私の世界がなんだかとてもおかしい?件

sono

六十三話

泣きながら、うずくまっていると滝の横の洞窟の暗闇にオレンジ色の閃光が見えた。

まさか、人魂か!?違う意味で泣きそうだったが、よく見ると人工的な光だ。

「いえええええぇい!」

なんとも言えない気合いの入った声が聞こえた。

晃穂の声だ!私は洞窟の奥に進んだ。

洞窟を抜けると先ほどの滝よりでかい滝があった。あとでわかったのだが、雄滝と雌滝があるという。

でかい滝は雄滝だ。晃穂は滝に向かってオレンジ色に光るレーザーブレイドのような物を振り回していた。

「晃穂!」

私は晃穂の名前を呼んだ。

「マコちゃんでありますか?」

晃穂は振り返り、オレンジ色のブレイドのスイッチを消した。

あたりはまた暗闇になった。

「こんなところで、何やってるの!心配したんだから」

「滝を斬る修行をしていたであります!望乃里のあの滝のような汗に対抗するには滝を斬るようになるしかないと思ったであります!」

滝を斬るなんてできるのだろうか?いや、できないだろう。

そもそも、オレンジ色のブレイドはなんなんのだ?

「これはリリーに作ってもらった高周波ブレイドであります!望乃里の分厚い肉も斬れるであります!」

私の疑わしい視線に気付いたのか、説明してくれた。そんなことしたら、かなりスプラッターな戦いになるぞ。望さん逃げて!

「しかし、滝はなかなか斬れないでありますな。大変であります!」

「滝は斬れないの。もう帰ろう!神社とかある場所だし、ここは駄目だよ」

「そうでありますか?それは申し訳ないであります。すみませんであります」

晃穂は滝に向かって一礼した。

ブレイドも縮小して、通学カバンに入れた。見た目、折り畳み傘みたいな感じだった。

晃穂が素直に帰る準備をしてくれて、よかった。てっきり、帰らないと駄々をこねると思ったのだ。

「じゃあ、晃穂帰ろう」

私は晃穂の手を取った。晃穂の手は滝の水に濡れ冷たかった。

少しでも晃穂の手を暖めたくて、ぎゅっと手を握った。晃穂も握り返してくれた。

私達は来た道を戻った。行きは暗くて怖かったが、今は晃穂がいるから大丈夫だ。

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