私の世界がなんだかとてもおかしい?件

sono

百二十ニ話

ドクターマリから渡された一振りの日本刀。

「沖田さんの折れた刀を私と秋葉原商工会の皆さんが打ち直したの。もちろん私たちは刀鍛治じゃないから本来の刀の打ち方じゃないけどね。この打ち直した刀は、対サイボーグ用超電磁日本刀真打ち菊一文字よ!」

ドクターマリが長い説明をした。要はサイボーグに通用するように打ち直した菊一文字らしい。

「店員さん!これを沖田さんに投げてあげて!この刀がないとアイドルテロリストのマリア・タチバナに対抗できないわ!」

「え?投げるんでござるか?難しいでござるなぁ…」

鞘に収まってるとは言え、日本刀を沖田に投げてよこす提案をドクターマリにされた店員さん。

しかし、アイドルテロリストのマリア・タチバナの親衛隊がひしめきあってるこの状況で距離がある沖田の元に菊一文字を届けるのは至難の技だった。

「わかりましたでござる!不肖某がこの菊一文字を沖田殿に投げ届ける大役仰せつかったでござるよ!」

菊一文字を恭しく受け取った店員さん。そして、槍投げのような体制で菊一文字を掲げる。

「おりゃあああああ!沖田殿に届けでござるーーーーーーーー!!」

店員さんが渾身の力で、菊一文字を投げた!

放物線を描いて、菊一文字が空を駆ける。

「受け取って!沖田さん!」

投げてから言うのは、どうかと思うがドクターマリが叫んだ。

アイドルテロリストのマリア・タチバナに腕を掴まれ、熱放射攻撃にどうにか耐えていた沖田の元に、菊一文字が落ちてきた。

地上に落ちる前に、器用に沖田は菊一文字をキャッチした。

「させるかよ!」

マリア・タチバナは沖田の両腕に、以前に増して力を入れた。

これでは鞘が抜けない…。どうする沖田司…!?

「沖田さん!目釘あたりのスイッチを押して見て!!」

ドクターマリが沖田にアドバイスした。

目釘とは刀の持つ部分、鍔の少し下あたりの部位である。

沖田は指で確かめると、目釘あたりに少し出っ張ったスイッチらしきものがあった。

そこを押してみる沖田司。すると、すぽんと!鞘が勝手に抜けた!

「なん…だと…!?」

あまりに簡単に鞘が抜けたので、マリア・タチバナも驚愕し、沖田自身も声には出さなかったが驚いた。

これで、腕を掴まれているが、手首を動かし少しは攻撃に打って出ることができる!

菊一文字の刀身は、以前と違い、少し青く濡れたような光沢に包まれいていた。

「沖田さん!真打ち菊一文字は超電磁高周波ソードよ!対サイボーグ用で対サイバネティックアーツなの!

アンドロイドにも有効だから、沖田さん自身も扱いには気をつけてちょうだい!」

ドクターマリが大声で、またアドバイスしてくれた。

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