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【変態ゴレてん】変態少年が異世界に転生してゴーレムになったから魔改造を施したけれど変態は治りませんでした。追伸、ゴーレムでも変態でも女の子にモテたいです。

ヒィッツカラルド

第21話【新技の勝利】

両腕で豊満な胸を抱えるクレアが洞窟ハウスのほうに駆け寄った。

戦いに巻き込まれないように安全な場所に移動したのだろう。

向かい合う漢は俺とアイツ。

リーゼントヘアーの冒険者、グフザクだ。

グフザクの装備は軽さを重視した革鎧である。

武器は青白く輝く二つのダガーだ。

そのダガーを逆手に構えて俺を睨んでいる。

こいつも欲しているのだろう。

クレアのブラを装着する権利を──。

これは俺とて譲れない。

負けても譲れない権利だ。

だから何をしてでも勝つつもりである。

おそらく眼前のリーゼント野郎も同感だろう。

童貞の俺が美女のブラを選んで付けれる。

そんなミラクルチャンスはこの先来ないかも知れないイベントだ。

だから譲れないのだ。

負けられないのだ。

死んでも勝ちたいのだ。

負けても勝ちたいのだ。

俺は両拳を握り締めると眼前に並べた。

脇を閉めて小さく構える。

相手はスピードを生かした攻撃を仕掛けてくるタイプだ。

カチッと鳴ってから光速ダッシュで攻めてくる。

そのダッシュは明らかに魔法で強化された動きだ。

敏捷度8の俺にはキツイ相手である。

だが、仕掛けは悟れていた。

あのカチッて言う音がスタートの合図だ。

ダッシュする直前に必ず音が鳴る。

だから来る瞬間が分かる。

音の正体も何となく悟れている。

逆手に持たれた二本のダガー。

あれがマジックアイテムの正体だろう。

逆手に持たれたダガーの柄尻がスイッチになっている。

親指でボールペンのように押すとカチッと音が鳴っているから間違いないだろうさ。

しかし、問題は、種と仕掛けが分かっていても相手の速度に俺がついて行けないことである。

それが大問題だ。

そこを打開しなければなるまい。

グフザクが言う。

「コンパクトに構えたからって俺の速度に対抗できると思うたか、ゴーレム野郎」

『やってみなけりゃあ分からんだろ、ダサダサリーゼント野郎が!』

「誰がダサダサだ。この格好良いヘアースタイルが分からねえか!!」

『分かるか。こっちとらあ髪の毛もないツルッパゲだぞ』

「毛根が死んだのか?」

「産まれつきだ。ゴーレムになんか産まれなければ、今ごろフッサフサだったはずだわい!!』

「なんとも哀れだな!」

刹那、カチッと音が鳴る。

するとグフザクが瞬速のダッシュで攻めてくる。

グフザクが5メートルあった距離を瞬時に詰めた。

詰めただけじゃあない。

俺の脇腹をダガーで切り付ける。

そしてダガーが俺の木の肌を僅かに裂いた。

浅い。

ダガーでは俺の体を切り裂くだけの破壊力が足りないのだ。

せいぜい削るのがやっとだ。

『ふっ!!』

俺の反撃。

打ち下ろしのストレートパンチがグフザクの頭を狙う。

だが、カチッと音を鳴らすとグフザクが間合いの外に逃げて行く。

ヒットアンドアウェイがウザったい。

打って逃げる。

このアウトボクサースタイルの戦術が俺に取って難敵だった。

「一撃で決められないなら、小まめに削り取ってやるぜ!」

言ったグフザクが再びカチッとダッシュしてくる。

今度は俺の横を過ぎるようにダッシュした。

そして交差する瞬間にダガーで俺の腕を切り付けた。

俺の肘に切り傷が刻まれる。

更にカチッと鳴ると背後をダッシュで駆け抜ける。

俺の背中をダガーの刃がなぞった。

傷の深さは浅いが、いずれは来るだろう破綻。

樵が大木を切り倒すのだって同じだ。

斧の一振りで大木は切り倒せない。

大木を切り倒すには何度も斧を打ち込まなければならない。

徐々に切り口を広げて、いずれは大木を切り倒せる。

小さなダメージでも積み重ねれば大木だって切り倒せるのだ。

だから、ダガーの小攻撃でもいずれは俺の体を破壊できるはずだ。

それにウォーハンマーで罅割れた肩から胸に掛けては弱点だ。

グフザクもそこを狙って来るだろう。

故にスピードと手数で負けている。

だが、パワーだけなら俺が勝っている。

一発大きな一撃が決まれば勝利の女神も俺のほうに振り向くだろうさ。

その一撃が俺には望まれていた。

それでもグフザクが、その一撃を食らうほど間抜けには思えない。

俺が勝つには、どうやって初弾をヒットさせるかだ。

「おらおらおら~、足が止まってるぜぇ!!」

グフザクがカチカチ言いながら光速ダッシュで俺の周囲を回っていた。

移動と攻撃を繰り返す。

痛くはないが、ダガーがヒットする度にダメージが蓄積していくのが感じられた。

体の間接がぐらつきだす。

「そらそらそらっ!!」

畜生が……。

調子に乗りやがって……。

『とらっ!!』

俺は反撃のローキックを放った。

足を打って機動力を奪う作戦だ。

だが、グフザクは軽いジャンプで俺の脛足を回避する。

ローキックすら当たる隙は見当たらない。

「健を絶つ!!」

グフザクは俺の踵や膝裏、膝や肩を集中して切り付けてきた。

間接の部位を狙ってやがるんだ。

「クソッ……」

ジョイント部分を狙われて動きが更に鈍くなってきた。

これは案外と的確な攻撃かも知れない。

不味いな……。

あまり使いたくない作戦なのだが、やるしかないか……。

ここはボーナスポイントに頼る。

新らしいスキルを獲得してピンチを打開する。

今俺が取るべきスキルは、この前習得可能一覧に記載されたばかりのスキルだ。

問題はボーナスポイントが足りるかである。

この五人が攻めてくる前のポイント合計は164点だった。

それで暗視魔眼を取って100ポイント減って、残り64ポイントになっているはずだ。

そして、どんなスキルを取るにしろ、最初は100ポイント掛かる。

だが、今俺は何ポイント貯まっているかが分からない。

冒険者を三人倒しているから初期の64ポイント以上なのは間違いない。

三人倒して36ポイント以上稼げていたのなら、新スキルが取れるはずなのだ。

「おらおらおら、足が完全に止まっていやがるぞ!!」

チマチマと攻撃を繰り返すグフザク。

俺の体にダガーが連続でヒットする音が響く。

賭けるしかない。

ボーナスポイントが100点を越えていることに賭けるしかない。

『取るぜ、掴取技を!!」

「えっ?」

【新スキル、掴取技Lv1を獲得しました】

よし。獲得できたぞ!!

俺はスススッと手を伸ばした。

その掌は流れるように進むと、自然な形でグフザクの奥襟を掴んでいた。

キャッチ。

「えっ、ウソ……。掴まれた……」

そうである。

俺が獲得したスキルは掴むだけのスキルだ。

ただ掴む。

それだけのスキルだが、剣を当てるように、拳を当てるように、掴みを当てるスキルである。

柔道やらレスリングでは、必勝に繋がるスキルであった。

しかも、ただ掴むだけではない。

「くそっ、放せやっ!!」

グフザクがダガーで俺の腕を何度も切り付けた。

だが、いくら斬打を受けても俺は手を放さない。

強く掴んで逃がさない。

このスキルは、スマートに相手を掴み取るだけのスキルじゃあない。

掴んで放さないことが大切なスキルである。

だから握力が物を言う。

握力強化Lv2を有している俺にはベストなスキルである。

『も~~う、逃がさないぜ~』

「ぐぐぅ……」

そう、もう逃がさない。

そう、もう放さないのだ。

だから光速移動も出来ない。

俺に奥襟を掴まれて固定されているグフザクの表情が青ざめる。

掴まれた奥襟が外せないからだ。

その表情を拝みながら俺は拳を背後に振りかぶった。

剛力を腕に流す。

『く~ら~え~!!』

そこからのフルスイングボディーブロー。

奥襟を引き寄せながら俺の木製パンチがグフザクの鳩尾を強打した。

俺のパンチは革鎧程度で防げる威力じゃあない。

この一撃で内蔵が捻れるほどのダメージだろうさ。

「ぐはっ!!!!」

腹を殴られたグフザクが目を剥いて大きく口を開けた。

涎を垂らすと腹部を押さえながら背を丸める。

更にもう一度俺は拳を振りかぶった。

『今度はアッパーカットだ!!』

俺は予告通り大振りのアッパーカットをグフザクの顔面に打ち込んだ。

下から上に突き上げるように拳を力強く振り切った。

そして、拳がヒットする瞬間に掴み手を放す。

するとアッパーカットの威力にグフザクの体が風車のようにグルリと回転しながら宙を舞った。

一回、二回、三回。

三回転してから落下した。

そのままグフザクの後頭部が地面に激突する。

一人バックドロップ状態だ。

その体勢のままく負ザクは動かなくなった。

気絶している。

『勝ったぜ!!』

俺は勝利を確信した。

そして、勝利宣言の拳を威勢良く天に突き立てる。

『これでクレアのブラを着ける権利は俺の物だ!!』



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