【変態ゴレてん】変態少年が異世界に転生してゴーレムになったから魔改造を施したけれど変態は治りませんでした。追伸、ゴーレムでも変態でも女の子にモテたいです。

ヒィッツカラルド

第2話【転生の社日】

物語を少し巻き戻して語りだそう。

数日前、転生初日である。

俺が目を覚ますと、そこは薄暗い部屋だった。

音は無く静かな部屋は石作で少し埃っぽい。

空気が乾燥している長細い部屋だった。

部屋には窓が無い。

扉がひとつ有るだけだ。

そして、室内は散らかっていた。

何やら不恰好な人形が壁際に数体ほど並んで立っている。

身長1メートルから2メートルと様々だ。

マネキンか?

違うな。

フレームがかなり雑である。

てか、あれは少林寺の木人じゃあねえか?

小さな頃に映画で観たことがあるぞ。

丸太のような頭に、丸太のような身体。

手足も丸太な棒だ。

手は指も無く木球状態だ。

木偶人形だな。

そんな木人が壁際両サイドに並んで立っている。

中には手足が崩れて倒れている木人もある。

俺は、その列に並んで立っていた。

『なんだ、この木人は……?』

俺は隣の木人を触ろうと手を伸ばした。

すると俺の手が木人に当たり「カツンっ」と音を鳴らした。

その音は木と木がぶつかり合うような硬くて鈍い音である。

『なんだ……?』

俺は首を傾げる。

俺の視界に入った俺の手に大きな違和感が見て取れた。

一瞬、自分の目を疑う。

『俺の手、丸くない……?』

俺の手に指が無い。

木の玉だ。

ウッドボールだ。

俺は自分の手と、隣に立つ木人の手を見比べた。

『同じだ……』

同じである。

壁際に並ぶ木人たちと、俺の手は同じ形をしている。

未来からやってきた猫型ロボットもビックリするほどに丸いのだ。

『マジやべぇ~、これって……』

念のために脚も比べてみた。

同じ丸太のような不恰好な脚である。

俺も、木人も、不恰好である。

──っと、言うことは……。

俺は、もしかして、木人なのか……?

『いやいやいや、ちょっとまて!』

俺は木人なのか!?

木人だよね!?

いや、木人なんかじゃないぞ!

俺は人間のはずだ!

俺は目覚める前の記憶を辿る。

しかし、いまいちはっきり思い出せない。

だが、俺の朧気な記憶には田舎の高校を卒業して隣町の会社に就職したけど、そこがブラック企業で三ヶ月ともたずに退社して、ぶらぶらしていたけれどお金が尽きたから実家に帰る事になったんだけど、最後にこの街で想い出を作ろうと風俗で童貞を筆下ろししちゃおうかな~って思って夜の町に飛び出した直後にお爺ちゃんが運転するトラックに牽かれたところまでは覚えているのだが、その後が霧に包まれたかのようにはっきりとは思い出せないでいた。

いや、結構覚えているほうだな……。

まあ、要するに、一言で述べれば、たぶん死んだのだ。

しかも、童貞のまま……。

その死んだ俺が、何故にここに居るのだ?

しかも、状況を見るからにお粗末な作りの木人になっている。

何故だ?

わからん……。

やっぱり、わからん……。

そして閃いた。

『もしかして、これは転生なのか……?』

俺は木人に転生したのかな?

しかもこれでは転生失敗だよな?

ハズレか?

ハズレなのか?

そりゃあね~だろ~…。

酷い、あんまりだ~……。

前世で俺は極悪非道な偽善者野郎だったから転生して罰でも受けているのかな?

いや、俺は善人だ。

悪い事のひとつも出来ない善人だったはず。

だからこれはきっと何かの間違いだ。

何かの誤解だ。

どうせ異世界に転生するならイケメン確約のハーレム最強チートな極楽モテモテ大冒険を希望したい。

それが真面目で謙虚な若者の願望だよね。

それだけの盛り沢山な設定なら魔王だって勇者だって倒してやるぞ。

だが、違う。

木人だ……。

よし、責任者を探しだしてクレームを付けてやる。

チェンジだ、チェンジ!

そして俺が薄暗い部屋を見回せば、木人たちが並ぶ先に扉がひとつある。

俺は扉の前までカツカツと足音を鳴らしながら歩いた。

それから扉のノブに手を伸ばす。

『あっ……』

ドアノブが握れない。

だって、指が無いんだもの。

両手がウッドボールなんだもの。

これではドアノブが回せない。

扉を開けられないぞ……。

ちょっと頑張ってみて両手でトアノブを回してみる。

でも、ウッドボールな両手ではドアノブは回せなかった。

猫型ロボットはドアだって襖だって難無く開けられるのに……。

に、しても──。

これ、不便だな。

マジで扉が開けられないぞ。

困ったな……。

室内を見回したが他に出入り口も窓も無い。

俺は閉じ込められてるのかな?

俺がどうしたものかと考えながら何気無く扉を押すと、ドアが押されてスススっと開いた。

押戸だ……。

畜生……。

まあ、ラッキーって事で……。

扉を開けて俺が部屋を出ると、そこは廊下だっだ。

石作の廊下を少し進むと上りの階段が見えてくる。

俺は階段を上って行った。

階段の天井に両開きの鉄扉があったので、丸太の頭を使ってなんとか押して開いた。

すると地上に出る。

どうやら俺は地下室に居たようだ。

時間は夜なのか周囲は暗い、

空を見上げれば星と月が輝いて見えていた。

目の前には木々に囲まれた館があった。

三階建ての大きな館だ。

しかし、周囲は暗く夜のようだが館には明かりが見えない。

住人は寝ているのかな?

それとも無人なのかな?

俺はとりあえず館に足を進めた。

真っ直ぐ進むと裏口っぽい扉が開いていた。

その横に洗濯物が干してある。

しかも、女性の下着がヒラヒラと干されていた。

ブラックのスケスケセクシーランジェリーなパンツだ。

『こ、これは!!』

お宝発見!!

三角な財宝だぜぇ~!!

ラッキー!!



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