【変態ゴレてん】変態少年が異世界に転生してゴーレムになったから魔改造を施したけれど変態は治りませんでした。追伸、ゴーレムでも変態でも女の子にモテたいです。
第41話【三連の試練】
『さぁ~~て、残るオーガゾンビは三体だぞぉ~』
俺は高く両腕を上に伸ばしたあとに、ブルンっと持っていたバスタードソードを手首で回しながら振るった。
俺の前には膝を砕かれたオーガゾンビが三体ほど蠢いている。
出入り口に挟まっているヤツを含めれば四体だ。
俺の横に立つクレアが言った。
「さて、では挟み撃ちで、とっとと終わらせようぞ」
凛々しく立つクレアがレイピアでビュンっと風を切る。
だが俺は、やる気を見せるクレアを止めた。
『ちょっと待ってくれないか、クレア』
「なんだ、急に?」
『あと三体なんだけどよ。こいつら全部俺に譲ってくれないか』
「譲る?」
クレアが銀髪をかきあげながら聞き直す。
「譲り合いは大切だが、何故だ?」
『練習だよ。剣の練習だ。それに暗器戦の練習もしたいんだ。空手もな。実物を相手に感触から慣れれば訓練になるって【空手道馬鹿百段】に書いてあったんだよ』
「訓練か、良かろう」
言ったクレアはレイピアを逆手に持ち変えると可憐な素振りで鞘に戻した。
そのまま踵を返して歩き出す。
「ならば私は出入り口に挟まっているオーガゾンビを片付けてこよう。あのような動けない輩を倒しても練習にすらならんだろうからな」
『あれれ~……、俺が戦う格好いいところを見守ってくれないのか?』
「もう幼い子供でもないだろうさ。一人で頑張ると決めたのだから一人でやりきれ、アナベル」
ちぇ、仕方がないか~。
『了解。それじゃあそっちはたのんだぞ~』
クレアは振り返ることなく手を振ってから歩いて行った。
『さてさて、残るは三体。まず一体は確実にバスタードソードで片付けるか』
俺は両手でバスタードソードの柄を握り締めると中段の構えで正面に突き出す。
そのままスタスタと前に進みオーガゾンビとの距離を詰めた。
オーガゾンビは膝が破壊された片足を引き摺りながら俺にゆっくりと迫ってくる。
大きな両手を前に伸ばしながら俺を掴み取る気なのだろう。
だが、その速度は遅い。
片足が破壊されているからだろう。
びっこを引いている。
『行くぜぇ!!』
俺は自分の間合いにオーガゾンビが踏み込んだ刹那に前にダッシュした。
前に進みながらバスタードソードを上段に振り上げると同時に体を右に捌く。
オーガゾンビの片腕が俺の眼前を過ぎて行った。
そしてオーガゾンビの側面を取るとバスタードソードを力強く振り下ろす。
『ふんっ!!』
袈裟斬りの一撃。
ガツンっと衝撃の後にオーガゾンビの片腕が肘から落ちた、
一太刀で片腕を切断だ。
からの~。
剣を振るった勢いを殺さずに体を横向きに回転させると、振り向きざまにバスタードソードを横一閃に振るう。
狙いはオーガゾンビの裏太股。
後ろから前へとオーガゾンビの太股を切り裂いた。
鈍い感触とともにオーガゾンビの片足の筋肉がバスタードソードの太い刀身で切り裂かれる。
バシャリと鮮血が床に飛ぶ。
しかし骨を断てない。
ないが──。
ないが足の腱は断てている。
これでオーガゾンビの両足が機能不能だろう。
「ぐぅがぁかぁ……」
案の定、オーガゾンビの下半身が崩れ落ちる。
たとえ無痛のゾンビであろうとも、間接や腱を破壊されたら動くのも不可能になるだろう。
それが人体の構造である。
崩れ落ちたオーガゾンビは両膝をつくと前のめりに倒れるのを免れるために残った片腕で前に手をついて上半身を支えていた。
そこに俺が余裕な足取りで歩み寄る。
『それじゃあ、終わりにするぜ~』
俺はゆっくりとオーガゾンビの右側から左側に歩いて移動した。
そして、体を支えているオーガゾンビの左腕を裏肘側から蹴り飛ばして支えを弾く。
するとオーガゾンビがうつ伏せに倒れて更に頭を低くした。
顔面を床に擦り付けながら踠いている。
そこに俺は逆手に持ったバスタードソードを突き立てた。
『そらっ!』
ズブリっ!
バスタードソードの先端がオーガゾンビの後頭部から突き刺さり顔面を貫通して硬い地面の感触を柄まで伝えていた。
それでオーガゾンビは動かなくなる。
『残る二体か~』
俺はバスタードソードをオーガゾンビの後頭部に刺したままその場を離れた。
『剣技の練習は終わりだ。続いて空手道の練習ですよ~んだ!』
俺は指関節を解しながら歩いた。
勿論ゴーレムの俺の関節が凝るわけがないが、生前の癖だろう。
習慣って奴はなかなか消えないのだ。
『さてさて、行くぞ!』
「うがぁぁあああ!!」
二体目のオーガゾンビはお決まりの両手を前に出したフォームでこちらに進んでくる。
『間合い──』
俺は姿勢を低くして流れるような動きで前に出た。
オーガゾンビの両手の下を潜ると懐に入り込む。
俺の顔がオーガゾンビの臍の前にあった。
『超接近成功っ!』
そこからカチ上げの掌低をロケットのように打ち上げる。
オーガゾンビの両腕の隙間から全身のバネを伸ばした掌低のアッパーカットをオーガゾンビの顎に叩き込んだ。
オーガゾンビの下顎が真下から打たれて上顎に激突する。
ガゴンっと派手な音が鳴った。
強制的に上を向かされたオーガゾンビの背筋が伸び上がる。
そして、体の筋が延びきっているオーガゾンビの片膝に俺は下段前蹴りを叩き込んだ。
『そりゃ!!』
「がっ!!」
流石の巨漢も身が延びきっているところに膝関節を蹴られたら倒れるしかなかったのだろう。
バランスを崩して背中からダウンした。
そこに俺は大ジャンプから飛び込んだ。
オーガゾンビの顔面に全体重を乗せたニードロップを打ち落とす。
するとガンガンと連続で二度音が鳴った。
顔面に膝がめり込んだ音と、その衝撃で後頭部を床に打ちつけた音である。
だが、それでありながらもオーガゾンビは動きが止まらない。
素早く俺の腕を掴んで横に振るった。
俺は力任せに床に叩きつけられる。
『野郎っ!!』
だが、俺は直ぐに立ち上がった。
オーガゾンビもノロノロと立ちあがろうとしている。
どうやら膝を蹴ったが移動不能な破壊までは達していないようだ。
それでもオーガゾンビの動きは遅かった。
『今だっ!』
俺はオーガゾンビが片膝立ちのところに飛び掛かる。
オーガゾンビの片膝を踏み台に跳躍を重ねて勢いを乗せるとオーガゾンビの顔面に膝蹴りを打ち込んだ。
『シャイニングウィザードだっ!!』
今度は膝から暗器の刃を出しての攻撃である。
そして、膝の暗器刃がオーガゾンビの眉間を突き刺していた。
しかし、傷は浅いようだ。
俺はオーガゾンビに両手で左右から挟まれるように掴まれた。
凄いパワーである。
力で外せない。
『こなくそっ!!』
だが俺は、素早く腕から暗器ブレードを引き出すとオーガゾンビの額に振り下ろす。
ズブリと音を立てて暗器ブレードがオーガゾンビの額を貫いた。
すると俺の体を掴んでいたオーガゾンビの手も力無く落ちた。
そのままオーガゾンビは女の子座りの体制で動かなくなる。
『残るは一体っ!』
俺は暗器ブレードをオーガゾンビの額から引き抜くと体を蹴飛ばした。
機能を停止したオーガゾンビが背中から倒れる。
その向こうに最後のオーガゾンビが見えた。
俺は逆腕の暗器ブレードと両膝の暗器刃を出すと最後のオーガゾンビに向かって悠々と歩み出す。
『さてさて、さっさと片付けて、クレアのご褒美キッスを頂こうかな~。楽しみだな~』
俺が歩いて距離を詰めるとオーガゾンビから攻めてきた。
左手を張り手のように振るってくる。
右腕を大きく横に振るった張り手を屈んで躱した俺は、回避と同時に下段廻し蹴りでオーガゾンビの膝を蹴り飛ばした。
だが、まるで丸太を蹴飛ばしたような衝撃が俺に返ってくる。
俺の下段廻し蹴りは効いていない。
その程度の威力ではオーガゾンビは揺らがない。
今度はオーガゾンビが縦に張り手を振るい落としてきた。
俺は片足の踵を軸に体を反らすと暗器ブレードをアッパー気味に振るう。
その一振りでオーガゾンビが振るった張り手の指が四本切断された。
ボトボトと落ちた指が床に転がる。
『そりゃ!』
今度は俺の上段廻し蹴り。
超接近の距離から繰り出した上段廻し蹴りは、俺の頭より高い位置にあったオーガゾンビの頬を横から蹴り飛ばしていた。
その強打でオーガゾンビが片膝をついた。
『もう一丁、蹴飛ばしてやるぜ!!』
俺はジャンプしてからオーガゾンビの顔面を狙って前蹴りを繰り出した。
そして、俺の踵がオーガゾンビの顔面に接触した刹那である。
『点火っ!!』
チュドーーーンっと爆音を響かせて俺の飛び蹴りが爆発した。
足の裏にも地雷魔法陣をセットしておいたのだ。
俺は飛び蹴りを繰り出した勢いと爆発の威力に2メートルほど後方に飛ばされる。
『どうだ、名付けて爆発脚だ!』
手だけじゃない、足も爆発するなんて、これってイケてるだろうさ。
とにかくだ、使えるかどうかを試して見たかったのだ。
そして、片膝立ちのオーガゾンビは顔面が焼け焦げて白い煙を上げていた。
だが、片膝立ちから体を起こしたオーガゾンビは両足で立ち上がる。
『まだ動けるのか……。火力が低かったのね』
顔面から煙を上げるオーガゾンビがこちらに向かって進んでくる。
ゾンビナイトは暗器爆弾の一発で倒せたが、オーガゾンビは一発で片付けられなかったようだ。
『まあ、体のサイズが倍なんだ。並みの火力じゃあ利かなくてもしゃあないか~』
言うなり俺は全速力でォーガゾンビに向かって走り迫った。
そして再びジャンプで接近すると、オーガゾンビの顔面に両手を近付ける。
『ダブル点火っ!!』
ドンドンっと爆音がほぼ同時の二連で轟いた。
両手の爆弾を同時に爆発させたのだ。
その爆破で俺の体が3メートルほど跳ね飛んだ。
流石に自分の体に響く衝撃も凄かったが、威力も倍だった。
今度の二連爆発を食らったオーガゾンビの体が後ろに倒れる。
俺は着地してからガッツポーズを決めた。
『今度はやっただろう!』
顔面から煙を上げるオーガゾンビは倒れたまま動かなかった。
その表情は煙で見えない。
『オーガゾンビでも二発同時は耐えられないってわけか~』
これで終わりである。
生きていたオーガ、それにオーガゾンビともに壊滅達成である。
ミッションの終了だ。
俺は高く両腕を上に伸ばしたあとに、ブルンっと持っていたバスタードソードを手首で回しながら振るった。
俺の前には膝を砕かれたオーガゾンビが三体ほど蠢いている。
出入り口に挟まっているヤツを含めれば四体だ。
俺の横に立つクレアが言った。
「さて、では挟み撃ちで、とっとと終わらせようぞ」
凛々しく立つクレアがレイピアでビュンっと風を切る。
だが俺は、やる気を見せるクレアを止めた。
『ちょっと待ってくれないか、クレア』
「なんだ、急に?」
『あと三体なんだけどよ。こいつら全部俺に譲ってくれないか』
「譲る?」
クレアが銀髪をかきあげながら聞き直す。
「譲り合いは大切だが、何故だ?」
『練習だよ。剣の練習だ。それに暗器戦の練習もしたいんだ。空手もな。実物を相手に感触から慣れれば訓練になるって【空手道馬鹿百段】に書いてあったんだよ』
「訓練か、良かろう」
言ったクレアはレイピアを逆手に持ち変えると可憐な素振りで鞘に戻した。
そのまま踵を返して歩き出す。
「ならば私は出入り口に挟まっているオーガゾンビを片付けてこよう。あのような動けない輩を倒しても練習にすらならんだろうからな」
『あれれ~……、俺が戦う格好いいところを見守ってくれないのか?』
「もう幼い子供でもないだろうさ。一人で頑張ると決めたのだから一人でやりきれ、アナベル」
ちぇ、仕方がないか~。
『了解。それじゃあそっちはたのんだぞ~』
クレアは振り返ることなく手を振ってから歩いて行った。
『さてさて、残るは三体。まず一体は確実にバスタードソードで片付けるか』
俺は両手でバスタードソードの柄を握り締めると中段の構えで正面に突き出す。
そのままスタスタと前に進みオーガゾンビとの距離を詰めた。
オーガゾンビは膝が破壊された片足を引き摺りながら俺にゆっくりと迫ってくる。
大きな両手を前に伸ばしながら俺を掴み取る気なのだろう。
だが、その速度は遅い。
片足が破壊されているからだろう。
びっこを引いている。
『行くぜぇ!!』
俺は自分の間合いにオーガゾンビが踏み込んだ刹那に前にダッシュした。
前に進みながらバスタードソードを上段に振り上げると同時に体を右に捌く。
オーガゾンビの片腕が俺の眼前を過ぎて行った。
そしてオーガゾンビの側面を取るとバスタードソードを力強く振り下ろす。
『ふんっ!!』
袈裟斬りの一撃。
ガツンっと衝撃の後にオーガゾンビの片腕が肘から落ちた、
一太刀で片腕を切断だ。
からの~。
剣を振るった勢いを殺さずに体を横向きに回転させると、振り向きざまにバスタードソードを横一閃に振るう。
狙いはオーガゾンビの裏太股。
後ろから前へとオーガゾンビの太股を切り裂いた。
鈍い感触とともにオーガゾンビの片足の筋肉がバスタードソードの太い刀身で切り裂かれる。
バシャリと鮮血が床に飛ぶ。
しかし骨を断てない。
ないが──。
ないが足の腱は断てている。
これでオーガゾンビの両足が機能不能だろう。
「ぐぅがぁかぁ……」
案の定、オーガゾンビの下半身が崩れ落ちる。
たとえ無痛のゾンビであろうとも、間接や腱を破壊されたら動くのも不可能になるだろう。
それが人体の構造である。
崩れ落ちたオーガゾンビは両膝をつくと前のめりに倒れるのを免れるために残った片腕で前に手をついて上半身を支えていた。
そこに俺が余裕な足取りで歩み寄る。
『それじゃあ、終わりにするぜ~』
俺はゆっくりとオーガゾンビの右側から左側に歩いて移動した。
そして、体を支えているオーガゾンビの左腕を裏肘側から蹴り飛ばして支えを弾く。
するとオーガゾンビがうつ伏せに倒れて更に頭を低くした。
顔面を床に擦り付けながら踠いている。
そこに俺は逆手に持ったバスタードソードを突き立てた。
『そらっ!』
ズブリっ!
バスタードソードの先端がオーガゾンビの後頭部から突き刺さり顔面を貫通して硬い地面の感触を柄まで伝えていた。
それでオーガゾンビは動かなくなる。
『残る二体か~』
俺はバスタードソードをオーガゾンビの後頭部に刺したままその場を離れた。
『剣技の練習は終わりだ。続いて空手道の練習ですよ~んだ!』
俺は指関節を解しながら歩いた。
勿論ゴーレムの俺の関節が凝るわけがないが、生前の癖だろう。
習慣って奴はなかなか消えないのだ。
『さてさて、行くぞ!』
「うがぁぁあああ!!」
二体目のオーガゾンビはお決まりの両手を前に出したフォームでこちらに進んでくる。
『間合い──』
俺は姿勢を低くして流れるような動きで前に出た。
オーガゾンビの両手の下を潜ると懐に入り込む。
俺の顔がオーガゾンビの臍の前にあった。
『超接近成功っ!』
そこからカチ上げの掌低をロケットのように打ち上げる。
オーガゾンビの両腕の隙間から全身のバネを伸ばした掌低のアッパーカットをオーガゾンビの顎に叩き込んだ。
オーガゾンビの下顎が真下から打たれて上顎に激突する。
ガゴンっと派手な音が鳴った。
強制的に上を向かされたオーガゾンビの背筋が伸び上がる。
そして、体の筋が延びきっているオーガゾンビの片膝に俺は下段前蹴りを叩き込んだ。
『そりゃ!!』
「がっ!!」
流石の巨漢も身が延びきっているところに膝関節を蹴られたら倒れるしかなかったのだろう。
バランスを崩して背中からダウンした。
そこに俺は大ジャンプから飛び込んだ。
オーガゾンビの顔面に全体重を乗せたニードロップを打ち落とす。
するとガンガンと連続で二度音が鳴った。
顔面に膝がめり込んだ音と、その衝撃で後頭部を床に打ちつけた音である。
だが、それでありながらもオーガゾンビは動きが止まらない。
素早く俺の腕を掴んで横に振るった。
俺は力任せに床に叩きつけられる。
『野郎っ!!』
だが、俺は直ぐに立ち上がった。
オーガゾンビもノロノロと立ちあがろうとしている。
どうやら膝を蹴ったが移動不能な破壊までは達していないようだ。
それでもオーガゾンビの動きは遅かった。
『今だっ!』
俺はオーガゾンビが片膝立ちのところに飛び掛かる。
オーガゾンビの片膝を踏み台に跳躍を重ねて勢いを乗せるとオーガゾンビの顔面に膝蹴りを打ち込んだ。
『シャイニングウィザードだっ!!』
今度は膝から暗器の刃を出しての攻撃である。
そして、膝の暗器刃がオーガゾンビの眉間を突き刺していた。
しかし、傷は浅いようだ。
俺はオーガゾンビに両手で左右から挟まれるように掴まれた。
凄いパワーである。
力で外せない。
『こなくそっ!!』
だが俺は、素早く腕から暗器ブレードを引き出すとオーガゾンビの額に振り下ろす。
ズブリと音を立てて暗器ブレードがオーガゾンビの額を貫いた。
すると俺の体を掴んでいたオーガゾンビの手も力無く落ちた。
そのままオーガゾンビは女の子座りの体制で動かなくなる。
『残るは一体っ!』
俺は暗器ブレードをオーガゾンビの額から引き抜くと体を蹴飛ばした。
機能を停止したオーガゾンビが背中から倒れる。
その向こうに最後のオーガゾンビが見えた。
俺は逆腕の暗器ブレードと両膝の暗器刃を出すと最後のオーガゾンビに向かって悠々と歩み出す。
『さてさて、さっさと片付けて、クレアのご褒美キッスを頂こうかな~。楽しみだな~』
俺が歩いて距離を詰めるとオーガゾンビから攻めてきた。
左手を張り手のように振るってくる。
右腕を大きく横に振るった張り手を屈んで躱した俺は、回避と同時に下段廻し蹴りでオーガゾンビの膝を蹴り飛ばした。
だが、まるで丸太を蹴飛ばしたような衝撃が俺に返ってくる。
俺の下段廻し蹴りは効いていない。
その程度の威力ではオーガゾンビは揺らがない。
今度はオーガゾンビが縦に張り手を振るい落としてきた。
俺は片足の踵を軸に体を反らすと暗器ブレードをアッパー気味に振るう。
その一振りでオーガゾンビが振るった張り手の指が四本切断された。
ボトボトと落ちた指が床に転がる。
『そりゃ!』
今度は俺の上段廻し蹴り。
超接近の距離から繰り出した上段廻し蹴りは、俺の頭より高い位置にあったオーガゾンビの頬を横から蹴り飛ばしていた。
その強打でオーガゾンビが片膝をついた。
『もう一丁、蹴飛ばしてやるぜ!!』
俺はジャンプしてからオーガゾンビの顔面を狙って前蹴りを繰り出した。
そして、俺の踵がオーガゾンビの顔面に接触した刹那である。
『点火っ!!』
チュドーーーンっと爆音を響かせて俺の飛び蹴りが爆発した。
足の裏にも地雷魔法陣をセットしておいたのだ。
俺は飛び蹴りを繰り出した勢いと爆発の威力に2メートルほど後方に飛ばされる。
『どうだ、名付けて爆発脚だ!』
手だけじゃない、足も爆発するなんて、これってイケてるだろうさ。
とにかくだ、使えるかどうかを試して見たかったのだ。
そして、片膝立ちのオーガゾンビは顔面が焼け焦げて白い煙を上げていた。
だが、片膝立ちから体を起こしたオーガゾンビは両足で立ち上がる。
『まだ動けるのか……。火力が低かったのね』
顔面から煙を上げるオーガゾンビがこちらに向かって進んでくる。
ゾンビナイトは暗器爆弾の一発で倒せたが、オーガゾンビは一発で片付けられなかったようだ。
『まあ、体のサイズが倍なんだ。並みの火力じゃあ利かなくてもしゃあないか~』
言うなり俺は全速力でォーガゾンビに向かって走り迫った。
そして再びジャンプで接近すると、オーガゾンビの顔面に両手を近付ける。
『ダブル点火っ!!』
ドンドンっと爆音がほぼ同時の二連で轟いた。
両手の爆弾を同時に爆発させたのだ。
その爆破で俺の体が3メートルほど跳ね飛んだ。
流石に自分の体に響く衝撃も凄かったが、威力も倍だった。
今度の二連爆発を食らったオーガゾンビの体が後ろに倒れる。
俺は着地してからガッツポーズを決めた。
『今度はやっただろう!』
顔面から煙を上げるオーガゾンビは倒れたまま動かなかった。
その表情は煙で見えない。
『オーガゾンビでも二発同時は耐えられないってわけか~』
これで終わりである。
生きていたオーガ、それにオーガゾンビともに壊滅達成である。
ミッションの終了だ。
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