【変態ゴレてん】変態少年が異世界に転生してゴーレムになったから魔改造を施したけれど変態は治りませんでした。追伸、ゴーレムでも変態でも女の子にモテたいです。
第18話【木偶の戦士】
時間帯は夜である。森の中から空を見上げれば、崖の上に三日月が美しく伺えた。その周りを飾るように眩い星々しが輝いている。
しかし、もっとも美しいのはクレアであろう。森の中に流れる夜風で長く灰色の美しい銀髪が、細い腰元で揺れていた。その下に窺えるタイトスカート越しのヒップが堪らない。
そして、洞窟ハウス前の広場に五人の冒険者が来訪していた。武装した荒々しい連中だ。
顔付きは全員強面。身なりも完全武装で物々しい。フルプレートの野郎まで居る。真夜中に他人の自宅まで訪ねて来るなんて迷惑な連中であった。
前衛のリーダーらしき軽戦士はリーゼントのロカビリー風だった。ダガーを二刀流に構えて俺とクレアを睨んでいる。
その軽戦士を中心に他の冒険者がフォーメーションを築いていた。たぶん、リーゼント野郎が、このパーティーのリーダーだろう。
リーゼント軽戦士の左右に並ぶは重戦士が二人。一人は戦斧を持ち、上半身だけプレートメイルを着込み、牛の角が装飾されたヘルムを被っている。
もう一人の重戦士は更に重々しい装備だった。全身甲冑でガッチガチのフルプレートを身に纏い、両手には鋼鉄のウォーハンマーを持っている。
更に二人――。
リーダー風の軽戦士の斜め右後ろにショートボウを構えた弓兵。更に四人の後方にとんがり帽子を被ったローブの魔法使いのおっさんが長い木のスタッフを構えながら控えていた。
五人対二人の勝負だ。
あちらさんはやる気満々だな。夜更けに人の迷惑も考えずに家にまで押し掛けるのだ。ただのスゲ~迷惑な連中である。
俺とクレアのラブラブな一晩を邪魔しやがってよ。ならば受けて立たなければなるまい。ぶっ倒してやる。
リーダー各の軽戦士が仲間に指示を出す。
「ゾゴックス、ドアッガイ。お前ら二人にゴーレムは任せるぞ。俺とビグロール、それにザクレレロでダークエルフを狩る」
「了解だぜ、グフザクっ!」
どうやら敵の割り振りが決まったらしい。すると重戦士たち二人が俺に向かって走り出す。俺とクレアも敵に向かって走り出した。
対戦カードは、俺が重戦士二人を相手にして、クレアが軽戦士二人と魔法使いを相手に戦う。
「はあッ!」
一人速度が違うクレアが高い跳躍で重戦士たちの頭を飛び越える。靭やかなプロポーションが宙を舞う。美しい長髪が夜空に靡いていた。
彼女も重戦士二人を俺に任せる気なのだろう。要するに、俺ならこの重戦士二人に勝てるとクレアも見込んでいるのだ。その信頼に応えたい。
『ならば、やってやるさ!!』
「うらぁぁあああ!!」
先陣を切って迫り来る牛ヘルムの重戦士が戦斧を振りかぶり俺に向かって走り迫る。戦斧の重戦士は走り迫る俺にタイミングを合わせた強打をぶち込むつもりだろう。
ならば俺はカウンター狙いだな。一撃で決めてやる。
「砕け散れ、ゴーレム!!」
タイミングを合わせた戦斧の一振りだった。
だが──。
ピタリ。
スカリ。
「あれっ……」
『ニヤリ!』
両者突進する中で振られた戦斧が空振った。そのまま足元の地面に刀身が突き刺さる。俺が直前でピタリと停止したからだ。
『そりゃ!』
そして戦斧を空振った重戦士の顔面に上段廻し蹴りを打ち込んでやる。森の中にガンっと鈍い音が響いた。
俺の蹴りで重戦士が被っていた牛角のヘルムが脱げて宙を舞う。
「がぁっ!!!」
顔を晒した重戦士の視界が激しい衝撃に揺れる。明らかに目が回っているのが見て取れた。
『どうでぇい!』
俺に頬を蹴られた重戦士が遥か遠くを眺めていた。遥か遥か遠くの故郷を朧気に見ている。右目と左目が、別方向を向いていた。
そりゃあ木の棍棒で殴られたのと同じ衝撃だろうからな。目を回して脳震盪だって引き起こすさ。
すると戦斧の重戦士は体を斜めに崩してダウンした。それっきりピクリとも動かない。
後ろのフルプレートの重戦士が叫ぶ。
「このゴーレム、初弾のタイミングをずらしたぞ。しかも蹴り技だと!?」
俺も少しは傀儡学を学んでいる。だから他人の思い込みを利用したのだ。
この世界のゴーレムは単純な思考しか有していない。出来の悪い旧世界のロボットと同じだ。
敵を見つけたら猪突猛進に襲いかかり、真っ直ぐ殴り掛かるだけだ。
何も考えない、策しない、タイミングも図らない。フェイントも無ければテクニックも有していない。だって、脳味噌が無いんだもの。AIすら搭載していないだろう。
だからゴーレムはカウンターを取られやすい。馬鹿だからな。
故に俺は、それを逆手に取ったのだ。
俺に頭を蹴られた重戦士も考えたはずだ。ゴーレム相手なら初弾でカウンターが容易く取れるはずだと──。
だからこそ突進し合う中で初弾のタイミングを合わせて戦斧を全力で振るったのだろう。
だが、俺は普通のゴーレムじゃあない。静止してタイミングをずらした。フェイントだ。策したのである。
更に上段廻し蹴りなんて言う普通のゴーレムが使うはずのない蹴り技で、更なる不意を突いた。
相手からしたら、予想外の上を行く予想外だったであろう。
結果、一撃でKOだ。
小説、空手道馬鹿百段を読んで空手技を修得したかいがあったってものだぜ。俺的には必殺技が決まって気持ちよかった。スカッとしたぜ。
俺はもう一人のフルプレートの重戦士に言ってやる。
『どうだい、俺の廻し蹴りは華麗だっただろう?』
「き、貴様、ゴーレムなのにしゃべるのか!?」
フルプレートの重戦士が驚いていた。しゃべるゴーレムを見るのは初めてなのだろう。俺を睨みつけながら目を剥いていた。
俺は身体の健を伸ばすように身体を左右に捻りながら言ってやる。
『こっちとら~、普通じゃあなくてね』
身体の健を伸ばすのは、生前の癖である。本当はコリなんて感じていない。まあ、威嚇の意味も有るので良いだろう。
「珍しいな。だが、その頭を砕いて二度としゃべれなくしてやるぞ!!」
フルプレートの重戦士が襲い来る。ウォーハンマーを大きく横に振るった。鎚頭が空振りブルンっと風が鳴る。俺は初弾を回避していた。
『長いな……』
武器のリーチが広い。いや、素手である俺のリーチが短いんだ。家の中からショートソードぐらい持って来るべきだったぜ。
クレアを犯すとか言われてカッカして飛び出したのが過ちだった。まあ、ドンマイであろう。
「おら〜、おら〜、おら〜!!」
重戦士はウォーハンマーを左右に振るって俺との間合いを安定させている。当然ながら距離を保って攻めてくる。
だが、これでは拉致があかんぞ。回避に専念しているだけでは勝負に勝てない。
俺は攻撃を食らうのを覚悟して前に出た。
「そらっ!」
『ふぬっ!』
俺の横腹にウォーハンマーがヒットした。バギっと鈍い音が俺の脇腹から響く。
流石はヘビーウェポンの一撃である。痛みこそは感じない俺だが、衝撃が頭まで伝わり視界を揺らした。
「なにっ!?」
『甘いぜ!』
しかし、俺はウォーハンマーを抱えるように掴んで逃がさない。
『つ〜かま〜えた〜♡』
「貴様、痛みはないのか!?」
『ぜんぜん痛くないもんね~』
俺は痛くない。何せ痛覚無効だもんね。
そして、間合いは俺の射程だ。素手が届く距離である。攻撃のチャンスである。
『脚っ!』
まず俺は重戦士の片足を狙った下段前蹴りを放つ。俺の踵が重戦士の膝を蹴り飛ばした。フルプレートの膝当てが変形して減り込む。
「ぬぬぅ!!」
その衝撃で重戦士の片膝が真っ直ぐに延びて後方によろめいた。しかし、倒れない。必死にバランスを保ち持ち堪える。
それでも体勢を崩した重戦士に大きく隙が生まれていた。立っているのがやっとのようである。
俺はウォーハンマーを解放すると素手の間合いから両手の拳を連打で繰り出した。
『シュ、シュ!!』
拳のワン・ツーが重戦士のヘルムを叩いて揺らす。顔面へのクリーンヒットだ。
更に――。
『連拳からの~、そらっ!!』
続いて中段廻し蹴りを甲冑の脇腹に叩き込んだ。
「ぐはっ!!!」
よし、俺の脛足が深く入ったぞ。
だが──。
「嘗めるな、デクがっ!!」
体を屈めていた重戦士が身を起こしてウォーハンマーを振り回す。
流石はフルプレートだな。防御力が高いぞ。この程度の打撃では決まらないようである。
『ぬっ!!』
俺はその一振りを肩に食らい体を弾かれた。痛くなくても衝撃は感じられる。そして重心が揺らぐ。無痛でも支えられる衝撃に限度はあるようだ。
更に重戦士の追撃が続く。
「頭を砕くっ!!」
重戦士が高く頭上にウォーハンマーを振り上げた。必殺を狙っているのだろう。
それでも俺は怯まず前に出た。恐れるに足らない。男は根性である。
『なんのっ!』
そこにウォーハンマーが振り下ろされる。
直撃!
ドガリっと俺の腰が沈んだ。攻撃を食らった。右肩にウォーハンマーの鎚頭がめり込んでいた。
そして、俺の半身に稲妻のような亀裂がバキバキと走る。ちょっとヤバいかも……。
だが、俺は止まらない。
片手を伸ばして重戦士の肩を右手で掴んで引き寄せた。
「この野郎、まだ動けるのか!?」
『この程度で止まってられるかってんだ!!』
俺は素早く左手を重戦士の股間に忍び込ませた。そして肩と股を掴んで重戦士の重い体を持ち上げる。
筋力18の俺だ。フルプレートを着込んだ野郎でも難無く持ち上げられるだろうさ。
『う~~ら!!』
「おおうっ!?」
そして、重戦士を持ち上げてからクルリと相手の体を回転させた。重戦士の足を上に、頭を下に向きを変える。更に体を反らして振りかぶる。
『ボディースラムだっ!!』
俺は全力のスイングで重戦士を背中から地面に叩き付けてやった。ドゴンっと大地が揺れる。
「がはっ!!」
背中から地面に叩き付けられた重戦士が海老反りながら跳ね上がった。既に白目を向いている。そして、ワンバウンドしてから再び地面に転がった。
それっきり重戦士は痙攣しているだけで動かなくなる。プロレスの繋ぎ技でも、地面は生土だ。ボディースラム一発でもKOは可能だろうさ。
『どうだ、このクソ野郎が!!』
俺は悪態を付いてからダウンしている重戦士のヘルムを外して面を拝んだ。
重戦士は白目をむいて口をパクパクさせている。まるで餌をねだる池の鯉のように見えた。
『よし、これで二人を撃破だ……』
だが、俺の体にもダメージが見て取れた。左肩から胸に掛けて大きな亀裂が走っている。見えないが、おそらく腰にも亀裂があるだろう。動くとキイキイ鈍い音がしているもんな。
『ちっ……』
無傷の勝利ってわけではなかった。痛みがないのが救いである。
そして、俺がクレアのほうを確認したら、まだ彼女は戦っていた。
だが、魔法使いはうつ伏せで倒れている。何があったか知らんがクレアに倒されたのだろうさ。
これで二対二だ。ならば、五分五分以上だ。たぶん、こちらの優勢であろう。
しかし、もっとも美しいのはクレアであろう。森の中に流れる夜風で長く灰色の美しい銀髪が、細い腰元で揺れていた。その下に窺えるタイトスカート越しのヒップが堪らない。
そして、洞窟ハウス前の広場に五人の冒険者が来訪していた。武装した荒々しい連中だ。
顔付きは全員強面。身なりも完全武装で物々しい。フルプレートの野郎まで居る。真夜中に他人の自宅まで訪ねて来るなんて迷惑な連中であった。
前衛のリーダーらしき軽戦士はリーゼントのロカビリー風だった。ダガーを二刀流に構えて俺とクレアを睨んでいる。
その軽戦士を中心に他の冒険者がフォーメーションを築いていた。たぶん、リーゼント野郎が、このパーティーのリーダーだろう。
リーゼント軽戦士の左右に並ぶは重戦士が二人。一人は戦斧を持ち、上半身だけプレートメイルを着込み、牛の角が装飾されたヘルムを被っている。
もう一人の重戦士は更に重々しい装備だった。全身甲冑でガッチガチのフルプレートを身に纏い、両手には鋼鉄のウォーハンマーを持っている。
更に二人――。
リーダー風の軽戦士の斜め右後ろにショートボウを構えた弓兵。更に四人の後方にとんがり帽子を被ったローブの魔法使いのおっさんが長い木のスタッフを構えながら控えていた。
五人対二人の勝負だ。
あちらさんはやる気満々だな。夜更けに人の迷惑も考えずに家にまで押し掛けるのだ。ただのスゲ~迷惑な連中である。
俺とクレアのラブラブな一晩を邪魔しやがってよ。ならば受けて立たなければなるまい。ぶっ倒してやる。
リーダー各の軽戦士が仲間に指示を出す。
「ゾゴックス、ドアッガイ。お前ら二人にゴーレムは任せるぞ。俺とビグロール、それにザクレレロでダークエルフを狩る」
「了解だぜ、グフザクっ!」
どうやら敵の割り振りが決まったらしい。すると重戦士たち二人が俺に向かって走り出す。俺とクレアも敵に向かって走り出した。
対戦カードは、俺が重戦士二人を相手にして、クレアが軽戦士二人と魔法使いを相手に戦う。
「はあッ!」
一人速度が違うクレアが高い跳躍で重戦士たちの頭を飛び越える。靭やかなプロポーションが宙を舞う。美しい長髪が夜空に靡いていた。
彼女も重戦士二人を俺に任せる気なのだろう。要するに、俺ならこの重戦士二人に勝てるとクレアも見込んでいるのだ。その信頼に応えたい。
『ならば、やってやるさ!!』
「うらぁぁあああ!!」
先陣を切って迫り来る牛ヘルムの重戦士が戦斧を振りかぶり俺に向かって走り迫る。戦斧の重戦士は走り迫る俺にタイミングを合わせた強打をぶち込むつもりだろう。
ならば俺はカウンター狙いだな。一撃で決めてやる。
「砕け散れ、ゴーレム!!」
タイミングを合わせた戦斧の一振りだった。
だが──。
ピタリ。
スカリ。
「あれっ……」
『ニヤリ!』
両者突進する中で振られた戦斧が空振った。そのまま足元の地面に刀身が突き刺さる。俺が直前でピタリと停止したからだ。
『そりゃ!』
そして戦斧を空振った重戦士の顔面に上段廻し蹴りを打ち込んでやる。森の中にガンっと鈍い音が響いた。
俺の蹴りで重戦士が被っていた牛角のヘルムが脱げて宙を舞う。
「がぁっ!!!」
顔を晒した重戦士の視界が激しい衝撃に揺れる。明らかに目が回っているのが見て取れた。
『どうでぇい!』
俺に頬を蹴られた重戦士が遥か遠くを眺めていた。遥か遥か遠くの故郷を朧気に見ている。右目と左目が、別方向を向いていた。
そりゃあ木の棍棒で殴られたのと同じ衝撃だろうからな。目を回して脳震盪だって引き起こすさ。
すると戦斧の重戦士は体を斜めに崩してダウンした。それっきりピクリとも動かない。
後ろのフルプレートの重戦士が叫ぶ。
「このゴーレム、初弾のタイミングをずらしたぞ。しかも蹴り技だと!?」
俺も少しは傀儡学を学んでいる。だから他人の思い込みを利用したのだ。
この世界のゴーレムは単純な思考しか有していない。出来の悪い旧世界のロボットと同じだ。
敵を見つけたら猪突猛進に襲いかかり、真っ直ぐ殴り掛かるだけだ。
何も考えない、策しない、タイミングも図らない。フェイントも無ければテクニックも有していない。だって、脳味噌が無いんだもの。AIすら搭載していないだろう。
だからゴーレムはカウンターを取られやすい。馬鹿だからな。
故に俺は、それを逆手に取ったのだ。
俺に頭を蹴られた重戦士も考えたはずだ。ゴーレム相手なら初弾でカウンターが容易く取れるはずだと──。
だからこそ突進し合う中で初弾のタイミングを合わせて戦斧を全力で振るったのだろう。
だが、俺は普通のゴーレムじゃあない。静止してタイミングをずらした。フェイントだ。策したのである。
更に上段廻し蹴りなんて言う普通のゴーレムが使うはずのない蹴り技で、更なる不意を突いた。
相手からしたら、予想外の上を行く予想外だったであろう。
結果、一撃でKOだ。
小説、空手道馬鹿百段を読んで空手技を修得したかいがあったってものだぜ。俺的には必殺技が決まって気持ちよかった。スカッとしたぜ。
俺はもう一人のフルプレートの重戦士に言ってやる。
『どうだい、俺の廻し蹴りは華麗だっただろう?』
「き、貴様、ゴーレムなのにしゃべるのか!?」
フルプレートの重戦士が驚いていた。しゃべるゴーレムを見るのは初めてなのだろう。俺を睨みつけながら目を剥いていた。
俺は身体の健を伸ばすように身体を左右に捻りながら言ってやる。
『こっちとら~、普通じゃあなくてね』
身体の健を伸ばすのは、生前の癖である。本当はコリなんて感じていない。まあ、威嚇の意味も有るので良いだろう。
「珍しいな。だが、その頭を砕いて二度としゃべれなくしてやるぞ!!」
フルプレートの重戦士が襲い来る。ウォーハンマーを大きく横に振るった。鎚頭が空振りブルンっと風が鳴る。俺は初弾を回避していた。
『長いな……』
武器のリーチが広い。いや、素手である俺のリーチが短いんだ。家の中からショートソードぐらい持って来るべきだったぜ。
クレアを犯すとか言われてカッカして飛び出したのが過ちだった。まあ、ドンマイであろう。
「おら〜、おら〜、おら〜!!」
重戦士はウォーハンマーを左右に振るって俺との間合いを安定させている。当然ながら距離を保って攻めてくる。
だが、これでは拉致があかんぞ。回避に専念しているだけでは勝負に勝てない。
俺は攻撃を食らうのを覚悟して前に出た。
「そらっ!」
『ふぬっ!』
俺の横腹にウォーハンマーがヒットした。バギっと鈍い音が俺の脇腹から響く。
流石はヘビーウェポンの一撃である。痛みこそは感じない俺だが、衝撃が頭まで伝わり視界を揺らした。
「なにっ!?」
『甘いぜ!』
しかし、俺はウォーハンマーを抱えるように掴んで逃がさない。
『つ〜かま〜えた〜♡』
「貴様、痛みはないのか!?」
『ぜんぜん痛くないもんね~』
俺は痛くない。何せ痛覚無効だもんね。
そして、間合いは俺の射程だ。素手が届く距離である。攻撃のチャンスである。
『脚っ!』
まず俺は重戦士の片足を狙った下段前蹴りを放つ。俺の踵が重戦士の膝を蹴り飛ばした。フルプレートの膝当てが変形して減り込む。
「ぬぬぅ!!」
その衝撃で重戦士の片膝が真っ直ぐに延びて後方によろめいた。しかし、倒れない。必死にバランスを保ち持ち堪える。
それでも体勢を崩した重戦士に大きく隙が生まれていた。立っているのがやっとのようである。
俺はウォーハンマーを解放すると素手の間合いから両手の拳を連打で繰り出した。
『シュ、シュ!!』
拳のワン・ツーが重戦士のヘルムを叩いて揺らす。顔面へのクリーンヒットだ。
更に――。
『連拳からの~、そらっ!!』
続いて中段廻し蹴りを甲冑の脇腹に叩き込んだ。
「ぐはっ!!!」
よし、俺の脛足が深く入ったぞ。
だが──。
「嘗めるな、デクがっ!!」
体を屈めていた重戦士が身を起こしてウォーハンマーを振り回す。
流石はフルプレートだな。防御力が高いぞ。この程度の打撃では決まらないようである。
『ぬっ!!』
俺はその一振りを肩に食らい体を弾かれた。痛くなくても衝撃は感じられる。そして重心が揺らぐ。無痛でも支えられる衝撃に限度はあるようだ。
更に重戦士の追撃が続く。
「頭を砕くっ!!」
重戦士が高く頭上にウォーハンマーを振り上げた。必殺を狙っているのだろう。
それでも俺は怯まず前に出た。恐れるに足らない。男は根性である。
『なんのっ!』
そこにウォーハンマーが振り下ろされる。
直撃!
ドガリっと俺の腰が沈んだ。攻撃を食らった。右肩にウォーハンマーの鎚頭がめり込んでいた。
そして、俺の半身に稲妻のような亀裂がバキバキと走る。ちょっとヤバいかも……。
だが、俺は止まらない。
片手を伸ばして重戦士の肩を右手で掴んで引き寄せた。
「この野郎、まだ動けるのか!?」
『この程度で止まってられるかってんだ!!』
俺は素早く左手を重戦士の股間に忍び込ませた。そして肩と股を掴んで重戦士の重い体を持ち上げる。
筋力18の俺だ。フルプレートを着込んだ野郎でも難無く持ち上げられるだろうさ。
『う~~ら!!』
「おおうっ!?」
そして、重戦士を持ち上げてからクルリと相手の体を回転させた。重戦士の足を上に、頭を下に向きを変える。更に体を反らして振りかぶる。
『ボディースラムだっ!!』
俺は全力のスイングで重戦士を背中から地面に叩き付けてやった。ドゴンっと大地が揺れる。
「がはっ!!」
背中から地面に叩き付けられた重戦士が海老反りながら跳ね上がった。既に白目を向いている。そして、ワンバウンドしてから再び地面に転がった。
それっきり重戦士は痙攣しているだけで動かなくなる。プロレスの繋ぎ技でも、地面は生土だ。ボディースラム一発でもKOは可能だろうさ。
『どうだ、このクソ野郎が!!』
俺は悪態を付いてからダウンしている重戦士のヘルムを外して面を拝んだ。
重戦士は白目をむいて口をパクパクさせている。まるで餌をねだる池の鯉のように見えた。
『よし、これで二人を撃破だ……』
だが、俺の体にもダメージが見て取れた。左肩から胸に掛けて大きな亀裂が走っている。見えないが、おそらく腰にも亀裂があるだろう。動くとキイキイ鈍い音がしているもんな。
『ちっ……』
無傷の勝利ってわけではなかった。痛みがないのが救いである。
そして、俺がクレアのほうを確認したら、まだ彼女は戦っていた。
だが、魔法使いはうつ伏せで倒れている。何があったか知らんがクレアに倒されたのだろうさ。
これで二対二だ。ならば、五分五分以上だ。たぶん、こちらの優勢であろう。
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