不便でしょ?私が面倒見てあげる」
ユウカがそれに気づいたかは分からないが、話題を変えることには成功した。
正直に気になる話題ではあったものの、会ったばかりの段階でそんなに深く聞くべきではないし、ユウカも話しにくそうだった。
これが、お世話になっている者のせめてもの配慮だろうと、恭司は勝手に判断している。
決して疲れたからなどではない、が、
「そうか……。迷惑ばかりかけてすまないな。俺も、早く治るよう頑張るよ」
「頑張ってどうにかなるのかは知らないけど……私も応援するよ。頑張ってね」
「あぁ」
会話は、こんな感じで速やかに収束した。
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