【コミカライズ】献身遊戯 ~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
「ときめかないとイけない」4
これまでの人生、正真正銘、俺はモテ続けてきた。
小中学生のときからひと月に一度は女子に呼び出されて告白されるのが当たり前、高校は男子校を選んだのに他校の女子から告白のメールがひっきりなしに届いていた。
どんな女の子にも第一印象で好かれる自信がある。
そして間違えることもない。
たまに、同性からどうしたら女性に好かれるかとアドバイスを求められるが、俺はもう感覚でやっているとしか答えようがない。
その感覚はすべて、この面倒な姉たちの影響である。
麗奈と凜花は、幼少期から美人で目立つ存在だった。
黒髪ストレートの清楚系、社交的で生徒会長もこなす隙のない麗奈。
おっとりした性格で甘え上手、華やかなのに男を立てる女性らしい凜花。
どこへ行ってもモテるという言葉を通り越してもはやアイドルのような存在で、俺にふたりを紹介してくれという男がわんさかいた。
俺は断言する。
コイツらふたりとも、とんでもねぇ女だ。
学生時代はいつも学年で一二を争う人気者の男と付き合って、姉妹でそいつらをけちょんけちょんに貶し合う悪口大会を開催している。
『聞いてよ凜花。先輩のエッチ超ウケるの。〝ほら麗奈、見せてごらん〟って感じの言葉責め。自分に酔っちゃってる』
『やだぁ、キモい。麗奈ちゃん喜んだフリしてあげてるの?』
『うん。〝だ、だめぇ、恥ずかしいからやめてよぉ〟って。満足げだよ、あははは!』
『きゃははは!  えらーい!』
出張の多い両親が家にいない日には、リビングでそんな会話を繰り広げている。
なにが悪いんだ。
男が必死になるのがそんなに面白いか。
『私の彼氏もね、誕生日に勝手にブランドバッグ買っててさ。すごく趣味悪いの』
『あーわかる。バッグは選ばせろっつーの。ブランド物買えばなんでも喜ぶと思ってる男だ』
『そう。誕生日がそれだとテンション下がるよねぇ。だいたい、学生がブランド物って、いかにも貢がれてますって感じでイメージ下がるじゃない?  ブランド物くれるなら消耗品がいいなぁ。マッサージクリームとか、フェイスパックとか。自分じゃ高いお金出してまで買わないものをなんでもない日にくれるといいよね』
『そうそう、そういうのラッキーってなるよね。いらなきゃ捨てられるし』
なんてワガママなんだ……。
正気か?
人から贈られたものにどうしてここまでケチをつけられるんだ。
なんでもない日にプレゼントを貰いたがるのも図々しい。
しかしこの会話を毎日聞かされているおかげで、俺は女性の中の正解と不正解がはっきりとわかるようになった。
恐ろしいことにふたりは現実社会ではまったくボロを出さず、相手の男に気づかれることもなく、腹の中だけで性格の悪さを煮込んでいるのである。
そして姉達の言っていることは、ほかの女性たちも同じように感じているはずだ。
俺が正解の対応をするたびに人気を集めていることがなによりの証拠。
姉たちとは違うと感じた子と付き合ってみても、その子にとって都合よく振る舞い続けるともれなく姉化する。
女の子の本音は皆黒く濁っているのかと思うと、正直どこに魅力を感じていいのかわからなかった。
そんなときに出会ったのが、TLというジャンルだった。
姉からの情報で、エッチについてAVを参考にするのは間違いだと知っていたため、俺は女性向けのものから知識を得ようと考えたのだ。
姉たちが良いと評価するものはもっぱら漫画で表現されるエッチばかりで、俺も試しに女性向けの漫画を買ってみる。
女性向けなのだから男の俺が読んでも興奮したりはしないだろう、自分を満たすためではなく正解のエッチを勉強するために読むだけだ。
そう思って読んでみたTLに、俺は見事にどハマりした。
心の底からお互いを大切に想う関係、打算的ではないキュンとするやりとり。
邪魔する異性が現れ焦れったく引き延ばされる展開も、それを乗り越えたふたりの絆は強まっていく。
そこで迎える甘く激しいエッチは、AVでは得られないトキメキに満ちていた。
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