私の世界がなんだかとてもおかしい?件

sono

六話

まだ、女性の話は続いていた。

「せっかく、かわいいウィッグとかわいい制服着せてあげたのに」

それだと、骨格にウィッグと制服着ただけのおぞましい姿にならないか?


「あなたの…あんたのせいで私の研究が台無しじゃない!どうしてくれるの!?超天才美少女博士リリー様の輝かしい研究成果が…。あと一歩で世界が私を認めてくれたのに!本当にどうしてくれるのよ!」

女性(リリーという名前らしい)はものすごい剣幕で怒りだした。怖い。怖いよ。あと、美少女なのか?


「ダンプカーなんかに轢かれるから、ボディは台無し。記憶回路も壊れ、今までのユーザーとのやりとりも全部消えたわ。コアも破壊された。あなたは消去することに決めたの」

怒りは静まったみたいだが。リリーは晃穂をすごい冷たい視線で見た。


消去。私というデータはデリートされてしまうということか。


「私は消去される…。死ぬということですか?」

「そういうこと。本当は寝てる間に消去してあげようと思ったんだけど。あなたが真実を知りたいと言うものだから」

いろいろわかったが、なかなか理解できなかった。ここがネットの世界で、私が人工知能だとは。

心のなかでは、理解できてる。頭の中では、理解できていない。変な気分だった。


「この仮想空間で、私好みのかわいい女の子にしてあげたの。16歳の女子高生という設定で。あなた本当に人気あったのよ。本当は消すのはもったいないぐらい」

リリーはそういうと晃穂に顔を近づけてきた…。

晃穂はリリーを突き飛ばした。


「やめて!やめてください!」

「私のことは拒絶するのね。まぁ、いいわ。このまま消してあげる!」


「待ちなさい!」

突然、ドアが乱暴に開き、マコが入ってきた。

「本当に晃穂消しちゃうの?っていうか、消さないで!お願いだから」

マコが泣きながら懇願してきた。

「晃穂は私が作ったのよ。私がどうしようと勝手だわ」

リリーは冷酷に言い放った。

「そもそも、晃穂は記憶データもないし、人間で心臓に当たるコアが壊れてしまったの。どうしようもない。手遅れよ」

「コアがあればどうにかなるんでしょ!だったら…」

リリーの説明にマコは言い返した。


「そんなに簡単じゃないの。コアはものすごい高額なのよ」

「コアって、他にないんですか?記憶はこれからまたデータ保存すればいいとして」

晃穂は二人の会話に割って入った。

二人はものすごい表情で、晃穂を見つめた。


「そうか!コアは他のアンドロイドから盗めばいいか?人工皮膚も高価だし、眼球もちょっとレアだし、全部盗めばいいか。あなた、頭がいいわね?これで、私のアンドロイド研究もまた軌道にのるわ!」

「やったね!晃穂。マコと現実世界でも会えるね!」

なんか、二人は狂喜乱舞してる。余計なことをいったかな?


「晃穂。いいこと?あなたのボディは事故に会ったままの状態。一応応急処置はするけど。ないパーツは他のアンドロイドから盗むのよ。もちろん、私は感知しないわ。あなたが勝手にやるの。いいわね」

リリーは自分が言い出したのに、全て晃穂の責任にするようだ。

「マコさんもいいわね。晃穂を消されたくないなら、今までの会話は他言無用よ。晃穂とも現実世界で会わせてあげるから」

「わかったわ。絶対言わない」


ヤバイことになってきたが、晃穂はとりあえずデリートされないことになった。

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