私の世界がなんだかとてもおかしい?件

sono

二十一話

「ここで直してしまおう…。」

メガネさんはそういうと鞄を開けごそごそしだした。

ハンマーというか金槌を取り出す。

瑠美さんの首あたりを金槌でガンガン叩き始めた。アナログな直し方だな。

晃穂は素知らぬ顔でアイコを飲んでいる。ついでに勝手に私のパンケーキも食べ始めた。

犯人はこいつなんだが…。

「よし、首は直ったぞ。人工筋肉と人工皮膚等調達してきたからな」

直すの早いな!?さすがプロ。

瑠美さんのガイコツに人工筋肉をメガネさんはつけ始めた。

さすがにちょっとグロいので、私は目を背けた。

「よし、完成だ!」

はや!プロの仕事すごいな!

見ると瑠美さんは生まれたままの姿。アンドロイドは生まれたままの姿はガイコツなのかもだが。

「瑠美たん、パパでちゅよ?もう勝手にお外行ったら行けませんよ?」

瑠美さんに抱きつきながら、メガネさんは起動ボタンを押した。

パパなのか…。聞かなかったことにしよう。

「おはようございますパパ。瑠美起動しました」

美人女子高生、改め瑠美さんが起動した。

「瑠美たん!お外は危ないからずっとパパといよう!いいね?」

また、メガネさんは瑠美さんに抱きつく。

「そうはいきませんパパ。私は臨床実験で私立マリアンナ学園に通わなければなりません」

超お嬢様学校の名前を瑠美さんは口にした。やはり、お嬢様アンドロイドなのか。

「パパは寂しいよ!瑠美たんとずっと一緒にいれないなんて」

メガネさんは瑠美さんに頬ずりまでしだした。

「そ、それもそうか。お恥ずかしいところをお見せした。瑠美、制服を持って来たぞ」

急に真面目な顔でそういうメガネパパさん。確かに恥ずかしすぎるだろ!

メガネパパさんは制服を取りだし、瑠美さんに渡した。

「パパ、私記憶の混濁があるのですが。倒れる前の記憶が曖昧です」

「本当か!それはいけない。記憶ログを見てみよう」

やばい!晃穂が殴ったのがばれてしまう!当の晃穂は私のパンケーキを平らげているところだった。全部食べるなよ。

「うーん、おかしいな。倒れる前が確かに抜け落ちてるな。激しいショックで記憶が飛んだかな。公園で倒れていた時もそれ以前の記憶が抜け落ちていたな」

よかった。よかったな晃穂。

「臨床実験には支障はありませんパパ」

「そうか、ならいいが」

ほっと胸を撫で下ろすパパさん。私もほっとした。

「電話してくれてありがとうございます。この通り瑠美も無事でした。本当にありがとう」

パパさんがまた私にお礼を言った。

「まぁ、あなたが電話してくださったのですか?本当にありがとうございます。お名前を伺っても?」

瑠美さんにもお礼を言われた。

「いえ、私は電話しただけなので。あ、私の名前は澤口松子です」

私はそう答えた。思わず名乗っていたが大丈夫だろう。

「まぁ、松子さんですか?いいお名前だこと。私はそろそろ学校に戻らないといけません。それでは、ごきげんよう」

「そうか、学校に戻らないとか。では、私達はこれで。本当にありがとう」

瑠美さんとパパさんは店を出ていった。

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